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パパ、死にたいと思ったことある?

昨夜遅く、長女に些細なことを注意した流れからそのような質問が飛んできました。

今朝は1年生を迎える会があるので早起きをしなければならないし、娘には大切な役割もあるようなので、「いいから早く寝なさい!」と言ってしまうこともできた。

でも、こんな質問をスルーして良いわけがないし、一度スルーしたら2度と口に出して相談しようとは思わなくなってしまうかもしれない。こんなに深い質問をしてくれる関係でいられることに感謝しなければいけない。

子供の睡眠時間は大切だけど、たった1日睡眠時間が減ったとしても、今後の娘の人生を考えたら一睡もしなくたって話し合った方が良い時もある。

年に数回、そんな夜があります。

小学四年生。

「好き/嫌い」
「愉快/不愉快」
「やりたい/やりたくない」

という単純な思考だけでは割り切れない「人間らしい悩み」に直面することが増えてくる年頃。

話を聞いていると、いくつかの悩みが合わさって漠然としたネガティブな思いが押し寄せてきて、その波に心を苦しめているようでした。

「いつも、ちゃんと相手の気持ちになって考えて、相手のためを思って発言したり行動したりしてるよ。もちろんできない時だってあるけど。」

「だから、いろんな人と仲良くできるようになったし、友達も増えてきた。」

「でも、すごく嫌なことを言ってくる子に対しても相手の気持ちを考えて応えていると、好かれてしまってとても距離が近くなって、どんどん断れないことが増えてきちゃって疲れる時がある。相手の気持ちを考えていたのに、相手は自分の気持ちを全然大切にしてくれなくて悲しい。でも相手を責めるのは嫌だし。」


「あと、怒られるのが好きじゃないから、大人にも子供にもできるだけ怒られないように行動してる。昔は自由に生きてたのに、今はなんだか不自由で楽しくないと思っちゃう日がある」

「そんな色々なことを考えていたら、なんで生きてるんだろう、なんで辛いことばかりなんだろう、って思っちゃう時がある。ふだんは毎日めちゃ楽しいけど、たまにふとそう思う時があって、悲しい気持ちになって、死んじゃった方が楽なのかなって考えちゃった」

1時間くらい聞いた話をだいぶ整理するとそんな感じでした。

「パパは本気で死にたいと思ったことはないけど、すみちゃんと同じように、なんで生きてることがこんなに辛くて、嫌なことが多くて、相手の気持ちを考えて生きようとしてるのになんで相手は自分の気持ちを無視するんだろう、なんでこんなに辛いんだろう、なんで、なんで、なんで、って考えて悲しい気持ちになったことはたくさんあるよ。」

「子供の頃なんて、ずっとそう思ってたかも。もちろん毎日じゃないけど、悲しいことがあった日はそんな風に思ってたかな。大人になるまでそうだったかな。パパが楽しく生きてなかった頃の写真見たことあるでしょ?」

「ああ、あれね(笑)でも今、パパは楽しそうに見えるよ。」

「今は毎日めちゃくちゃ楽しいよ。」

「ズルい。いいなぁ。なんですみちゃんはそうじゃないんだろう?」

「パパは相手の気持ちになって考えられる力って、とても大切だからすみちゃんが相手の気持ちを考えられることは本当に素晴らしいことだと思うよ。」

「良いことかもしれないけど、全然良いことないよ!」

「そうだろうね。」

「え?パパも人の気持ち考えてるでしょ?なんでパパは辛くないの?」


「考えるようにはしてるけど、パパは相手の気持ちを考えたあと、自分の気持ちと比べて、どっちが大切かをちゃんと考えるようにしてるよ。」

「どういうこと?」

「すみちゃんは、ぜんぶ相手の立場に立って、相手が怒ったり悲しんだりしないように行動したり、話したりするんでしょ?」

「うん。」

「それって、自分の気持ちを全然大切にしてないんじゃないかな。」


「すみちゃんの気持ち......」

「周りの人の気持ちを大切にして生きてるのは素敵なことだとは思うけど、それだけだと、すみちゃんの心がどこにもなくなっちゃって、すみちゃんの人生じゃないんじゃない?自分の人生じゃないってことは、生きてないようなものなんじゃないかな。だから、生きてる意味ないやって、感じちゃうのかな?」

「......」

「すみちゃんが自分の人生を生きてないから、生きてる楽しさも、価値も、感じられなくなっちゃう時があるんじゃない?それって、ほとんど生きてないんだから。」

「でも。すみちゃんが相手の気持ちを考えた時に、相手もすみちゃんの気持ちを考えてくれる友達とは、きっと楽しく遊べるでしょ?それは相手がすみちゃんの人生を大切にしてくれてるときだから、すみちゃんの人生がそこにはあるんじゃないかな。」

