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07.03

「今日は雨がふるみたいだから傘あったほうがいいよ。」

そういって髪が長い女性がこれから仕事にいく男性の後ろから声をかける。

「大丈夫。傘はもう持ってるから。じゃあ。」

そう言って男性は右手に抱えた緑色の傘を自慢げに女性に見せると玄関ドアを開けて家を後にする。

「いってらっしゃい。」

女性がドアがガチャっと閉まるまでに微かな笑顔でそう伝え、男性を見送る。


ここで目が覚めた。
この夢は一体誰の夢なんだ。
目が覚めたと同時にそんなことを考えた。
そのことをより一層考えてしまったのは、仕事の今日、玄関から出る時に夢に出てきた男性と同じように僕の右手で持っていた透明のビニール傘をふと見つめた時だった。

あの緑色の傘を僕は持っていない。
あの女性も全く知らない。

じゃあ一体あの光景は誰の日常なんだろうか。
もしかしたら僕自身のこれからにありえる日常だったりするんだろうか。

これから緑色の傘を見るたび、心のどこかで意識してしまうんだろうなとそんなことを思った朝の時間。

今日も夢と同じ雨だった。

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