02.24
今日会社で食べるお弁当、水筒を盛大に忘れた。
気づいたのはいつもの電車にのって、読書途中の本を取り出したときだった。やった。朝から派手にやらかした。どうしよう…どうしよう!!朝から頭のなかが忙しい。盛大な自問自答から、ぼくの1日ははじまった。今日が終わるまでこの時残りだいたい17時間。
優柔不断という最強の足枷
お弁当を忘れた。そんなわけだから電車を1本ずらしてDONQに行こう。パンが好きなぼくにとっては最後のオアシス。DONQならなんとかしてくれるはすだ。淡い期待を信じて、電車を降りて導かれるようにDONQへ突撃する。時間の猶予としてはせいぜい10分。この10分でパンを買う。すごく簡単なことだと思った。到着して早々朝のパン屋さんって素敵だな。とうっとりする。いやいや、ゆっくり楽しんでいる時間なんてやらかしたぼくにはないぞとじぶんを奮い立たせる。"お昼ごはんにぴったりのパンを買う"という強い決意のもと、パンが並ぶショーケースにたち、睨みつけるように吟味する。まず考えたのは、お昼ごはんならぬ、お昼ごパンにパンをいくつ食べるかだ。ぼくだったらせいぜい2つだな。これはすぐに答えが出た。問題はここからだ。「パンが…選べない。」ベストな2つが選べない。数ある美味しそうなパン(全部食べたい)から選りすぐりの2つを選ぶなんて到底できない。ひとり悩んでいたぼくを置いてけぼりに、次から次へと通勤客がパンを購入して颯爽とDONQを後にする。すごいな、ベテランか?とこころの中で感心した。けれど、こうして悩んでいる間にも電車の発車時刻は容赦なく近づいてきている。どのパンにする?どれが正解?たくさんたくさん考えて導き出した答えは"結局買わない(正確には買えなかった)"だった。DONQでパンを2つ買うという、一見簡単なことがぼくにはできなかったという、もやもやした気持ちを抱えつつ、ひっそりとお店を後にし、会社行きの電車に逃げ込んだ。
優柔不断の終わりに。
逃げ込んだ電車で次なる戦略を考える。幸い目星は付いていた。最寄り駅には市内でも有名なパン屋さんがある。前々からそこのパンは食べてみたかったけれど、なかなかお邪魔することができなかったのだ。これを好機(チャンス)と呼ばず、なんという。そうやって次の目的地は決まった。改札を出て目当てのパン屋さんへ平成を装いつつ小走りで侵入する。侵入してそうそうショーケースにならぶパンたちを眺める。でも電車の中でどんなパンが食べたいかしっかりイメージしてきたからか、大人の落ち着きはまだある。落ち着いている間に決めてしまおう。そう思ったぼくは、トングとトレイを拝借し臨戦体制をとった。いろいろ迷うこと5分。つ、ついに三つまで決めることができた。一つ目は”オレンジデニッシュ”。甘さ控えめがポイント高い。二つ目は”ぶどうぱん”。なかに挟まれたマーガリンがいい感じで、ぶどう好きにはたまらない。そして、三つ目は”フランスパンにマーガリンと砂糖が味付けされたパン”だ。フランスパンは噛みごたえがあって、満腹中枢を刺激してくれ、それに加えて砂糖とマーガリンがほどよくアシストしてくれる。以上、三つを必死に考えて考えぬいて選らび出すことができた。よくやった。でもここからが正念場だ。どれを切り捨てるか。正直全部食べたいから全部買ってしまうのもあり。全然あり。でも、おそらく二つが限界だろうから二つで決めるか。じゃあ、どうする?”オレンジデニッシュ”はどうだろう。そういえば、甘さ控えめといっても見た感じすっごく甘そうだ。お昼ごはんに甘すぎるっていうのも苦しくなっちゃうか。ということは、正解は”ぶどうぱん”と”フランスパン”か?そ、そうだよ!それが正解だ!こころの中で必死に考え、やっとみえた一筋の希望を掴みかけたその時、”女神”がやってきた。というのもこの時点でパン屋さんにいたのはぼくひとりだけだったのだが、そこへ通勤途中でパンを買いに来た女性の会社員の方が来店されたのだ。(以降その人を”女神”と呼ぶことにする。)おそらくこのパン屋さんの常連さんなんだろうなと思ってしまうほど、トレイとトングを抱えていた。(いま思えば普通だったように思う。)その突如パン屋さんにあらわれた”女神”は迷うことなく慣れた手つきでぼくが悩んでいた”フランスパン”と”白あん入りメロンパン”をトレイにさらった。それを横でじっと見ていたぼくは、”フランスパン”は正解だということを確信した。でも問題は次だ。”ぶどうぱん”か”白あん入りメロンパン”。どちらを選んだらいいのだろうか。正直”ぶどうぱん”と、”白あん入りメロンパン”を天秤にかけたとしたら問題なく今は”白あん入りメロンパン”へ傾いている。いや、傾いてしまっているというよりかはもうすでに振り切ってしまっているといっていい。ということで、今日の昼ごパンは決まった。”フランスパン”と”白あん入りメロンパン”の二つだ。”女神”とまったく同じ布陣になってしまったけれど、おそらく幾戦のパンを食べぬいてきたであろう”女神”をここは信じてみよう。そう思ったぼくは、ついにパンを購入することができた。そして手にいれたパンをしっかりリュックに入れて、会社へといつもよりはやめに歩いていく。もう昼ごはんが待ち遠しい。今日はまだまだはじまったばかりだった。
ここまで約1時間の出来事だったけれど、頭を激しく使いすぎたからか会社について早々ココアを飲み干した。疲れたときには糖分を取るのが一番というけれど、ほんとにその時はそう思った。その時は始業時間の5分前だったから、まだ仕事ははじまっていなかった。
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