「大人にはたよりません!」こどもの・こどもによる・こどものためのまち
「こどものまち」というまちをご存知ですか。こどもたちだけでまちをつくるという取り組みで、発祥はドイツ・ミュンヘン。日本でも千葉県佐倉市や市川市、神奈川県川崎市や横浜市、宮城県など各地で開催されています。
茨城県を拠点に活動している私たちまちのこ団も、茨城県内で「こどものまち・いばらき」を開催しています。今回は2022年8月に行われた「こどものまち・ひたち」の様子をお伝えします。
「こどものまち」とは
「こどものまち」の発祥は、ドイツのミュンヘン市で1979年に初めて行われた「ミニミュンヘン」と言われています。こどもだけで「まち」をつくり運営する遊びのプログラムで、自由な発想と創造性を育み、成功体験・失敗体験を積み重ね、生きる力を身につけることを目的にしています。
茨城県では2020年にひたちなか市での「こどものまち・あじがうら」開催以降、2022年4月に日立市にて第1回「こどものまち・ひたち」を開催しました。
第1回「こどものまち・ひたち」の様子はこちらからお読みいただけます。
https://note.com/machinokodan/n/n454cf98ad4e1
3つの役割「こども実行委員」「こども店長」「こども市民」
「こどものまち・ひたち」では、「こども実行委員」・「こども店長」・「こども市民」という役割の中からやりたいものを担います。
「こども実行委員」は、まち全体について考える役割です。どんなまちにしたいか、スローガンから考え、市長や副市長を選挙で選び、まちに必要な役割、たとえば市役所や警察、ハローワーク、銀行などを考え、それぞれの担当を決めていきます。
「こども店長」は、自分がやりたいお店をつくります。どんなものを売るか、いくらで売るか、お店の外観はどうするか。全て自分たちで考え、材料の用意から組み立てまで子どもたちだけで行います(大人は子どもに「手伝って」と言われたら手伝います)。
「こども市民」は、こどものまちが開かれる当日にあそびに来て、お店で買い物をしたり、お金(=こどものまちの通貨「イバニー」)が無くなったらアルバイトをして稼いだりすることもできます。
第2回「こどものまち・ひたち」リピーター8割
「待ってました!」「楽しみにしていました!」「また集まれてうれしいです」日立市での開催は2回目ということで、1回目に参加したこどもたちがまた多く集まってくれました。
1回目のときは初めてのことに手探りだった子どもたちも、2回目ということで自分たちで率先して動き出します。実行委員はどんなまちにしたいかスローガンを決め、市長を選び、役割を決めていきます。
今回の市長は、なんと小学2年生!
前回こども店長として参加して、今回は市長に立候補。見事当選しました。
どうして市長に立候補したんですか?
「前回参加して、みんなの力になりたいと思ったから。助けたいと思ったからです」
みんなを助けるために市長になる。素晴らしい…。
「こども店長」の皆さんはお店の設計図を書きます。
数回に分けて実行委員会を開催。準備を行いました。
いよいよ当日。合言葉は「大人にはたよりません!」
開催場所は日立SC。前回は4階にある「Hiタッチらんど・ハレニコ!」の一部スペースをお借りしての開催でしたが、今回は日立SC・1階のスペースをお借りしての実施。当日「こども市民」としての参加もok。ふらりとあそびに来た子どもたちも参加できるように工夫しました。
「こどものまち・ひたち」で仲良くなり、1回目は別々のお店の店長だった子たちが一緒にお店を出したり、「前にやったのが楽しかったから」と前回大人気だった体験型の出店をつくったり、初参加の「こども店長」たちも元気に売り込みをして、あっという間に完売だったり。
本来はおとなは立ち入り禁止の「こどものまち・ひたち」ですが、写真撮影のためにお邪魔しました。よりコンパクトなつくりのおかげか、子どもと同じ目線に立ってみると、より“まち”感があり、ワクワクしました。
片付けもこどもだけで。と言いたいところですが…
巨大イバラキくんが出現!まちのこ団のあそび場の妖精イバラキくん。バルーンアーティストの矢木さんが「こどものまち・ひたち」に合わせてつくってきてくださいました。
これからの「こどものまち・ひたち」
「次はいつですか?」「またやりたいです!」子どもたちからの言葉が何よりの励みになっています。
継続して開催することで、今回のように経験者の子どもたちが率先して動いてくれたり、数年経って、今は大人が担っている役割を中学生や高校生が担うようになってくれたりすることで、こどもだけでまちをつくれるようになる。
すでに長く継続して開催している地域では、小学生の頃から参加しているこどもが中学生・高校生になりメインで企画・実行に携わっているところもあります。
また、実際の“まちづくり”にこどもたちが関わっている地域もあります。実際に住んでいる“まち”がよりよい場所になるように、市長とまちについて話し合ったり、市長選挙をしてみたり。
「こどものまち・いばらき」はまだまだ始まったばかりですが、子どもたちのために私たち大人ができることを少しずつ続けていきたいと思います。
参考①:「こども選挙」https://kodomo-senkyo.com/
神奈川県茅ケ崎市。2022年10月30日 の茅ヶ崎市長選挙と同時に「ちがさきこども選挙」を開催するという試み。
参考②:「第2回 夜の図書館。こどもと市長のまち談義。市長が考える"まちのつくり方"」
https://note.com/nicotto_inuyama/n/n6117bb78c936
愛知県犬山市。愛知県犬山市を中心に活動する「NPO法人にこっと」の活動。
(写真・文=サトウミキ)
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