個人的ワースト映画
皆さんにとって、「この映画は見るんじゃなかった」となった経験はあるでしょうか。
私はあります。
先にお伝えしておくと、完全なる個人的意見です。
これから書く映画が大好きな方もいるかと思いますので、タイトル見て「えぇぇ??」となったらそこでこの記事を閉じて頂くよう、よろしくお願いします。
ネタバレもありますのでご注意ください。
では早速、やっていきましょう。
私の中のワースト映画、それは
『ニノ国』
でございます。
監督はあのジブリで作画監督や演出などを担当されていた、百瀬 義行さん。
元ネタは当然、ゲームで発売されている『ニノ国』です。
私は元々、このゲームの『ニノ国』が大好きで、映画になるのを楽しみにしていました。
ですが、映画のポスターを見てまず愕然。
主人公がオリバーではないのです。
え?『ニノ国』っていう映画だよね?と二度見したのを思い出します。
説明を読むと、どうやら同じタイトルで世界観も同じだけれども、全く違う物語とのこと。
なんだそれ。。。とは思いましたが、このジブリっぽい作画を見て、こちらはこちらで面白いんだろうと期待して映画館に足を運びました。
結論をすでに言ってしまってますが、過去に見た映画の中で1番面白くなかった、というか登場人物の誰にも共感ができなかったのです。
主人公は車椅子に乗っているユウ。
そしてポスターに堂々と登場しているのが親友のハルです。
後ろの女の子は2人の幼馴染で、ハルの彼女であるコトナ。
この3人を中心に物語が進んでいきます。
まず冒頭。
コトナが以前から付きまとってきていたストーカーっぽい男に刺されてしまいます。
そこで何でかハルは救急車を呼ぼうともせず、自分が助けると言い出します。
こんな序盤から意味不明な展開。
そのうえ、車椅子に乗っていて身体が不自由な親友ユウに対して、「お前何で助けないんだ!?」的なことを言って怒り始めるのです。
そんなことを道路でしているものだから、ハルが車にひかれそうになり、それをユウが突き飛ばして助けようとしたら異世界である「ニノ国」に来てしまったという始まり。
・・・・・わけ分からんです。
これじゃあ、巷にある異世界転生アニメとほぼ変わらないじゃないかと、映画館で何とも言えない感情になりました。
そしてなぜだか「ニノ国」ではユウが歩けました。
これは映画の最後に種明かしがありますが、いい設定だっただけに、もう少し分かるような描写を入れたりしたらよかったと個人的には思います。
親友のハルはこの映画中、ほとんどずーーーっとユウに敵意を向けていて、性格悪すぎて見ていられませんでした。
「ニノ国」がユウたちがいる世界と繋がっているという世界観はゲームと同じです。
ゲームでも、川で溺れたオリバーを助けてくれたお母さんが心臓発作で亡くなってしまったため、妖精シズクに導かれ「ニノ国」にいるお母さんと同じ魂を救って、現実世界のお母さんを助けるために冒険に出るといったストーリーでした。
映画では刺されてしまったコトナと同じ魂を持つ人物である「ニノ国」のお姫様を助けるといった流れになっています。
何度も言うように、設定や世界観はゲームと同じなので、面白くなる要素はふんだんにあったはず。
話の流れだけを見れば、映画を見ていない人にとっては「え?面白そうじゃん」となりそうな作品なのです。
設定も世界観もいい。
では何がダメだったか。
登場人物たちが全員、自分のことしか考えていないから
これに尽きます。
なぜかハルが「ニノ国」のお姫様を殺せばコトナが助かると思い込み、完全に悪役の立ち位置となります。
そして全く戸惑うことなく、お姫様だけでなく、親友だったはずのユウまで殺そうとしてくるのです。
「どうせここは夢なんだし人殺しくらい・・」と言うハルのセリフに共感できる人がどのくらいいるのでしょうか。
2人が元々「ニノ国」の住人で、剣とか使って修行してたとか、命のやり取りをしてたとかならまだしも、日本からいきなり飛ばされてすぐにそういう思考回路になるのが全く理解できませんでした。
こういうのって、例えばこの場にコトナがいて、ユウ以外の誰かがコトナに刃を向けたから咄嗟に手が出た、とかなら分かるんです。
好きな子を危険に合わせたくないと、本能が訴えた感じがするから。
でも、昨今の異世界転生もそうですが、ゲームの世界観を入れすぎていて、人の命を軽く描く作品が多いように思います。簡単に切っちゃうんです、他人を。
ユウは必死に説得を試みますが、このハル、全く聞く耳持ちません。
おそらく、見ていた大多数の人がハルのことを嫌いだなぁと感じたと思います。
コトナも何でかこの自己中心的なハルの彼女のままだし、主人公はコトナにそっくりなお姫様と恋仲になります。
それはつまり、コトナのことがそこまで好きだったわけではないんだなということになってしまう。
顔が似ていて性格も少し似ていれば誰でもいいのか、と。
結局ユウは歩けるし彼女いるしで、「ニノ国」に残るというエンディング。
なんだかんだでハルとも和解。
殺そうとしてきた相手と、何で最後にまた親友に戻れるのか不思議すぎました。
この作品、本当にもったいないのです。
人物描写をもっとちゃんと深くしてれば名作になったかもしれない。
コトナが刺されるではなく、普通に交通事故にあって、それをハルがすぐに救急車を呼んでいたら何も思わなかった。
ユウと協力してハルを路肩に移動させようとしたら2人ともはねられそうになる、とかなら全然納得できるスタートでした。
例えば、お姫様を助ければコトナが助かる設定をそのままに、ユウが「ニノ国」に残ると言い出したことをきっかけにしての仲たがいならよかった。
ハルがそそのかされていても、「まさか殺し合いをするなんて知らなかった」という展開なら、みんながハルに感情移入ができたのです。
全員が自己中心的な考え方で、浅いやり取りで殺そうとする。
そんなキャラクターたちだから、愛着が持てない。
他の方のレビューで「子供向けだから仕方ない」とありましたが、同じく子供向けである『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』は素晴らしい作品なのです。
他の子供向け映画でも、ここまでのキャラクターはいません。
なので、これは子供がとか大人がとかよりも、映画としてダメだったと私は思っています。
あの久石譲さんが音楽を担当されているはずなのに、曲も全く覚えていない・・・。
とても残念な気持ちになった映画、あなたにはありますか?
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