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クールベ展にみる地方美術館の地力(じりき)

「クールベと海」という展覧会が開催されています。作品の素晴しさもさることながら、これらが日本各地の美術館から集められたものであることに驚きました。

愛媛県美術館、静岡県立美術館、島根県立美術館、栃木県立美術館、などなど。
県立美術館だけではありません。尾道市立美術館、姫路市立美術館、郡山市立美術館、など市立美術館からも作品が集められています。

今回の展覧会は、クールベだけでなく、モネ、シスレーなどの作品も展示されていますから、これらの美術館すべてがクールベの作品を所蔵している訳ではありませんが、地方の美術館の地力(じりき)を知ることになりました。

見方を変えれば、名作が全国に点在している、とも言えますが地方美術館には集客の潜在力がある、と思います。

4月25日の日経新聞朝刊のTHE STYLEに、「美術館常設展 広がる世界」として島根県立美術館で現代美術家の杉本博司の作品52点が展示されていることが紹介されていました。1995年に購入したそうですが、これだけの作品を見られるのは他にはないそうです。
(記事は日経新聞のビューアーで読むことができます)

島根県の隠岐の海を含めた《海景》のシリーズということで、県立美術館が購入したのかもしれませんが、杉本氏のファンからすれば、ぜひ訪れたいことでしょう。

これに限らず、地方の美術館には地元に関わる作家の作品がまとめて所蔵されていることがあります。横須賀美術館の谷内六郎館や、世田谷美術館の向井潤吉など遺族が故人の縁のある地の美術館に寄贈したものなどです。

クールベの場合には、どのような経緯で各地の美術館が購入したかは分かりませんが、今回展示されている作品が日本の各地の美術館に所蔵されていることに驚きました。

島根県立美術館のサイトを見ると、クールベのような海外の著名な作品は所蔵品として美術館のHPで見ることができますが、杉本氏の作品はまだ1作品しか閲覧できません。これから順次HPから検索できるようにするようです。

巣ごもりをきかっけにアートに興味を持つ人が増えるでしょうから、各地の美術館に所蔵されている作品も、保存の問題はあるでしょうが、展示の回数を増やしていけば、新たなアートファンを呼び込むことができ、地方創生の一助になると思います。

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