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デジタルネイティブのキミたちへ。

トン、トン。スーーーッ。

娘(当時1歳半)に、大好きなアニメのキャラクター図鑑をプレゼントした。初めて見るぶ厚い紙の図鑑。表紙をめくると、娘はいきなりキャラクターの絵を指でタップしたり、ページをスワイプしたりし始めた。
そして、「絵が動かない!」と泣いて怒った。

さすが、デジタルネイティブ。
そうこなくっちゃ。

こんな光景を微笑ましく思いつつも、胸の奥がチクリと痛む。

私たちが不妊治療の末に息子を授かったとき、私は38歳、夫は45歳。娘が生まれたのは、さらにその3年後。

子どもたちと一緒にいられる時間は短い。

私たちがいなくなっても子どもたちが困らないよう、私たちにできることは何なのか。

デジタルネイティブの子どもたちと、青春時代をどっぷり昭和に浸かって生きてきた私たちとでは明らかに人種が違う。私たちの過去の体験は役に立たない。

そう考えたとき、できることはひとつだった。

それは、幼い頃から積極的にITリテラシーを高めること。

パソコンやスマホ、インターネットと言うと、子どもたちに対しては制限することから始まるが、それは逆に子どもたちの未来の可能性を狭めてしまう。むしろどんどん使わせて、危険性も含めて教えるべき。

車が危ないからと道路を横断させなければ、前には進めない。

今や、日本の田舎の片隅に住んでいても、オンラインで世界トップレベルの教育を受けることもできる。SNSも正しく使えれば、自分の意見を世界に発信できるし、世界の目にも触れる。住む場所も年齢も関係ない。

我が子には早いうちからタブレットを使わせ、保育園でひらがなとアルファベットを覚えた時点でローマ字入力で検索できるようになった。海外の動画を観る中で、英語はもちろん、韓国語やロシア語などにも親しんだ。小学校高学年になると複数のSNSを運営し、動画編集も私より上手になった。

ITリテラシーは、この先どんな時代が訪れても、時代を生き抜く力になる。

私と夫は、30年近くITに携わる仕事をしてきた。その便利さも怖さも、重要性もよく知っているからこそ、親として我が子に伝える義務がある。そのひとつひとつが、未来の子どもたちを支えてくれるだろう。

あれから10年。
キャラクター図鑑は、今も家の本棚で我が子の成長を共に見守っている。

私たちがいなくなっても、ずっと子どもたちの心の支えでいること。
それが、子どもたちのためにできること。


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