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立つのは遅いほうが良い!〜コーディネーションの重要性〜

クライアントで運動嫌いな人には子供の頃どんなだったかを聞くようにしているのですが、面白いことに結構な確率で「立つのは早かった」との答えをいただきます。

人の体を見る時、筋力、柔軟性、体力とは別に、動きのコーディネーション、というのがあり、実は今挙げた4つの項目の中で一番重要だと私は考えています。コーディネーションの良い体は無理がなく、必要な部分に必要な分の筋力や柔軟性が伴い、動きやすい。そのため自然に体を動かすことが好きになる。結果、体力も付く。逆を言えば、運動嫌いは体力・筋力・柔軟性がないから運動嫌いなのではなく、コーディネーションが悪いから他が伴わず、動きにくいから運動嫌いになる、わけです。

コーディネーションって?

一つの動きを行ったとき、体のたくさんの部分が連動して動く必要があります。例えば、ボールを投げる動きを考えても、ボールを放つ前に、足は片足から片足へ体重移動をし、下半身から捻りのような動きを使って、最後に腕を降ることでボールが飛びます。「ボールを遠くへ放つ」という目的のためにこの一連の動きをタイミングよく、塩梅よく、行うこと、それがコーディネーション(動きの連動)です。

コーディネーションは体の筋力や骨格への影響ではなく、脳神経の学びです。自転車と同じで一度脳に記憶された能力はそう簡単には消えません。

コーディネーションはいつ・どうやって学ぶ?

コーディネーションは誰かに習い、反復練習をして良くなるものではなく、その学びは生まれてから歩くまでの約1年半で大半が完結する、と言っても大袈裟ではないほど人生の序盤も序盤で決まります。

ヒトは生まれた時、いくつかのとりあえずのサバイバル機能として与えられた反射の動き以外、何もできません。自分の手が自分のものである、という認識すらありませんよね。生後2〜3ヶ月の赤ちゃんが目の前で手をヒラヒラさせて興味深く観察したり、足を口に入れて存在を確かめたりする行為は見た事がある人も多いと思います。そんな、自分の体の知識・認識ゼロで生まれた赤ちゃんは大抵1年半ほどで立ち上がり、歩き始める。その約1年半の黄金時代にその後一生動かしていく体の動かし方マニュアルを手に入れるのです。

前述の通り、体のコーディネーション、という部分はほぼこの時期に完結するため、早く立った子供はこの黄金時代が短くなる、自身の体マニュアルの完成度が低いままになる、ということなのです。

なぜ立つまでの1年半が黄金時代なのか・・

人間、腕組みをしながら歩くことは可能ですよね。競歩のような早歩きでない限り、腕を振ったり上半身を伴って歩く必要はありません。歩き始めの子供は特にバランスを取ることが最重要課題になる為、平均台を渡るように腕を伸ばして頭が揺れないようにします。

歩く前の子供はどうでしょうか?ハイハイ、ずり這い、人それぞれですが、腕を使わず動くことはできません。手を付かずお尻で歩く子も、一度やってみるとわかりますが、腕や肩の方まで動かさないとお尻では歩けません。歩くことができない子供の動きには必ず上半身と下半身の動きが伴うのです。そのため、この時期が全身のコーディネーションを学ぶのに最適な時期なのです。

コーディネーションが未発達だとどうなるのか・・

立つのが早かった、というクライアントさんは、その後小学生の時も行進をする際、手の振り方が分からず、同じ側の手と足が一緒に出てしまったりして居残り練習をさせられた、という話を聞きました。これは上半身と下半身のコーディネーションが取れていない良い例です。

まあ、行進の上手い下手はさておいたとしても、コーディネーションの悪さは動きのぎこちなさですので、どんなスポーツをやってもすんなり行きません。そのため、その方は実際その後も運動をずっと回避し続け、その結果慢性的に首や背中、足にも痛みがある生活になり、痛いことが当たり前で毎週マッサージに通わないとならない40代を迎えています。

つまり、コーディネーションが未発達だと運動嫌いになりやすく、運動不足からの様々な不調が出てしまう、という結構人生をかけた重大な問題につながるのです。

子育て中の人ができること・・

ここまででもうお分かりでしょうが、この生後から立ち、歩くまでの黄金時代、なるべく長くしてあげてください。この方法については別記事で紹介させていただきます。

1歳半を過ぎてしまった人ができること・・

これを読んでいる人は1歳半以上ですので、もうこの時期には残念なら戻れませんね笑。大丈夫です。手遅れではありません。ただ、通常のフィットネスや運動ではコーディネーションは学びづらいですが、学習プロセスに重きをおいたフェルデンクライスメソッドのような方法で発達のやり直しが可能です。意識を向けながらゆっくりと動きの連動だけに注目する方法です。

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