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小さな恋未満、のものがたり。

2月14日。バレンタインデーです。
義理チョコをくばる、くばらない、くばるのをやめませんか? など色々な話題が出ていますね。

私がこれまでに勤めてきた職場では、バレンタインに義理チョコを渡す習慣がありませんでした。ですので「義理チョコくばる習慣がある会社は大変そうだなぁ」と、たくさん買い込んでいる人たちを横目で眺めていました。

ただ、一度だけたくさんの人に義理チョコを配り歩いた記憶があります。

小学5年生のときでした。

放課後に、クラスの女子たちが集まるから来ない? と誘われました。自宅にランドセルを置いて、自転車に乗ってお友達の家に行きました。私がいったときはすでに5、6人のクラスメイトがお友達の家に集まっていました。そこにはチロルチョコが20個くらい準備されていて「これを、クラスの男子に配りに行こう」と言われました。

ただ、そのまま渡して勘違いされても困るから、ということで「これは、ギリギリギリギリチョコです」という歯ぎしりみたいな「ギリギリ」メッセージを折り紙に書きました。そのメッセージつきの折り紙でチロルチョコを包んで渡すことになりました。

みんな自転車で来ていたので二手に分かれて男子の自宅に渡しにいきました。
その当時は気が付きませんでしたが、みんな好きな男の子がいたんですよね。AくんとBくんは私たちが行ってくるから、など「配りたい家」が事前に決まっていたんです。
私はとくに好きな男の子はいなくて、多分カモフラージュというか、賑やかし的な存在として呼ばれたんだと思います。(私以外にも、そんな感じで呼ばれていたクラスメイトはいました)

ギリギリギリギリ、歯ぎしり義理チョコでも、男子の自宅のインターフォンを押して、「Oくん、いますか?」と告げたときはドキドキしました。まったく恋心はないのに。でも、男の子にチョコレートをあげるという行為がなんだか特別なことだと思っていたので「はい、これ」と手渡すときは、恥ずかしくて、妙につっけんどんになったことを覚えています。

チロルチョコをあげた男の子に恋心が芽生えたわけではありません。ですが、その子は律儀に(というか、お母さんが用意して下さったと思います)ホワイトデーに、小さな小瓶に入った黄色いビーズをお返しにプレゼントしてくれて、とても嬉しかったんです。そのビーズの小瓶は、私の宝物のようになって、長いあいだ学習机のなかで静かにきらめいていました。

小さな恋にも発展しない、小学生のころの淡い思い出でした。

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