海外留学を考える人のためのノート No.2

みなさん、こんにちは!学生ライターのビーバーちゃんです。第二回のノートのテーマは「語学試験」です。

今回は語学試験の種類や必要なレベルをはじめとして注意した方がいいことをご紹介します。中国語と英語の具体的な語学試験対策はまた別の回で述べることにします。


さて、語学試験ってどのようなものがあるのでしょうか?日本にいるとTOEICはよく聞きますが、TOEICは留学において有用でしょうか?

まず、語学試験の目的をご紹介します。

一般に日本の学校教育は「書く・読む」を中心とした外国語教育をしています。本音を言うと、どの国でもプラスアルファなカリキュラムがあったり、そもそも生活環境が多言語でなければ、外国語教育は基本的に「書く・読む」ことが中心になってしまいます。また、独学をするにしても参考書や英字新聞など、一定のクオリティの保たれた資源があるため、身につきやすい技能です。しかし、「話す・聞く」は身につけるのに大変時間がかかります。皮肉なことに留学ではこの「話す・聞く」能力が大変重要になります。例えば授業で聞き取れなければ何が分からないのかも分からないし、質問したくても話せないなら助けも求められません。筆談や、テキストメッセンジャーでやり過ごそうと言うのは到底無理です。留学は時間が限られているのでクイックな対応が必要なのであり、「書く・読む」だけでは間に合わないからです。

また、帰国子女やハーフに多いのが「話す・聞く」はできるのに「書く・読む」が苦手なパターンです。例えば、就学前に海外にいた、あるいは両親のいずれか・両方が外国人で家庭内が多言語であると言う方達です。この方達は、耳と体で言葉を覚えているので発音も基礎的な文法もできているのですが、理論的に学んだわけではないので言語能力が中の中あたりで頭打ちになってしまいます。一見ネイティブに見えても、技能的にはまだまだ向上する必要があるのです。海外で就学経験がある場合やインターナショナルスクールに通う場合はこれに限りませんが、それでも母語でない言語で留学するならば、やはり理詰めの学習がある程度は必要になってきます。

つまり、語学試験は、試験対策を通じて、「書く・読む」「話す・聞く」の能力を磨くことが目的です。

同時に留学先によっては、受け入れる学生の言語能力によって、語学のフォローアップ授業を設けたり、生活アドバイザーなどをつけてくれることもあります。そこでも適切なサービス提供を受けるために、大学側に語学能力を示す必要があるのです。


次に語学試験は何を受けるべきなのでしょうか?

TOEIC?TOEFL?IELTS?

まず、個人的な経験から言えば、TOEICは留学ではほぼ役に立ちません。勉強することが無駄だとか、試験を受ける必要がないと言うことではなく、TOEICを受け入れ基準として採用する国がほぼ無いからです。(もちろん就活・転職などには有用だと思います。)

英語圏の留学は主にTOEFLとIELTSを採用しています。いずれも、「アカデミックな英語の4技能」を調べるテストだからです。これらの試験は必ず、「話す・聞く」が盛り込まれており、「書く」セクションもなかなかタフです。「読む」セクションは大学受験をしたならばある程度できると言うような印象です。

もっと詳しく見ていきましょう。

TOEFLは様々な種類がありますが、一般にTOEFLiBTのことを指しています。この試験は全てオンラインで受験します。

「読む」「聞く」「話す」「書く」のテストセクションがあり、各30点満点で、合計120点が満点になります。

点数ごとに各技能の熟練度がわかります。TOEFLは主に北米を中心とした英語圏でよく採用されます。おおよそ基準としては70点までが語学留学で要求され、少なくとも80点から110点までが交換留学やダブルディグリー・大学院に行ける点数帯です。アメリカ名門私立大学となると(コロンビア大学やハーバード大学など)100点超えが必須になってきます。

