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15歳の娘が男だと言い出した。(その9)

翌朝、男子の制服を着用して一階に降りてきたSに向かって、
旦那は単刀直入に言った。
「なんで、その制服?」
(そりゃそう思うよね、私だってそう思っているんだよ。)

「うちの学校は男女関係なく好きな制服着ていいの!
これが着たいだけ」

「俺は、なんでって聞いている。」
再び、旦那が直球を投げる。
Sちゃんは、返答に困っている様子だった。
「男のパンツは、腰回りが女性の骨盤に合わせてないから、女性には不向き。
機能的ではない。」

「大丈夫💢」
「見るからにきつそうだ。」
「きつくない、ジロジロ見ないでよ💢」

「なぜ、女子用のパンツがあるのに、それを買ったんだ?間違えちゃったのか?」
「ちがう!こっちがいいのっ!」
「なぜ、それ?」
「うざっ!理由なんてない!」
「理由がなくて、それを選んだ理由を聞いている。」
「こっちがいいの💢それだけ💢」
「答えになっていない。」

それ以上追及されたくないのだろう。
誰とも視線を合わせず、出かける準備を急ぐ。
ご飯は、食べから学校に行って欲しかったが、私の思いを先読みしたのか、

「きつそうだってパパに言われたから、ご飯食べない💢」
と言い捨てて、出かけて行ってしまった。

急にシンとしてしまった食卓で、夫婦顔を見合わせる。
「なんだあれ。」
「わからない。」
「俺は、娘のパンツ(下着)の線が、くっきり見えるような状態で
バスに乗せたくない
。」
「うん、、、」
「ちゃんと話さないと、いけない。」

お茶を啜りながら、パパはそれ以上何も言わなかった。


続く


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