先制愚形リーチのみは許されるか? その4
研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん
1.はじめに
下記リンク記事の続編です(特に予備知識なしで、読める作りにしてます)。
先制の役なしドラなしの愚形門前聴牌が入った時の、リーチ判断について、引き続き考えていきます。
前回までは、(実測に基づく各種補正は施したものの、)基本的にはシミュレーションベースで、リーチ時やダマ時局収支などを算出してきました。
今回は、実測値ベースで先制愚形のみ手の、リーチ時やダマ時局収支などを集計してみました。
2.牌譜解析条件等
〇リーチ時
・先制でリーチが入った瞬間と局終了時を調査対象とする。
・リーチ者も副露者もいない。
・リーチの待ちがカンチャンペンチャン
・以上条件に当てはまった場合を1件分のデータとしてとる。
・以下のデータを取る
・リーチ巡目
・待ち種類
・アガリ牌スジ待ち
・アガリ牌残り枚数
・ドラ種類
・ドラ見え枚数
・赤見え枚数
・リーチ者から見た局結果
・リーチ者のアガリかどうか
・リーチ者の局収支
・リーチ者が親かどうか
・リーチ者の順位
・親の順位
・アガリ者の順位
・アガリ者が親かどうか
・4者のリーチ時点の河の濃さ
・アガリ者の打点
このうち、4者の河の濃さについては、こちらのリンクと同じ定義にしました。
以下条件のとき、「河が手なり」と定義する。
・自分の3巡目までの捨て牌について、(28牌の枚数+2×3~7牌の枚数)が2以下
「河が手なり」(上記条件)の場合、以下で分類する。
・自分の捨て牌にある3~7牌の枚数
注意点として、牌譜解析の条件の中に、以下は加えませんでした(サンプル数確保のため)。
・自手が役なしドラなし
よって、役なしドラなしでのリーチ者のアガリ打点については、別に計算します(ツモアガリ平均打点3516点、ロンアガリ平均打点2412点。この部分のみシミュレーションにより算出)。
この牌譜解析の結果、以下のようなcsvファイルができるので、ピボットテーブル集計にかけます。
こちらの表は、
・8~10巡目
・カン37待ち・ペン37待ち
・アガリ牌片無筋待ち
・ドラ赤0見え
・リーチ者子
の条件で、リーチ時の、局結果の分布とリーチ局収支とデータ件数を示した表です(行方向が局結果とアガリ者の親子による分類)。
ただし、局収支の部分は先に述べた通り、愚形役なしドラなしのみ手のアガリ点で計算したほう(右端の愚形リーチのみ局収支の列)を用います。
この条件で、リーチ時の各種数値は、
・ツモアガリ率:20.87%
・ロンアガリ率:18.23%
・放銃率:12.31%
・被ツモ率:13.56%
・横移動率:8.44%
・流局率:26.60%
・愚形リーチのみ局収支:-229点
となります。
〇ダマ時
・先制でダマ聴牌が入った場面(以前の巡目からすでにダマ聴牌の状態であったケースも含む)と局終了時を調査対象とする。
・リーチ者も副露者もいない。
・リーチの待ちがカンチャンペンチャン
・ダマにすると、役なし(そのままの待ちだとロン不可)
・ドラや赤が手牌に含まれない
・以上条件に当てはまった場合を1件分のデータとしてとる。
・以下のデータを取る
・ダマ巡目
・待ち種類
・アガリ牌スジ待ち
・アガリ牌残り枚数
・ドラ種類
・ドラ見え枚数
・赤見え枚数
・ダマ者から見た局結果
・ダマ者のアガリかどうか
・ダマ者の局収支
・ダマ者が親かどうか
・ダマ者の順位
・親の順位
・アガリ者の順位
・アガリ者が親かどうか
・4者のダマ聴牌時点の河の濃さ
・終局時ダマ者状態
・アガリ者の打点
「終局時ダマ者状態」を加えた以外は、取るデータはリーチ時と同じです。
また、ダマについては、役やドラの有無によって、次巡以降の挙動が変わる(主に他家攻撃に対する対応)と考えられるので、役なしドラ赤なしの条件を加えました。
今回データを取ってない中だと、ダマ時の手変わり牌の量と質がありますが、さすがにこれは条件付けが難しいので断念です。
また、ダマ者の次巡以降挙動(他家攻撃への対応やリーチ移行)についても条件は付けませんでした。ある条件上で、平均的な先制愚形聴牌者の挙動をした場合、というふわっとした感じになってます。そのあたりは実測ベースではあまり適してなくて、シミュレーションのほうがデータとりやすいところなので、今回は突っ込まないでおきます。
リーチ時と同様、牌譜解析でできたcsvファイルに対して、ピボットテーブル集計にかけます。
先ほどのリーチ時と同じ、以下条件で、
・8~10巡目
・カン37待ち・ペン37待ち
・アガリ牌片無筋待ち
・ドラ赤0見え
・リーチ者子
ダマ時の各種数値は以下の通りです。
・ツモアガリ率:リーチ20.87%、ダマ15.81%
・ロンアガリ率:リーチ18.23%、ダマ8.16%
・放銃率:リーチ12.31%、ダマ9.37%
・被ツモ率:リーチ13.56%、ダマ21.77%
・横移動率:リーチ8.44%、ダマ22.07%
・流局率:リーチ26.60%、ダマ22.82%
・愚形リーチのみ局収支:リーチ-229点、ダマ-482点
一応、見た目上は愚形のみ手で、即リーチのほうがダマよりも、250点ほど局収支が高いという風に出ています。ただし、標本のバイアス(偏り)の問題(即リーチされたケースは、プレイヤー側で即リーチ有利だと判断されたケースが多く含まれるなど)はついて回るため、これを額面上受け取れるかどうかは微妙に怪しいですが。
以下、有料部分で、先制愚形聴牌者の順位とか、親の順位とか、他家河の濃さの条件で細分化して分析してみます。
3.先制愚形リーチのみの牌譜解析結果
まずは、先制愚形聴牌者の順位を動かしてみます。先制者トップ目の場合が下表になります。
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