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世界の全てを知る事はできないけれども

タイ旅!
#4, ロイヤルラタナコシン③


【前回までのあらすじ】タイに絵本の売り込みにやって来たまえだゆうき。
パンツと靴下を買いに街へと繰り出したのはいいが…。

勢い込んで乗り込んだトゥクトゥクだったけれども、結局パンツと靴下は買わずに、絵を描く用の画材だけ買って帰ってきた。

画材探しだけでお腹いっぱいになったのもあるけれども、意外とタイの物価が高かったのだ。

『タイの物価』

サンダル 100バーツ(380円)
画用紙 105バーツ(400円)
絵の具 165バーツ(630円)
などなど。
 

海外を旅行すると、通貨が変わって、ついでに感覚も狂って、ついついお金を使いすぎちゃうというのはあるけれど。
冷静になって計算してみると、タイの日用品もそんなに安いわけではない。


30万円あれば余裕!なんなら離島にも旅行に行こうか。
と思ってタイにやって来たけれども、2日目から雲行き怪しである。

(これから先、タイの物価高には、旅の最後まで苦しめられる事になる)


それに、パンツや靴下よりも、まず解決すべきなのはインターネット環境。
外出先でグーグルマップが使えないと散歩に出たままリアルに遭難するし、道を聞くにもグーグル翻訳なしでは会話も成立しない。


拙いタイ語を駆使して、インターネットショップになんとかたどり着いたのはいいけれど、なんと、そこは閉店。


にっちもさっちもいかないので、タクシーの運ちゃんに、
「SIMカード!」「SIMカード!」と連呼したら、笑いながら100メートルぐらい先のセブンイレブンまで乗っけていってくれた。


言われるがままに店内に入ると、レジのお姉ちゃんが戸棚の中からSIMカードを出してくれてスマホに装着。
(しめて350バーツ、1330円)


みるみる元気を取り戻すスマホの電波に感動した。
半日とはいえ、ネットのありがたみを噛み締めた瞬間である。



   

とまぁ、買い物一つとっても、ネットを繋ぐにしても、分からない事ばかり。
何も分からないままホテルに戻り、夕暮れになればまた、何も分からない街をぶらぶらと散歩する。


私の泊まっていたロイヤルタカナコシンホテルのそばには小川が流れていて、夜になると、小川のほとりに屋台が立ち並び、美味しそうなご飯の匂いや湯気が、あたり一面に漂い始める。



日が沈み、発電灯の灯りが灯る頃、どこからともなく人々が集まってくる。


夕闇の下、何をするでもなく、川辺にござを敷いて寝転ぶ人々。
屋台で飯食う人々。


私も、名も無きクイッティアオ(タイのラーメン)の屋台に腰掛け、
一杯40バーツ(約150円)のクイッティアオをすすり、街に溶け込む。


バイクの両脇に天秤棒を通し、わっさわっさと果物を乗せたおっちゃんが走り抜けていく。

一日中、道路の脇で寝ている犬がいる。

仕事帰り、屋台の惣菜をビニール袋に入れて持ち帰るおばちゃん。



夜はノスタルジーを運んでくる。


多分、この地球上には何百万という路地があって。
その路地、その路地毎に、それぞれの空気があり、それぞれの流儀があるのだろう。


そんな路地の風景を、出来る事ならば全部覗いてみたい。という衝動に駆られる事もあるけれど。
すぐに残りの人生の長さを思って、考えを改めたりもする。

 

なにせ、買い物一つとっても、ネットを繋ぐにしても、分からない事ばかり。
きっと世の中の大部分の事は、このまま、何も分からないままに終わっていくのだろう。


とまぁ、勝手に独りごちてホテルに帰る前に、スイーツを買いにセブンイレブンに寄る。
街を歩いていて思ったが、タイはどこに行ってもセブンイレブンにだけは困らない。

勝手知ったるコンビニの店内。
見知らぬタイ文字スイーツに紛れて、見慣れた顔ぶれもちらほら。


今日はキッコーマンの豆乳飲料にしようか。
アルフォートにしようか。
明治のコーヒー牛乳も美味しそうだ。


なぜか、見知らぬ国にいても、セブンイレブンがあると思うと安心してしまうから不思議である。


まさか、心の故郷がコンビニになる日が来るとはね。
タイ旅2日目はこうして過ぎていく。



→ロイヤルラタナコシン④へ続く。

【タイ旅!】#5,ロイヤルラタナコシン④はこちら!


【タイ旅!】#3,ロイヤルラタナコシン②はこちら!



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