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間詰ちひろ
2018年7月9日 09:48
「クセがないのに、クセになる!」202X年、7月9日。あるインスタト食品が発売された。その商品名は「ななくせ粥」。お湯をそそいで、一分待てばでき上がる。CMで大げさに言っているとおり、味には大きな特徴はない。しかし、ひとくち食べてしまったら、「もっとほしい。もっと食べたい」と脳をぐらぐらと揺すられるほどに、虜になるという。「えー、もう売り切れですか? なんかわたしのシフトのときばっ
2018年4月23日 09:24
「あのさー、今日の夜あさりの面倒見てくれない?」夫は仕事へ行く支度をしながら、こともなげに私に告げる。私にとっては非常に気が重いひとことでもある。先週の半ばに、夫は一人で潮干狩りに行ってきた。平日だったし、私は会社を休んでまで潮干狩りに向けた情熱はない。シフト勤務の夫は、カレンダーにマルをつけて、数日前から準備をしていた。「周りの人たちが、すごく便利そうなグッズを持っていて、それを作って
2017年10月2日 08:30
「そろそろ、だね」チラリと腕時計に目をやった。夕方の、ちょうどいい時間にさしかかっている。私は戦闘体制に入るべく、キュッと気持ちを引き締めた。シュッと音をたてて、ルアーをポイントに投げる。さあ、今からが勝負時だ。真剣にリールを巻きながら、私は釣り竿の引きに集中した。私が釣りにハマったのは、大学時代に付き合っていた元カレのせいだった。アウトドア好きだった元カレは「見てるだけでもい