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注目不動産テックベンチャーシリーズ005スマートロックの先を見据える『ライナフ』

【新シリーズ】国内不動産テックベンチャーを紹介!
第5回は株式会社ライナフ。
https://linough.com/

ライナフロゴ

株式会社ライナフはニンジャロックというスマートロックの事業を展開されているベンチャー企業である。
不動産テック協会が主導する不動産共通IDを利用した置き配サービスをリリースされており、ECマーケットが拡大する昨今、利用拡大の期待が高まるサービスだ。

さて、鍵というのは古代エジプトのエジプト錠から4000年間ほとんど変化しなかった。

エジプト鍵

これほど長い期間イノベーションが起こらなかった領域で、近年スマートロックに代表されるキーレスエントリー市場が盛り上がりを見せるようになったのは、技術の進歩以上にユーザーのニーズの変化、メンタルモデルの変化が起きているからだろう。遠隔から鍵を操作したいとか、他人と鍵を一時的にシェアしたいというニーズに対するソリューションとしてスマートロックが登場してきたとも言える。

また、SDKI Inc.の調査レポートでは、世界のスマートロック市場は2020ー2026年の予測期間中に12.23%のCAGR(年平均成長率)で成長すると予想されている。

2026年予測

今回は株式会社ライナフの滝沢社長に、Amazonやヤマト運輸と事業提携を進め、不動産デジタルイノベーションを狙う同社の製品サービスの紹介とこれからの事業展開について語っていただいた。
(↓より詳細なインタビュー動画はこちら)
https://youtu.be/orDSZ0HTNFc

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Amazon・ヤマト運輸との事業提携について

滝沢社長:Amazonさん、ヤマト運輸さんと提携している内容が「置き配」というサービスです。
現在、宅配業界では全体の配達の15%が再配達であり、課題となっています。その理由の一つに、配達する荷物の量自体が増えていることが挙げられます。
宅配の取扱数が平成4年で年間12億個だったものが、令和元年で43億個まで荷物が増えていて、実に4倍に増えているんですね。

宅配便取り扱い個数

そして、荷物が増えている量に対して宅配ボックスが足りていません。
その結果、宅配ボックスが満杯になり、持ち帰りが発生してしまいます。

国土交通省が再配達に使われている労働時間は年間1.8億時間という試算を出しています。
この1.8億時間というのは年間9万人の労働力に相当します。年間9万人の人が再配達だけのために動いているということですね。
他にも再配達によるCo2の排出量も問題になっていて、環境問題も含め、再配達をなくしていきたいというところが運送会社全体の課題であり、国の課題でもあるという状況です。

「置き配」は、玄関前等の指定された場所へ荷物を届ける配達サービスです。
置き配を指定すると、在宅の場合でも玄関等の前に置いて届けてくれます。そのため非対面で受け取ることが可能で、さらにいうとインターホンを鳴らされることがありません。
また、置き配は配達先の入居者の方が置き配を希望した場合のみ実施されますので、常に荷物が置かれてしまうわけではありません。

今回のプロジェクトのポイントは、Amazonさんとヤマト運輸さんが使われるデバイスの両方を全て無償で設置させていただいる点です。
オーナー様にとっても、管理会社様にとっても費用負担もすることなく、置き配対応に物件をグレードアップすることができるサービスです。

【置き配のメリット】

【リーウェイズ様】ライナフ会社紹介

今後の事業展開

滝沢社長:オートロックマンションの開閉をIoTでできるようになると、マンションの中に清掃のサービスであったり、食品のお届けであったり、様々なサービスを容易に提供することが可能になります。
もともとライナフは不動産管理会社様向けのサービスを多く展開してきました。しかし、この先は実際に住んでいる入居者の方向けの価値を提供していく予定です。
B to BからB to B to R(Residence=住民)という形を取りながら、入居者の方に少しでも豊かな生活をしていただけたらなと思ってます。

ちなみに、ライナフの社名は「ライフをイナフに」で「ライナフ」としています。
生活をより十分にしていくというところが、当初から会社として目指している方向性なので、やっとそこに向けて動きだしたと思ってます。

(インタビュー終)
資料提供:株式会社ライナフ

最後に

スマートロックはデータ連携することにより、様々な新しいサービスのハブとなる可能性を秘めたデバイスであるということがお分かりいただけただろう。
だからこそ、単純なハードの提供というだけでは差別化が計りにくいという点がスマートロック提供会社の課題とも言える。

そもそも鍵という金物産業はIT業界と最も縁遠い領域だ。開発費がかかる割に利幅が少なく、アメリカのスマートロックメーカー各社も2010年当時VCからの資金調達に相当苦労していた。
だからこそプロダクトそのものではなく、周辺サービスを展開するビジネスモデルにならざるを得ないのだ。
単純にハードの質を高めていくという方向性では、日本の家電メーカーやガラケーメーカーなどの持続的プロダクトイノベーションにすぎない。資金力の劣るベンチャーであるスマートロック各社が勝ち残るためには、そのイノベーションのジレンマから抜け出す戦略を立てる必要がある。

コロナによってスマートロックの重要性が再認識されたが、そのスマートロックから得られるデータの活用やスマートロックを活用した例が今回ご紹介した置き配サービスだ。
こうしたサービスをどのように組み込んでいくことができるか、また単に「キーレスです」という以上の付加価値を顧客に提供することができるかという点が、不動産事業者にとってソフトウェア事業へのビジネスモデル移行のきっかけになる検討テーマの一つになるだろう。

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