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金魚と煙草(1話無料)家族との別れから経験した葬儀の段取り、納骨の方法、墓じまい、遺産処理等々についてのエッセイ

元気だった時代から病気へと

これまで家族は元気で過ごしてきましたが、人は皆、歳には勝てない宿命があり、初めて身近な家族の死を経験しました。

このブログは、同じように家族の死という別れの場と向かい合う状況に遭遇し、その後の葬儀の段取り、納骨の方法、墓じまい、遺産処理等々について経験したことのない方々に対し、私自身の経験談を交えた内容をお伝えしたいと思い作りました。

父の寿命は85歳でした。

工業高校を夜間学校に通いながら建築会社に就職。

卒業後、そのままサラリーマンとして働き続けました。

2000年に父の務めていた建築会社がバブル崩壊の影響を受け倒産。

父は経営を担う人材だったので、あたかも倒産の原因が父にあるような言いがかりとも取れる責任追及が行われたり、会社の整理に追われる日々をしばらく過ごしていました。

約1年後ようやく落ち着いた段階で、協力者の力を借りて父自身の会社を立ち上げることができました。

社員は当時の倒産した2名を雇入れスタートしました。

倒産した会社から退職金など出るはずもなく、当時はお金はほとんどありませんでしたから、これまで取引のあった他社の社長さんが持っている事務所一角を間借りし、事業を進めてきました。

当時の年齢は60歳過ぎだったと思います。

まだまだインターネットなど周知されていない時代でした。様々な受注を頂けるようにと、父の仕事の役立てられればと思い、素人ながら会社のホームページを作ることにしました。

事業経営はバブル崩壊後も回復する兆しは無く、厳しい経営環境が続いたようです。

それでも毎日の仕事が楽しいのか、結果的に会社経営は幸いにも20年以上続けることがでたようです。

応援から始まったホームページ作りも改造重ね「バージョン」が8まで進みました。


ガンからの復活と入院に至るまで

会社経営後のことでした。

65歳で胃がんが見つかりました。

検査の結果、全摘と診断され、父の胃は全て取り除かれました。

全摘後の体型はまるで違いました。胃がゴッソリ抜けたのですから、お腹は凹み、これまで太っていた体型も痩せたようでした。

胃の全摘によって食事は180度変わります。

これまでの満腹になるまで食べる行為ができなくなります。

食道から十二指腸にいきなり食べ物が入るわけですから、一度に多くは食べられないのです。

食事の時間は通常の人の3倍から4倍ほどかけてゆっくり食べなければ消化することが出来ません。

これにショックを受けたようで、父は精が付くものはないかと言い、食事の後も必ず何か口にし、痩せた身体を取り戻したいと言わんばかりに食べ続けていた記憶があります。

手術の後は、医師からできるだけ歩きなさいと指導されたようで、母と一緒に毎日2km程度の散歩を行っていました。

その甲斐あってか17年間ガン再発の兆しはなく、会社経営しながら日々穏便に過ごしていました。

父は山好きでしたから、元気であった頃は母を同席させ日本アルプスに連れていき、登山を一緒に楽しむことも行いました。

登山時には胃は無かったですから、脱水症状や力が出ないなど体調不良に悩まされましたが心弾むのか一生懸命登っていました。

また車で遠く離れた温泉にも、たくさん連れて行った記憶があります。

手前味噌ですが、この間父はいい時代を過ごせたのではなかったかと思います。

体の不調

83際の頃、建築現場で父は年甲斐もなくハシゴに登りましたが、バランスを崩し1.5m程度の高さからドスンと地面に叩きつけられました。

その際、父は自分の身体を支えようとしたのか、足の裏を地面についたのは良いのですが、骨密度が低く、骨が脆い状態であったので太ももの大腿骨が骨盤を突き抜ける大惨事が起きました。

救急で搬送され、精密検査を行った結果、重体と診断され急遽手術が必要となりました。

突き抜けた大腿骨をもとの場所に戻さなければならない特殊な手術が必要とされ、成功率は年齢のこともあり、低いと医師から宣告されました。

しかし幸いにもその特殊手術を手掛けることができる医師が、近くの病院に務めているという話があり、その医師に手術を依頼、身体に金属ワイヤーを挿入する長い手術でしたが、無事成功しました。

手術は成功したとしても、その後のリハビリは若い人以上に頑張らなければなりません。

リハビリに励む父の姿を病院まで見に行きましたが、元気そうに必死になって励んでいた姿が頭の映像として残っています。

ただ年齢も年齢、すでに父は高齢で完全復活とはなリませんでしたが、杖をつきながらでも歩く生活を取り戻しました。

それでも父は仕事を辞めませんでした。

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