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門前一向聴VS1軒リーチの局収支グラフ

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん

1.はじめに

今回は、押し引きのシミュレーションデータの中から、
・自分の手は、門前一向聴
・相手一人がリーチしている
という状況について、押したときと降りたときの局収支グラフでまとめてみました。

『新 科学する麻雀』の特設サイトのデータ集には、タイミング的に入れる機を逸したという裏事情です。)

2.シミュレーション条件等

・自分門前一向聴リーチ者対面、上家・下家は非リーチ門前。
・対面のリーチは一発順ではないとする。
・先制リーチからの経過巡目1
・降り時現物数2個
・自分の降り時聴牌復帰・上がりの可能性は0とする
途中押し戦略を採用する。「100%以下押し」「15%以下押し」「10%以下押し」「5%以下押し」「0%以下押し」の中から一番局収支がよい戦略をとるものとする。
各戦略の目安
「100%以下押し」→全ツッパ
「15%以下押し」→終盤無筋456を引いたら降りる
「10%以下押し」→中盤以降無筋456、終盤無筋2378片筋456を引いたら降りる
「5%以下押し」→無筋を引いたら降りる。筋は押す。
「0%以下押し」→現物しか押さない
・途中で降りた時も聴牌復帰の可能性は0とする。
聴牌時に切る牌は常に無筋2378とする。
聴牌したらどの待ちでも即リーチするものとする。
鳴きは考慮しない。(ただし、16巡目以降は鳴ける牌が出たら鳴いて形テンをとるものとする。)
変化(両面変化や縦引きで完全一向聴化する変化)は考慮しない
・面子手について、自手の符数はロン40符ツモ30符とする。

具体的には、以下のようなグラフを作成します。

画像1

横軸が巡目、縦軸が局収支で、折れ線一本がある形・打点・親子・初手危険度における巡目別の局収支となります。同じグラフ内に、押したときの打点別の折れ線と、ベタオリしたときの折れ線が含まれています。また、押したときの折れ線一本に対して、最適な途中押し戦略(全巡目の局収支の平均が最も高くなる戦略)を一つ固定します。(例えば、門前・完全一向聴・子VS子・初手無筋2378・1ハンの場合は、5%以下押しが最適となった。)

このようなグラフが、
一向聴の形(完全一向聴・両面×2一向聴・両面+リャンカン一向聴・カンチャン+リャンカン一向聴・七対子一向聴の計5パターン)
親子関係(自分子VSリーチ者子、自分子VSリーチ者親、自分親VSリーチ者子の計3パターン)
の計15パターンあります。(今回は、初手危険度は無筋2378の1パターン固定にしました。)

以下、有料部分で15枚のグラフ掲載と、解説をしていきます。

3.子VS子の門前一向聴VS1軒リーチの局収支グラフ

まずは、子VS子・完全一向聴の場合から見ていきます。下グラフ(先ほどと同じ)になります。

画像2

自分子VS相手子の場合、ベタオリ(現物2枚)時の局収支は-1400~-1500点になります。このベタオリ時局収支と比較して、押したときの局収支が上回っていれば(グラフでいえば、押し時の折れ線がベタオリの折れ線より上にある)、押したほうが有利という判断をすることができます。

具体的には、2ハン以上あれば、捨て牌2段目までは、押しの局収支がベタオリの局収支を上回っています。また、リーチのみの1ハンでも、中盤くらいまでは、微差ではあるものの、押しの局収支がベタオリの局収支を上回っています。

ただし、この局収支のグラフは最適な途中押し戦略がとれた前提のもとでの局収支です。例えば、子VS子・完全一向聴・1ハンの場合は、「5%以下押し」が最適戦略ですが、次巡以降の途中押しを間違えた場合(例えば、5%以下押しでなく全ツッパしてしまうなど)、上グラフよりも押したときの局収支が悪くなることは十分にあり得ます。子VS子・完全一向聴・1ハンの場合の途中押し%別の局収支を下グラフに示します。

画像3

このように、最適な5%以下押しと比べ、最適でない全ツッパ戦略をすると、特に中盤以降で局収支が200点程度悪化しています。よって次巡以降押し引きに自信がない場合は、押しと降りが互角程度なら多少保守的に見積もってベタオリを選択するのも一つの手であるかと思います。


続いて、子VS子・両面×2一向聴の場合を見ていきます。下グラフになります。

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