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コロナ禍の消費者像を捉えるには?消費者の価値観変化をキャッチする「コロナセグメント」

新型コロナウイルスの感染拡大は、計画購買や巣篭もり消費、オンライン飲み会がスタンダードになるなど、私たち消費者の生活に大きな変化を与えてきました。これまでに経験したことがない生活変化を強いられ、消費者の行動・意識が多様化している中、商品やサービスを提供する企業の生活者へのアプローチ方法も変化に対応していくことが求められています。

マクロミルはこのような背景を踏まえ、いち早くコロナに端を発した生活変化を分析するために『コロナセグメント』を2020年12月に開発しています。これは、「生活の質」「消費価値」「生活態度」の3つの軸をもとに、消費者を6つの類型に分類することができる新しい消費者セグメントで、通常のアンケート調査に設問を1問追加するだけで、本セグメントによるデータ分析が可能となります。

本稿では、QPR™(消費者購買履歴データ)モニタを対象にこの『コロナセグメント』を活用し、性年代別、購買意識・健康意識の掛け合わせから見えてきた、各セグメントの特徴や傾向を詳しく解説します。

1.6つの消費者セグメントとは?

『コロナセグメント』における6つの消費者セグメントは以下の通りです(2021年1月時点)。
このセグメントは、マクロミルが保有する130万人の消費者パネルから、実際の購買履歴データやアクセスログデータなどを用いて、「行動」「意識」に表れる違いについて検証を重ね、独自に開発したものです。一番多いセグメントは平均大衆型で全体の約33%を占めています。

コロナセグメント6分類(2021年1月時点)

2.性年代構成比からわかる実態、20~40代女性は巣篭もり派、20~40代男性はアクティブ派

では、この6つの消費者セグメントはそれぞれどのような性年代で構成されているのでしょうか。
性年代別のセグメント構成比のグラフを見てみると、男女ともに年代が上がるほど新しい生活様式を受け入れている「平均大衆型」「コロナ生活謳歌型」「ニューノーマル先行型」が増え、対して年代が下がるほど「巣篭もり外出抑制型」や「アクティブ独断型」が増える傾向になっています。

性年代別のセグメント構成比(2021年1月時点)

つづいてセグメント別の性年代構成比を見ていきます。
「巣篭もり外出抑制型」「コロナ生活逼迫型」は、女性20~40代に多く巣篭り傾向、「アクティブ独断型」は、男性20~40代が多く外出傾向であることがわかります。

セグメント別の性年代構成比(2021年1月時点)

3.時系列で見る6つのセグメント変化、「アクティブ独断型」が増加

コロナ禍の中でも、感染者の拡大や減少、緊急事態宣言の有無などにより、消費者の意識や行動も変わるため、消費者セグメントの割合も変わっていきます。2020年8月から2021年12月において、各セグメントでどのような変化があったのかを見ていきましょう。

「アクティブ独断型」は、2020年8月は10%でしたが、2021年12月には17ポイント増加し27%となっています。同期間において「ニューノーマル先行型」は6ポイント減少し、「コロナ生活謳歌型」も6ポイント減少していることがわかります。
「アクティブ独断型」が増加した要因には、オミクロン株の流行以前の同期間において、ワクチン接種進行の遅さやコロナ慣れがささやかれている状況であったことが考えられます。
一方、「ニューノーマル先行型」と「コロナ生活謳歌型」が減少した要因には、「コロナ生活謳歌型」から「ニューノーマル先行型」への変化、「ニューノーマル先行型」から「アクティブ独断型」へと、セグメント自体の移行が考えられます。次の章で詳しく見ていきます。

性年代別のセグメント構成比(2020年8月~2021年12月)

4.「ニューノーマル先行型」や「アクティブ独断型」に移行した背景とは

では、時系列でセグメントがどのように移行したのか詳しく見ていきましょう。以下の表は2020年8月時点のセグメントが、2021年12月時点ではどのセグメントに変化したかを表しています。特徴的なものとして「コロナ生活謳歌型」から「ニューノーマル先行型」へ55%、「ニューノーマル先行型」から「アクティブ独断型」へ56%と、大きく移行したことがわかります。

