【書いてみた】短編「起点」【藤井】
鈴木は人を殺したことがない。
かつて鈴木の母親は不倫をしていた。鈴木が中学生の時、学校で授業を受けていたが体調が悪くなり早退した日があった。学校と家が近かったため、歩いて帰宅した。玄関を開けると見知らぬ靴が脱ぎ捨ててあり、奥の寝室からは自分の母親の喘ぎ声が聞こえてくる。
中学生の鈴木は何が起きているのか理解出来たが、理解したくない気持ちと視覚と聴覚に入ってくる受け入れ難い現実に一瞬で押しつぶされ、体調の悪さが増し、玄関でうずくまったのを大人になった今でもトラウマのように覚