[日日月月]9月8日、『mahora』最新号をつくり始めている
編集ってどんな仕事か、よく聞かれることがある。もろもろの仕事のフローを逐一説明しても、そもそも出版界の構造そのものが「謎の存在」になってるから、あまり意味はない。
そんなときは、編集を料理で例えて説明している。
執筆者の書く文章、写真家の撮る写真、イラストレーターのイラスト、などが「食材」。編集者はそれを集めて編む=「料理」する。
編集者とは、言ってみれば料理家のようなものだ(ちなみに「盛り付け」はデザイン、コースとかセットとか提供される料理全体が本、スタッフが書店員または社員、お店が書店または出版社)。
で、料理家にはいろいろなタイプがいるように、編集者も同じで、誰も見たことのないようなめずらしい食材を集めるのが得意な人、知られた食材を想像もできない独創的な料理につくりあげるのが上手い人、郷土料理に特化した人、美味くて安くて早いのが得意な人、とかいろいろいる。
私は、味付けやプレゼンテーションよりも素材が好きで、有機農家とかの個人や小規模で丹念につくられた、土の香りや味がして、生命の通った食材(生産者の顔が見えて思いが伝わるのがベスト)を、ただ塩を振っただけで食べる、だけどその塩加減が絶妙、みたいなのが、とても好きだ。
だから編集もそんな感じでやっている。
特に受託制作する本ではなく、八燿堂の本は。
先日から『mahora』の最新号をつくり始めている。
『mahora』はシリーズものの本で、これまでに5号を刊行した(雑誌コードを取得していないので正式には書籍扱いになる。「シリーズものの本」という感じだから、「第5巻」といったほうが正しいのかもしれない)。
2018年に創刊して、5年が経つ間に、コンセプトが精査されてきた感じがあって、いまはこんなふうに説明している。
★創刊号と第2号は版元在庫切れ(重版・再販予定なし)
ネタバレになるので目次はまだ言えないが、だいたい構成は固まってきた。
今回は初めて、「特集」をやろうと思う。
テーマは、「芸術以前」。
ここで言う芸術とは、価値や評価の基準、資本主義や学術的権威との結びつき、それらによって生じたヒエラルキーと、それを前提につくりあげられた制度そのもの、構造全体を指す。
特集では、それが生まれる前の、創作の姿を探りたい。
人間にとって、創作とは、美とは、何か。
生命はなぜ、生命以外の存在を生んだのか。
無から有が立ち上がる瞬間に、何が起こっているのか。
複数の創作者によるアートワークおよびコメントと、
複数の論者によるテキストで構成する予定で考えている。
ありがたいことに論者からは全員快諾いただいた。
今日は創作者の人選を詰めていた。
刊行は来年、2024年。
3月の春分の日を予定している。
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