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ラス目で、九種九牌を流すべきか、国士狙いか

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん

1.はじめに

配牌で九種九牌の手牌が来たときに、そのまま流局にしてしまうか、国士無双を狙うか、というお題については、アガリ率・局収支に関しては先行研究があります(『統計で勝つ麻雀』)が、例えば自分がラス目のときなどの点棒状況込みでの九種九牌判断が今回のテーマです。ラス目から一気に上位着順に行くために国士を狙うという考え方もあれば、3着目との点差によっては、成就しにくい国士を狙うよりは流して次局に期待するという考え方もあるかと思います。この選択の優劣について、疑似麻雀シミュレータ(点棒状況から試合終了時順位分布を予測するシミュレータ)と机上の計算で推測してみます。

2.計算方法など

〇九種九牌で流した場合
・持ち点・残り局数変わらずの1本場にして、そのまま疑似麻雀シミュレータを回す

〇国士狙いした場合
国士成就確率を可変パラメータとして設定する。

現局の点棒の動きについて、以下の22種類の事象に場合分けする。
自分ツモ
下からロン
対からロン
上からロン
下へ放銃
対へ放銃
上へ放銃
下がツモ
対がツモ
上がツモ
対→下横
上→下横
上→対横
下→対横
下→上横
対→上横
自下聴牌
自対聴牌
自上聴牌
下聴牌
対聴牌
上聴牌

・各事象の発生確率は以下の通りとする。
自分のツモアガリ・各者からのロンアガリ…国士成就確率×0.25
各者への放銃率…(1-国士成就確率-聴牌流局率)×0.06
各者からの被ツモ率…(1-国士成就確率-聴牌流局率)×0.1
横移動率(6パターン)…(1-国士成就確率-聴牌流局率)×0.06
聴牌流局率(二人聴牌のみの3パターン)…「0.03」か「国士成就確率×0.5」のうち小さい方
不聴流局率(一人聴牌のみの3パターン)…(1-国士成就確率-聴牌流局率)×0.05(子が聴牌)or×0.06(親が聴牌)

・各事象発生時の点棒の移動のうち特に説明が必要なものを以下に挙げる。
他家のアガリロンは5200点(親7700点)の移動、ツモは1600・3200(親3200オール)の移動の1パターンのみとする。
他家のリーチ棒支出は100%ないものとする。

・全22パターンの事象それぞれについて、点棒の移動と残り局数・本場の変動と親移動を加味したあとの状況について、疑似麻雀シミュレータを回す

・各事象の順位分布と試合終了時ポイントの平均値について、各事象発生確率における加重平均を取る。

〇境界国士成就確率の算出
九種九牌流局時の段位ポイント期待値(鳳凰卓東南戦七段配分)と国士狙い時段位ポイント期待値等しくなるような、国士成就確率をエクセルソルバーで計算する。そのときの国士成就確率を「境界国士成就確率」として算出する。

〇計算上の分類など
残り局数6局~1局
・現局で自分は西家とする
・現在の持ち点は以下の5パターンとする。
西家16000点北家38000点東家28000点南家18000点
西家13000点北家39000点東家29000点南家19000点
西家10000点北家40000点東家30000点南家20000点
西家7000点北家41000点東家31000点南家21000点
西家4000点北家44000点東家32000点南家22000点

・残り局数6パターン×持ち点5パターンの計30パターンについて、以上の計算を行う。

具体的には以下のような計算シートを作ります。

画像1

上部黄色マスが残り局数と4者の持ち点、上部オレンジマスが国士成就確率、2列目の「国士狙い」の列は22種類事象の発生確率(国士成就確率に依存)、右から7行が各事象発生時の半荘収支・平均順位・段位pt・順位分布、右下黄緑マスが九種九牌流局時と国士狙い時の段位ptです。

残り2局(南三局)の西家10000点北家40000点東家30000点南家20000点の点棒状況について、黄緑マスが同等となるような国士成就確率をソルバーで探した結果、この点棒状況では国士成就確率が5.1%が分岐点となりました(5.1%より国士アガリを見込める状況なら国士狙い有利、国士アガリ率が5.1%より低ければ九種九牌流局有利)。

以下、全30パターンの点棒状況についての計算シートとその分析を有料部分でしていきます。

3.境界国士成就確率のまとめ(計算結果)

30枚の計算シート(計算の過程)を掲載するのは後回しにして、結論から先に述べます。境界国士成就確率をまとめたものが下表&グラフです。

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