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カバンとはすなわち「宇宙服」である。

 コロナウイルス禍のご時世ではございますが、「うつ」からの社会復帰のための通勤訓練を先週あたりから毎日行っております。産業医の先生からは図書館などで資格の勉強をしてみたらどうかというアドバイスをもらいましたが、現状はどこの図書館も滞在NGか、極めて短い時間の滞在しかできない状況で、それではお得意の「ドトール事務所」「ベローチェ事務所」はどうかといえば、やはりこちらも長期滞在などとうていできない雰囲気でございます(実際、長期滞在ご遠慮下さいの張り紙も出てますし)。

 ということで、仕方なく勤め先の近くにコワーキングスペースを契約して、そこでTOEICの勉強などしてみたり、こうしてnoteを書いてみたりなどして過ごしているのですが、数ヶ月ぶりの本格的な、ほぼ毎日の外出習慣が復活したことで現在にわかに気になっている、というかストレスの元になっているのが、「カバン」について。

ADHD当事者にとってカバンの整理は「死活問題」

 ワタクシ、元々カバンの中に放り込んだブツを探し出せなくなる、というのはよくあることでして、取引先に持って行く書類を客先で探し当てられず、忘れたと思って後日郵送しますと謝罪し帰社した後にカバンの中身を整理したらフツーに出てきました、などと言うこともありました。ボールペンなど、一体何本余計に買ったのか、覚えてすらいません。貴様は今までに食ったパンの数をいちいち覚えているのか?というやつです。これ、ADHD(特に不注意優位の傾向にある場合)の「あるある」らしいですね。自分が当事者とわかっていろいろ調べている中で初めて知りました。

 加えて、しばらくぶりに外に出て、給与労働ではないなりになにがしか生産的な作業に取り組むにあたって、自宅外に長時間いることが思いの外ストレスの要因になったりもしています。何とか外出先でのパソコンなりスマホなりの電子機器周りは快適な環境を整えたいと思い、折り畳み式のブルートゥースキーボードや堅牢な金属製のスマホスタンド(これも折り畳み式)などを買い揃えて持ち歩き、それらを使ってこのnoteも書いています。ああ、細かい出費でどんどん傷病手当が飛んでいく…。それでも、かなり快適な執筆環境が整ったとは思っているので、まあ、ストレス因子排除とスムーズな社会復帰のための投資と考えて割り切るしかないですね。

 で、カバンの話です。今は、通勤時に使っていた会社支給の15.6インチサイズのノートPCが入るサイズのスクエアタイプの大きなリュックサックを使っているのですが、そのPCは会社預かり状態。自宅のPCは持ち出すには重すぎるので普段カバンに入れているのはTOEICの問題集&ノートと筆記用具に財布とスマホとブルートゥースキーボードのほかにはイヤホンや充電ケーブル、モバイルバッテリーなどの小物ばかり。大きなカバンにバラバラに放り込んでおくとカバンの中でどこに行ったかわからなくなるので、100均でポーチを2~3個買って、それに大まかにジャンル分けして詰め込んだものをカバンの中に入れている状態なのですが、何せいかんせんA4ワイドサイズ相当が縦に入る深さのカバンに小物群を雑多に入れている状態には変わりないので、中々ストレスがかかります。ていうか、お目当てのポーチがすぐに探し当たらない…。かの借金玉さんが「発達障害向けのカバン」を発案、商品化したのもむべなるかなです。

「おうち環境を持ちだす宇宙服」としてのカバン

 そんなカバンと外出にまつわるストレスをどう解消したものか、あるいは、どういう状態になれば解消されるのか、自然とそんなことを考えるようになりました。そして、今のところたどり着いた暫定の結論としては「自室の環境を最大限外に持ち出せる」ことができたらいいのではないか、ということです。「自室の空気感、モノへのアクセシビリティあるいはUIを外出先で再現できる」という風に言い換えてもいいかもしれません。

 宇宙服は、地球上の住環境を宇宙空間に持ち出して、そこで生存をはかる為に開発されました。これがないと、大気がない宇宙空間では呼吸ができないし、放射線量が大気圏内とは段違いに多くそのまま生身の体をさらせばあっという間に被曝死してしまう。気圧ほぼゼロで気温も絶対零度に近く少なくとも人間は瞬間冷凍。そんな環境下で人間が活動するために、いわば地球の空気、気温を内部に閉じこめて持ち出し、放射線から人体を守るための外装を備えたのが宇宙服です。
 この宇宙服と同様に、カバンに自室環境を閉じこめ、出先である程度自室の環境を再現することができたら、どんなに快適でしょうか。もちろん、すべてを持ち出し再現することは、物理的な問題はもちろんのこと、周囲への配慮も含めて不可能なので、それこそアクセシビリティとUIの可能な限りの再現だけにとどまるとは思いますが、それができただけでもQOLの大幅向上が見込める。ワタクシはそう考えます。そう考えると、ちょっと話は変わりますが、オタク界隈で根強く流行っているお気に入りのキャラクターの缶バッジやラバーマスコットなどで飾り立て、最近では透明な部分にタブレットを仕込んで映像を流したりもしている「痛バッグ」は、究極的に自室の環境持ちだした最強の宇宙服カバンとも言えそうです。なるほど、彼らのQOLが痛バッグを通じて向上する理由がよくわかります。

