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JALの機内誌のように② 春の訪れ ルクセンブルクの火祭り

海外に行くことが難しいので、よく乗っていたJALの機内誌のように昔の思い出を書いてみました。

ヨーロッパの冬は、長く、暗く、寒く、心が冷えてきます。そのぶん春の到来が待ち遠しく、春になると気持ちがはじけます。

ルクセンブルクの緯度は樺太ぐらいですから、夏は日の入りは22時ぐらいになります。その代わり、冬は日の出は8時半ごろ、16時には暗くなります。
雪が降り、ほとんど毎日厚い雲に覆われます。高原のような土地に国があり、標高が400メートルくらいですから雲が近くまで覆い被さってくるような感じです。

8月の終わりには、もう初秋、10月には冬タイヤに交換しますので、秋は一瞬で終わり、日光の少ない暗くて長い長い冬を過ごすことになります。

家の中で過ごす時間が多くなりますが、無性に太陽が恋しくなり、クリスマス休暇には人々は南仏、スペインに向かいます。

2月になるとたまに雲間から差し込む日差しに春の到来を感じます。1日1日春が到来してくるのを感じます。

春になると、、、冬の暗さのために光に対する感覚が鋭敏になっているせいか、あるいは緯度が高いことによる日差しの角度が低いせいか、新緑の色も日本のそれとは違う色に見えます。
冬の間は音がない時間が長いせいか、鳥のさえずりに失われた聴力が戻ってきた感覚がします。

ヨーロッパには春の待ち望む行事がいくつかあります。

ルクセンブルクには、Buergbrennen、冬の終わり、春の到来を告げる中世から続くフェスティバルがあります。毎年2月か3月、カーニバルの後の最初の日曜日に国中のいたるところで行われます。
1カ月前からやぐらの準備をして、高さ15メール以上もあるやぐらに火をつけます。BGMを流し、ビールを飲み、ホットドックを食べたりしながら、ただただ炎を見つめます。踊りとかもなく、人々はただただ炎を遠くから見つめます。

火には勢いがあり、100mぐらい離れていてもその熱を感じます。空に舞い上がった火花が風下に流れてきます。まだ寒い時期のフェスティバルですが、暗くて寒い長い冬が終わり、やっと新緑の春が来るんだ、と燃え盛る光景に希望を感じます。



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