見出し画像

トラブルってのは案外悪くないかもしれない

 旅が始まってからトラブル続きだ。特に旅で使う車のことに関しては全く頭を悩ませてばかり。当初、1人あたり20万円と見積もっていた予算は、車の修理費(2度の修理に加えてエンジン総取っ替え)が嵩んだことで1人あたり35万円にも膨らんでしまった。
 でもトラブルがあったことで良かったことも沢山ある。本当であれば南アフリカは1ヶ月以上前に出発し、他の国へと移動していたが、トラブルがあったことで約2ヶ月半も滞在することになった。これによって主に3つの経験が出来た。
 一つ目は異国に住むという経験だ。留学や海外駐在、移住などをしない限り、まず海外に住むということはないだろう。しかし、旅がストックしてしまったせいで(おかげで?)、この国に住むことができた。もはや「慣れた」とかいうレベルではない。「え?何?どうしたの?」って感じ。もうこの国にいることが当たり前になってしまった。南アフリカ人の友人の1人には、「ハンター×ハンターのクラピカみたいになっちゃうよ」と言われた。この言葉だけでこれがジョークだと分かってしまったら、あなたはなかなかのハンター×ハンターオタクだ。ハンター×ハンターは作者の冨樫さんが、登場人物のクラピカが旅客船に乗り込んだところで連載を4年間も止めてしまっていたため、クラピカは乗せられた船から降りるまでに4年間もかかってしまったのだ。でもクラピカなんでまだマシな方だと思う。自分たちなんて旅の冒頭の話でさえかけていないのだから、、。
 二つ目は、自分が小さい頃から続けている剣道を目一杯やることが出来て、いろんな人と出会うことが出来たことだ。基本は移動の旅な上に基本的には3人でいるので、一対一で人と話す機会はあまりなく、こっちで出会った人と仲良くなるということがあまりない。とりわけ自分は何か取っ掛かりや話題がないと仲良くなれないので、自分が得意としていて愛してもいる剣道を通して人と繋がり、また仲良くして貰えることはこの上ない幸せだ。しかも、実はアフリカ旅ではなく世界中を剣道旅しようと思っていた時期もあったので、本当にアフリカで剣道が出来て良かった。こんなまだ尻が青いような(尻が青いって何やねん。せめて青くなるのはどっちか片方だけにしとけ。「半分、青い。」)自分をおもてなししてくれて、自分の剣道をリスペクトしてくれる人たちに滞在中にできる限り還元をしてから出発したいと思う。(といっても、いつも与えてもらうばかりなのだが。)
 三つ目はホームステイが出来たことだ。車の修理の終了日が闇雲になり、しばらく3人離散することになったため、自分は何とか宿代を節約したかった。そこで、南アフリカで剣道をやるために自分のことをこの上ないくらいにサポートしてくれているWarren Sensei にいつものように相談したところ、ホームステイ先を探してくれた。しかも滞在中に自分が暇しないように、滞在中の稽古先やそのための送迎、オフの日の予定などまで提案した上でスケジュールを組んでくれた。そして約2週間、今月初めに出場したヨハネスブルグ中の道場が集まって行われた大会の準決勝で戦って仲良くなったお兄さんのお家に滞在し、3食すべてお世話になって、週末にはご家族の方々や剣友の人たちを呼んでブライ(南アフリカのBBQのこと)、また剣道がオフの日には観光地や美味しいご飯に連れて行ってもらい、イケメンに組んでもらった完璧なデートプランに沿ってドライブデートに行く。全く至れり尽くせりだ。運を使い果たして旅の途中で死ぬかもしれない。しかもホームステイ先のお家はとても広いお家でクソでかプールや庭園、更にはビリヤードやストリートファイターズなどが出来るアーケード、パチンコ玉を飛ばすアーケード、サッカーが出来るボードゲームなどまで完備されている。「なんて凄い部屋んですか!」って目をキラキラさせながら100回言った。100回は流石に盛った、99回くらい。全く、今まで泊まってたAirbnbの宿の何倍も豪華ですよ!(今まで泊まってた安宿も落ち着く感じでとても気に入っていたけどね。)
 まあそんなこんなで、トラブルが起きたことで、トラブルがなかったら一生出来なかったであろう経験(しかも自分がしてみたかったけどチャンスを掴めず出来なかった海外でのホームステイや英会話、海外での剣道旅・道場破り)を得ることが出来た。本当についていると思う。しかし、これには南アフリカの剣道家の人たちの協力無くしては出来なかったことだから、本当に心の底から感謝をしたい。残りの期間、全力で楽しんで、全力で剣道して、全力で恩返ししたいと思う。

P.S.
高校時代に死ぬ気で稽古してて良かったなあって思った。自分は中学までは全く上のレベルでは勝てない、大したことない実力だったけど、高校に入ってからは恩師(鬼の本多先生)との出会いもあり、毎日地獄のような稽古をしていた。おかげで自分でも分かるくらい実力は上がって行って、冗談ではなく本当に「県大会優勝」を目指すように、目指せるようになっていた。
自分がある程度のレベルがあるから仲良くしてくれた訳ではないと思うけど、「◯◯について教えてくれ!」と言われた時にすぐ教えたり、的確なアドバイスをすることが出来るのは、自分がある程度に期間しっかり剣道と向き合ってきたから、自分に剣道に対してある程度の自信があるからだと思う。そしてそれが信頼や尊敬に繋がっているのもあると思う。だから、今、あの時、剣道を頑張って良かったなって思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?