※詳しいテスト内容や日程、参考書などは公式ホームページをご確認ください。


IELTSはモジュールと呼ばれる種類があり、一般に海外大学への留学ならば、アカデミックモジュールを指します。

TOEFL同様に4つのセクションに分かれていますが、大きく異なるのは、テスト方式です。紙とペンを用いる筆記テストと、対人面接によるスピーキングテストに分かれています。満点が示されているセクションもあれば、無いセクションもあります。と言うのも、IELTSは1.0〜9.0までの段階を0.5刻みで評価するスケール方式で、何点ではなく「スケールのどこにいるか」を調べます。

イギリス、オーストラリアを中心とした英語圏で採用され、5.5あたりから語学留学、7.0以上から交換留学、ダブルディグリー・大学院に行けます。イギリス名門カレッジ(オックスフォード大学、ユニバーシティカレッジロンドンなど)であれば必ず7.0以上に必要です。

※詳しいテスト内容や日程、参考書などは公式ホームページをご確認ください。


では、英語圏の大学にはいかないならば英語の語学試験はいらないのでしょうか?

答えはNOです。

理由は三つあります。

一つ目の理由は、同じ学校でも英語コースを選べるようになって、希望の学校に留学しやすいからです。

例えば、韓国の東大と言われるソウル大学は、韓国語コースと英語コースを設置しています。私の通う北京大学も英語コースと中国語コースがあります。どうしてもこの学校がいい!どうしてもこの先生の授業が受けたい!そう思った時に言語能力によって選択肢が増えることは、実現のチャンスが増えるということです。時間の都合上、韓国語・中国語、あるいは他の言葉は学習や語学試験が間に合わなさそうだけれども、ある程度やってきた英語ならトライできるかも、という感じで第一志望を変えなくてもいいかもしれません。

二つ目の理由は、奨学金を得られる可能性が高まるからです。

留学費用の工面については、今後に別の記事でご紹介しようと思っていますが、英語ができるのとできないのでは出願する奨学金に結構差が出ます。情報収集の地点から英語の奨学金プログラムにアクセスできる人はかなり有利です。

三つ目の理由は、現地での人脈が広がり、インターンなどのチャンスにつながるからです。

留学生は授業こそ現地生と一緒に受けますが、同じくらい留学生のみの授業やコミュニティも多いです。ちなみに筆者が北京大学での最初の友人はアメリカ人でしたし、その後サークルなどを通じ、友人における北大生と留学生の割合は半々くらいになりました。この中で、インターン先を紹介してくれたり、さらにその知人を辿って授業のノートを貸してもらったり、生活で困ったことなどをお互いに助け合うこともできました。それは、やはり前提として一定の英語を話せるからだと感じています。インターン先でも日本語を含めて、3言語以上できるのは間違いなく有利になりますから、勉強して損はありません。

以上のように現地の言葉と同じくらい英語の力は必要になります。そして、もしイギリス・オーストラリアなどのブリティッシュイングリッシュが多数派な国でないならば、アジア圏であってもアフリカ圏であってもまずはTOEFLを受けることをお勧めします。

さて、今回のノートはいかがでしたか?

このノートを通じて、自粛期間中に志望大学の設置コースや、英語の語学試験について調べてみてはいかがでしょうか。

※結びに、外に自由に出られる日はまだまだ遠く、家での生活にも少し息詰まりを覚える頃ではないでしょうか。自宅待機は自律神経のバランスを崩しやすく、気分が落ち込んだり、やる気が無くなったり、集中力が続かないといいます。こういう時は、こういうところに留学したいなぁ、と空想するだけで十分です。英語や他の言語を勉強をちょっとしてみたくなっちゃたなぁ、と考える時にだけ参考書を触ってみるだけでもいいのです。無理に絶対1日何時間は勉強しなくちゃ、しなかったらダメな人間なんだと自分を責めたりしないでくださいね(実は、この抑圧されて気を病んでしまうことが留学前の心身ダメージのもとでもあります)。自分のペースに合わせて、良き留学をしましょう。

では、次回もまた「語学試験」の回でお会いしましょう。もし、この記事や今後の記事に興味がある方はぜひフォローとスキをお願いします。






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