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香港人の興味

「毎日クッキングするの?」
と何回も聞いてくる香港の友人の顔が驚きに満ちて、逆に面白かった。

2004年私たちはオーストラリア、パースの語学留学で出会った。香港から来た2人組。名前は2人ともチェリー。
彼女達は2週間という短期間だったが、授業が終わると毎日パースの観光に出かけていた。いい意味でガツガツしていた。そこに私も入れてもらった事がキッカケで仲良くなった。

2004年の出会いから、その後会ったのは2014年。今日は2024年。なので、2004→2014→2024と10年毎に会ってるらしい。なんかおもしろい偶然。

しかも、その10年の間メッセージのやり取りは皆無。なのに会える人には会える「縁」というのはこういうことなのだろう。

今回会えたのも、一昨日facebookを開けたらチェリーが京都の有名な神社の写真を挙げていた、それを見てすぐに連絡して再会を果たした、といういきさつだ。

もう一つの偶然は石川の地震が関係する。彼女達は最近有名になりつつある京都北部の伊根町という場所に行く予定だった。しかし元旦の地震ですべて予定変更、京都市内に滞在延長となった。どのような事情であっても、今回会えた事に感謝した。


彼女達が京都の湯豆腐を食べたいと言うので、豆腐のメッカ南禅寺周辺を調べた。しかし直近で有名店は全て満席。それでも旅人の期待に応えたい私は必死で湯豆腐屋さんをリサーチ。運良く、評価の高いお店の予約が取れた。

冒頭はそこでの話だ。
彼女達は矢継ぎ早に質問をしてくる。そんなシチュエーションは私にとって珍しい。私は大抵質問する側なので。でも日本の普段の生活に興味を持って聞いてくれるのは、嬉しい。ある事ある事アウトプットした。

その中で彼女達が特に興味深そうだったのは『クッキングを全てやるのか?!』という内容だった。日本人にとっては不思議な事ではないが、私は香港の家事事情もわかっていたので違いを肌で感じて面白かった。

香港のスタンダードは住み込みメイドさんを雇うこと。その人が料理、掃除、子どもの送迎、老人の介護など全てやってくれる。インドネシアやフィリピンからの出稼ぎの女性が多い。価格は1カ月10万円ほど。

「仕事してるのか?子どもは学校送迎いらないのか?家の用事はどうするのか?」彼女たちの質問に『全てやります』の私の答えが納得いかないようだった。「不可能だ!」と。「仕事と言っても、子どもが帰宅する時間には家にいるよ」と私が言えば「それじゃあ仕事ができないじゃないか!」と返答。まぁそうなんだよね、と思いながら笑う私。

メイドさんか…と思う。私はいらないと思った。メイドを持つって偉そうな身分のようにも感じるし、自分のアレコレを人にやってもらう、しかも家族以外の人が常に家にいる、違和感。

ただ、これはお互い単なる染み込んだ習慣、文化の違いであって、いくら照らし合わせても交わることはない気がした。でも、嫌悪感などではなく「違い」をおもしろがれた経験だった。もしかして昔、ペットボトルの水を買う習慣がなかった時に、店に売っているのを見て感じた違和感と似ているかもしれない。今ではそう思わなくなった事のように、今後変化するかもしれない。

食後「10年前、トンカツおごってもらったから今日はおごるね!」と言ってくれたチェリー。おごったことは全く覚えてないけど、2034年は私がおごる番だ。そう言ってお別れした。


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