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出かけてきたよ⑦(弥山)

(この夏の里帰りの思い出を綴っています)
宮島は、古代から島そのものが信仰の対象だった。
厳島神が鎮座され、山岳宗教の対象にもなり。
弥山には、三鬼大権現が祀られ、空海による修験道場にもなった。
厳島神社が世界遺産に登録された際、この弥山も登録されている。

今回宮島を訪れるにあたり、
ぜひこの弥山の頂上におうかがいしたい、と考えていた。

なぜかあまり、今回の旅の下調べをする気がしなかった、私。
現地に到着すれば、どこから頂上にいけるかわかるよね、と
かなり鷹揚に構えていた。

大聖院に行く道すがら、地図を何気なく見ていた。
「大聖院コース」
へえ、弥山の登山道に、大聖院近くからのものもあるんだ。

大聖院の寺務所の方とお話していた時、
この大聖院コースについてもたずねてみた。
「ああ・・・。そういえば、何年か前に登ったことがあるんです。
 かなり、階段が多いですよ。」
えっ、何年か前・・・という事は。
登山はあまり、ポピュラーじゃないのかな。
「(私を見ながら)お元気そうでいらっしゃるから、大丈夫ですよ。
 きっと登れます。あっ、そうそう、これ、どうぞ。」
と、参拝者にわけているポケットティッシュをくださった。
仏様からのプレゼント、ありがとう。
なんとなく、後押しされて大聖院を後にした。

人は行くべきところに、行くべき時行くようになっているのかもしれない。
私と家族はその日、「大聖院コース」を辿った。

私は弥山について、全く調べなかったわけではない。
とはいえ、この山を登山するにあたり、行程がどのような場所で、
山頂までどのくらい時間がかかるのかは、知らなかった。
知っていたら、私は行くべき時に行くべきところ、
弥山の山頂に登らなかったかもしれない。

白糸川沿いに登る途中、時折下山してくる人々と挨拶を交わす。
日本出身の登山者がほぼいらっしゃらなかったのは、なぜだろう。
”コンニチワ~” 
お一人除いて、皆さん非日本語話者と思われたが、
この山での挨拶は、日本語が共通語らしい。

突然、祠が見えてきて、驚いた。
「瀧宮神社」
お参りして、エネルギーを分けていただいた後、
炎天下をひたすら前に進んだ。
人の手が入っている道であるものの、険しい。延々と続く階段。
体があることを、実感する。心が空になる。

仁王門が見えた時、万歳したくなった。
不消霊火堂横で入手できたボトル水の美味しさは、忘れられない。

弥山の展望台は、木でできている優しい雰囲気の建物。
(そういえば、おりづるタワーの展望台と似ていた。)
展望台からは、360度景色を見渡すことができる。
絶景と言うのは、あの日見た景色のことをいうのだろう。

ロープウェーで下山。
その景色は美しかったし、やはり文明の利器は便利だなあと、
しみじみ感謝。
登山も経験出来て良かった。心底そう思う。

宮島。そして弥山様、ありがとう。
ぜひまた、ご挨拶にうかがいます。


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