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「峠 最後のサムライ」を観ました!

昨日、「峠 最後のサムライ」を観に行きました。ちなみに、この日(28日)が公開の最終日でした。

私が司馬遼太郎の原作小説を読んでから少なくとも20年は経っています。よって内容の多くは忘れてしまっているため、原作と比較して云々ではなく、この映画を独立したものとして観ようと思いました。とは言うものの、やはり実際に観ていると、かすかな原作の記憶を思い起こして比較してしまうものでした。

まず冒頭、徳川慶喜による大政奉還のシーンがありますが、「総髪」の慶喜が実に意外で驚きました。

映画は破綻が無く常識的によくまとめられ、質が高いと言えるでしょう。ただ、そのまとまり方が無難に小さくまとめられたという感が拭えません。そのためこの映画には「華」が無く、さらに述べると一個の映画人(クリエイター)としての監督(脚本も同じ)の「狂気」が伝わってこないのです。それが理由なのか、危機にひんした越後長岡藩が持つ緊張感が全体的に感じられませんでした。
また、この点からか観終わった後、カタルシスを感じられないという不満が残ります。

いったい河井継之助の生涯を描きたいのか、それとも激戦となった北越戦争を描きたいのかどっちつかずにも感じられたことも不満です。結果、どちらもものたりない描写になっている気がします。

この手法は両刃の剣ではありますが、もう少しナレーションとテロップを用いて、登場人物などの説明をしてくれれば、もっと作品世界に感情移入ができました。

役所広司は好きな俳優の一人ですが、私は河井継之助にはもう少し線の細い俳優が合っていたと思います。

音楽が加古隆なのは驚きました。

酷な述べ方をすると、決してつまらなくはありませんが、面白いと手放しで言えるほどでもないといった感想です。


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