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《Artist Branding》 オンライン動画とリアル・パフォーマンスの演じ分けと使い分け【分析チャート】

 ここのところ、Instagramで動画を発信しているうちに、ひとつ気付いたことがあるので、まとめておきたいと思います。

 マジシャンとして、「オンライン上・SNSで動画をたくさん出して、フォロワーを楽しませたい!」「自分のスタイルを披露したい!」と思う反面、「全部出してしまったら、リアルで会ったときに見せるレパートリーや(モチベーション)、驚きがなくなってしまう」というパラドックス(矛盾)を感じたことはないでしょうか?

 これからご紹介する、『オンラインとリアルの線引き方法』を理解することで、オンライン上の動画配信も、リアル・対面でのパフォーマンスも、どちらももっともっと楽しめるようになるはず。

 そんな理論を本日はお伝えしていきます。



「4つの領域」に分けて考える【分析チャート】


 次のようなチャートを思い付きました。
 これにあなたの生きたい・演じたいマジシャンの世界観(アーティストとしての表現)を照合すると、考えやすくなるはずです。

パフォーマンス・チャート

縦軸:リアル・対面かどうか
横軸:オンライン・動画化するかどうか 

 したがって、左上から時計回りに、

 ◇ リアルのみのパフォーマンス
 ◇ リアルも、オンライン動画も
 ◇ オンライン・動画のみ
 ◇ 趣味として表に出さないもの

 と4種のパフォーマンス形態に分けることができます。

 それぞれに、メリットやデメリットがありますので、順に解説していきます。

  ① リアル・パフォーマンスのみ

 Coin under the Watch や Card under the Case, Dove Production のような、ミスディレクション系マジックや、逆再生・スロー再生・映像の拡大などによって、トリックが分かってしまうステージマジックは、動画化・SNSへのアップ(無料公開)の相性が悪いことになります。

 また、あなた独自のテクニックやアイディアも同様です。公開してしまえば、かんたんに同業者やマニアにコピーされてしまいます。“安い出し方”をしてしまえばきっと、後悔することになるでしょう。

 このような条件においては、リアル・パフォーマンスのみで、そのマジックを演じることが好ましいことになります。

  ② リアル・パフォーマンスとオンライン動画化

 リアルで演じつつ、オンライン上に、動画としてもアップする。
 これには、さらに2種類の方法があることになります。

 ⑴ リアル・パフォーマンスの全出し
 ⑵ パフォーマンスの編集・部分出し

⑴ リアル・パフォーマンスの全出し

 5分のマジックを演じたのなら、そのまま丸ごと5分を、動画でSNSなどにアップします。
 動画化しても、トリックがバレにくいとか、マジシャンのブランディング、フォロワー・お客様への宣伝のため、といった場合に、オンライン上に公開するイメージです。

 お客様側としては、お金を払って依頼した場合に、「どんなマジックが見られるのか?」をオンライン上で事前に確認できるというメリットがあります。

⑵ パフォーマンスの編集・部分出し

 5分のマジックに対し、1分、2分などにカット編集加工をして、動画化・SNSにアップします。

 これには、以下のような特徴・メリットがあります。

  • SNSフォロワーにとって、どうでもいいシーン(デックを何度もシャッフルしているとか)をカットし、動画を見やすくできる。

  • マジシャンのミスした部分、トリックのバレそうな箇所を隠すことができる。

  • リアルで体験・体感してほしい、マジックのクライマックス部分などは隠して、同等の価値を動画で伝えることができる。対面で演じる楽しさを残しておける。

    • 例えば、アンビシャスカードのオチに、オムニデック(透明の物体)を使う場合など、動画化してしまったら、リアル・対面でそれを経験する驚きは減ってしまいます。

  • コインマジックなどで発生する、不都合な音を、編集で消してしまうことが可能。

※ 余談ですが、写真や、スライドショーとしてパフォーマンスの雰囲気をSNSにアップする場合、それは静止画ですから、動画のような考慮なしに、SNSを賑わせることができます。

  ③ オンライン動画パフォーマンス

 オンライン上の動画のみでお届けするパフォーマンス。

 これは、以前ご紹介した、「スクリーン・マジック」ということになります。

 このメリットは、以下のようになります。

  • 下手くそでも動画の編集・技術でカバーできる。

  • イメージ作り(ブランディング)に有効。

  • リアルではできないことも、動画でなら可能な場合がある。

  • カメラトリックが可能。

  • 完璧な映像作品に仕上げることができる。

  • 誰でも無料・低価格で、スマホでマジックを見て、楽しむことができる。リアルでは届かない人にもマジックを届けられる。

 役者さんの、「映画」と「舞台」で考えてみると、映画は「映像美としての完成度」を、舞台は「臨場感としての感動や体験」を提供するもの・楽しむものだと思います。

 これをマジシャンに置き換えるのなら、お客様・フォロワーを楽しませるために、“ リアルではできないことを、映像作品として届ける ” のもありなんだなぁと、ここのところ新しい考えに至りました。
 (なんでもかんでも、動画編集の力で行うのは、いいマジックとは思いませんけどね。)

  ④ 表に出さない趣味

 リアルにも出さない、動画化もしない、ということは、あなたがおうちで趣味として、ひっそりと楽しむマジック、ということになります。

まとめ

 「④表に出さない趣味」を除くと、以下4種類の、外に発信・表現するパフォーマンス形態があることになります。

① リアル・パフォーマンスのみ
② リアル・パフォーマンスとオンライン動画化
   ⑴ 全出し
   ⑵ 編集・部分出し
③ オンライン動画パフォーマンス


 個人的に、「動画とリアルと、どうバランスを取ったら、SNSも対面も、気持ちよくパフォーマンスできるんだろう?」と考え悩んできました。

 が、先述のチャートで全体をとらえ、動画にも「全出し」「編集・部分出し」さらには、「“動画のみの”パフォーマンス」がある、と細分化することで、自分のアイディアを守れる発信スタイル、ブランディング戦略が見えて、とっても楽になりました。

 あなたのご参考になれば幸いです。

 Matty


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