こんな宇宙服カバンが欲しい~ワタクシの場合~

 それでは、もっと具体的にどのようなカバンが「宇宙服」たりえるのか。これについては、やはりそれぞれが整えたい環境や、そのために必要なツールとそのサイズ・重量などによって要件が変わってくるので、一概にコレ!といった決定版の形は存在せず、個々人ごとにベストなものを探していく以外にほかなりません。
 ちょうど、ワタクシが当事者として向き合っているADHDの特性が、大枠では定義されているもののその現れ方や度合いは各当事者ごとにオーダーメイドであるのと似ています。なので、前述の借金玉さんの発達障害対策バッグは、ワタクシとしてもものすごくよくできていると思いますし、実は購入検討をしたこともあるのですが、必ずしも自分の特性に合うかどうかというのはどうしても微妙なことがあり結局購入を見送りました。とはいえ、「人それぞれ」で終わってしまってはただの一般論でしかないので、試しに自分の場合はどんなバッグ、名付けて「宇宙服カバン」が欲しいのか、シミュレーションをしてみたいと思います。

 まず第一に使用用途ですが、社会復帰後の通勤と取引先への訪問、休日の近場への外出を想定しています。休日は自転車やバイクで移動することもあるので、背負うことができるリュックサックタイプがいいですね。

 また、いずれの用途でも必ず持ち出す必要があるのは財布とスマホの2つ。定期券はスマホの手帳型ケースのポケットに入れていますが、この2つはとにかく取り出す頻度が高いので、一番取り出しやすい場所に、かつ、カバンの中で紛れない「これ専用」の荷室が欲しいところです。
 次に、仕事での使用、特に取引先訪問を想定したときにやはりノートパソコンとクリアファイルに入れた(場合よっては紙製の封筒に入れた)A4サイズの書類が折り畳まれずに入るスペースが必要です。容積的にここがメインコンパートメントになってくると思いますが、ここのマチが大きすぎると、カバンの中であっという間にモノが行方不明になってしまうので、パソコンの厚みプラスせいぜいコピー用紙で20枚程度の紙が入って、出先で買った雑誌が1冊くらい放り込めるだけのマチがあれば十分。体感的には10cmくらいのマチが理想です。
 次に、個人的には紙の書籍を出先で購入、移動中に読む機会が多いのですが、メインコンパートメントに文庫ないしは新書サイズの、あるいは四六判くらいの本を入れておくとやっぱりぐちゃっとなってしまうリスクがあり、できればA5サイズくらいで、文庫本が2~3冊入るくらいのマチがあるサブコンパートメントが欲しいです。これに加えて、ケーブル類や細かなガジェットのはいる同じくらいのサイズのサブコンパートメントがあれば十分です。買い物袋用に100均で買った薄手のトートバッグもここに折りたたんで放り込んでおきたいですね。
 あとはぜいたくを言えば、タグやカラビナ類をひっかけるDカンが、目立つ場所に数カ所あればうれしいです。見える場所にヘルプマークを着けておくことはワタクシにとって現状ではどうしても必須ですし(外出先での低血糖症の発作は考えただけでも恐ろしい)、夏場の熱中症の危険がある時期に水分を携行する場合もカバンの中にペットボトルを入れておいたら、忘れた上に中身ごとビチャビチャにするのがオチです。それで会社のノートPCを破壊しようものなら、全額弁済地獄が待っています。それは絶対に避けなければならないので、ペットボトルはカラビナ付きのペットボトルホルダーに取り付けるなどしてカバンの外においておきたいのです。ペットボトル用に外にサイドポケットがついているモデルはたくさんありますが、できればそのスペースをサブコンパートメント、取り出す頻度の大きい財布&スマホ入れにしたいわけです。

 ワタクシが今欲しい「宇宙服カバン」は、ざっとこんな感じです。もちろん、全くぴったりな商品が存在する確率はゼロに等しいので、この要件に近しい廉価なカバンを試しつつ(合わなかった物はすぐにリサイクルショップへ)、最終的に希望する仕様が固まったら予算と相談しつつオーダーメイド、というのがいいのかなと今は考えています。

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