前者の「コロナ生活謳歌型」から「ニューノーマル先行型」へ移行した理由として、コロナ以前の生活行動を維持し、ストレスや不自由さをあまり感じていなかった層が、長引くコロナ禍の中で、徐々に新しい生活様式を受け入れるといった変化がありながらも、引き続き不自由さを感じずに充実した生活を送れていることが推測されます。
後者の「ニューノーマル先行型」から「アクティブ独断型」に移行している理由して、コロナ禍という大きな社会変化に対しても柔軟に適応し、社会情勢と合わせて生活様式を柔軟に変えていた層が、コロナ慣れの風潮の中で、自身の価値観で外出などの行動をするように変化したことが推測されます。

セグメント別変化(2020年8月~2021年12月)
※対象データは、15歳~69歳の人口構成比に合わせたQPR™(消費者購買履歴データ)モニタが対象

5.購買意識と健康意識からみる、移行したセグメントの特徴

大きく移行したこの2つのセグメントについて、それぞれ購買意識や健康意識にはどのような特徴があるのか見ていきます。

まず、購買意識を見ていきましょう。
「コロナ生活謳歌型→ニューノーマル先行型」に移行した層では、「お店に入る前に買うものを決めている」が67.8%、「商品をチェックしてから買い物する」が60.4%と、それぞれ全体と比較し10ポイント前後高く、計画購買が重視される傾向がわかります。この層に対しては店頭の販促よりも商品訴求が購入の後押しとして効果的ではないかと考えられます。

「ニューノーマル先行型 → アクティブ独断型」に移行した層では、「多少値段が高くても、品質の良い物を選んで買う」が40.0%と、全体よりも10ポイント近く高いことから、価格よりも品質を重視し、自分自身の価値観で行動する(購買判断をする)という「アクティブ独断型」の傾向が出ていることがわかります。この層に対しては価格勝負ではなく、商品の価値をいかに伝えられるかが重要で、単純な商品訴求だけではなくメニュー提案を含めた商品訴求が購入の後押しになるのではないかと考えられます。

購買意識(2021年6月時点)

「コロナ生活謳歌型→ニューノーマル先行型」に移行した層は、「規則正しい食生活を心かげている」が66.4%、「自分の健康のためにある程度お金を費やしても良い」が54.0%と、全体よりも10ポイント以上高く、健康を意識して食生活に気を付けている様子がうかがえます。また、「実際の年齢よりも若く見えるように努力している」が47.4%と、アンチエイジングの努力をしている様子や健康のためにある程度のお金を使うことがわかります。

健康意識(2021年6月時点)

6.まとめ

以上のように、社会情勢にあわせた『コロナセグメント』を活用し、さらに行動や意識データなどを掛け合わせることで消費者像への理解を深めることができるため、消費者のニーズにマッチしたプロモーション活動にお役立ていただけます。

  • 2020年8月から2021年12月の期間、「コロナ生活謳歌型 → ニューノーマル先行型」、「ニューノーマル先行型 → アクティブ独断型」への移行が多い

  • 「コロナ生活謳歌型 → ニューノーマル先行型」へ移行した層は、計画購買を意識する傾向にあり、店頭の販促よりも商品訴求が購入の後押しとして効果的ではないかと考えられる

  • 「ニューノーマル先行型 → アクティブ独断型」に変化した層は、健康意識が高く、価格よりも品質重視の傾向があるため、この層に対しては価格勝負ではなく、商品の価値をいかに伝えられるかが重要になる。また、単純な商品訴求だけではなくメニュー提案を含めた商品訴求が購入の後押しになるのではないかと考えられる

■分析仕様
対象モニタ:QPR™(消費者購買履歴データ)モニタ
分析対象者:15~69歳の人口構成比に合わせた男女個人
集計期間:2020年8月1日~2021年12月31日
エリア:全国(沖縄除く)
業態:全業態

・・【付録】皆様のご参考情報としてご活用ください・・・

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