魔法つかいの本棚003『火の鳥〜黎明編〜(手塚治虫)』
高校、浪人時代の僕は今とはまるで別人で、
「この世界は腐っている!人間とはなんて愚かな生き物なんだ!」
という思いで一杯でした。
しかも軽い対人恐怖症かつ赤面症。そんな人間が今では人前に出る仕事をしているのだから、人間は変わるものですね。
当時はテレビの影響力が今より遥かに絶大で、みんなが同じ番組を見て同じ話題で盛り上がる時代だったので、
「この人たち、いったい何が楽しいんだろう?本当に興味あんのか?」
と、必要以上に斜に構えてどこのコミュニティにも属さず精神的に孤独な日々を過ごしていました。
手品は上手かったけれど、口下手だし根暗だから人に見せるのは苦手。そんなやつでした。
今思い返すと、その時期にはこの『火の鳥』シリーズを何度も何度も読み返していました。
残酷で重く厳しい現実が描かれているため、読むとさらに暗い気持ちになるのですが、その中に本質的に前向きなパワーを感じるこの作品。
『それでも、生きる』
最終的にそんなパワーをもらえることを知っていたからこそ、無心になって読みふけっていたのかもしれません。
のちに漫画家の妻と結婚して、あらためて手塚治虫さんの存在の大きさを知るようになりました。
いったいどうやったらこんなに膨大な作品数を残せるのか?凄すぎる。しかも全てが圧倒的なクオリティ。
作品の量とクオリティの凄まじさは司馬遼太郎さんにも感じることです。
話がそれましたが、手塚治虫さんには生きる力をたくさんいただきました。
そして、今生きているおかげてこうして魔法つかいとして活動し、なぜか手塚治虫さんの息子さんであるビジュアリストの手塚眞さんとお酒を飲んだりする日が来てしまったり。
人生とは不思議なものです。
生きていることに感謝。
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