「相手がすみちゃんの気持ちを大切にしてくれないときは、そこには自分の人生じゃなくて相手の人生しかないから、そういうことが続くとすみちゃんは生きてることが楽しくなくなっちゃうんじゃないかな?」


「たしかに、言いたい放題自分の気持ちをなんでも表現してる子は、ちょっと嫌われたりすることもあるけど、すみちゃんから見たらとても楽しそうだし、悩みも少なそう。死にたいと思ったことある?って聞いたら、無いって言ってた。すみちゃんは、そういう子が好きだし、いいなって思う。」

「その子は、自分の気持ちを大切にしてるんだね。」


「そう、その子はすごく自分のことが大好き。」
「パパも自分のこと大好きだよね。」


「うん、大好きだよ。すみちゃんは自分のこと好きじゃないの?」

「全然好きじゃない。」

「本当に?大好きな友達と遊んでる時の自分も?」

「自分らしくいられるときは楽しいし、好きだよ。」


「でしょ?自分らしくいられるときのすみちゃんが本当のすみちゃんなんだから、やっぱり好きなんじゃない?」

むしろ、大好きな自分の気持ちを無視して、相手を悲しませたり怒らせたりしないように我慢して演じてる自分が好きじゃないだけなんじゃない?」

「そうかも!」

「すみちゃんが嫌いな自分は、自分らしくいられない自分だから、自分じゃないってことか。そうかも。うん。そうだったらいいな。ちょっと元気出てきたかも。」

「でも、自分ばっかり大切にしてたら、嫌われちゃうよ?」

「本当に楽しそうに生きてる人って、周りにたくさん楽しそうな人が集まってくるから、みんなに嫌われてるようには思えないけどな、パパは。もちろんそういう人に文句言う人はいるし、意地悪する人だっているけど、だからって自分の気持ちを大切にしないで “いい人” を演じ続けてずっと自分らしく無い辛い人生を送るのはもっと辛いと思うよ。」


「たしかに、そうだね。でも、難しいね。」

「うん、めちゃ難しいよ。パパは大人になってからやっと気づいて、それから時間をかけて考え方を変えられるようになったよ。」

「すみちゃん、今からでも変われるかな?」


「変われるでしょ!(笑) まだ9歳でしょ?パパは9歳の時にそんな難しいこと考えこともないよ。すみちゃんの場合は変わるっていうか、これからまだまだ成長するだけだし。」

「どうしたらいいんだろう?人の気持ちを考えることも大事なんでしょ?さらに自分の気持ちも大事にするのって難しそう。」


「人の気持ちを考えられずに自分の気持ちだけを大切にしてる人は、きっと上手くいかないと思うかな。」

「人の気持ちを考えて、その気持ちをちゃんと理解してるよって伝えた上で、でも自分はこうしたい!って自分の気持ちを大切に守れればいいんじゃないかな。そうしたら、相手も残念がるかもしれないけど、きっとわかってくれるよ。」

「それでもわかってくれない人は、すみちゃんの気持ちをまったく大切にしてくれない人だから、残念だけど放っておくしかないんじゃないかな?」

「そっか、難しそうだけど、できそうな気がする!」


「人の気持ちを考えることができない人は、まずその練習から始めなきゃいけないけど、すみちゃんは少なくとも人の気持ちを考えようと思えてるんだから、次のステップに進むだけじゃん。自分の気持ちも大切にできるようになったら、これからワクワク楽しいことがどんどん増えるよきっと!もちろん嫌なことだって、きっとあるけど。」

「なんか、もっと楽しく生きられそうな気がしてきたかも。」

「でも、これはパパの考え方だから、正しいかどうかはわからないし、もっと良い考え方もたくさんあるはずだから、ちゃんとすみちゃんが自分で考えて決めてね。」


「うん、わかってる。」

「あ!今話してたら、すみちゃんが将来やりたいこと閃いたかも!」

「え!?何?」

「それはね......」

なんだかとても良い時間だった。

寝息を立てている0歳の次女の横で、妻と娘と、ハグ。

平和な夜が戻ってきた。

皆が寝た後、作業をしながらふと自分自身のことを考え、こう思う。

「もっともっともっと自分の気持ちを大切に生きなきゃなぁ。」


子供は、鏡。
たくさんのことを気づかせ、教えてくれます。
ありがとう。


※画像はフォートトークのビジョンクリエーターにてAI生成



最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本日も魔法に満ちた1日をお過ごしください✋✨

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