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【小野内裕治さんインタビュー】興味・関心事が生きがいになり、有機農業を運営

写真左:株式会社ECA 代表取締役 小野内 裕治さん、写真右:北島(インタビュアー)

プロフィール:「地球が喜ぶことをやり続けたい」と、循環型農業を開業。2005年に株式会社ECAを創業。有機肥料「えか5」の製造を始め、自ら有機農業を営んでいる。また、企業で採用された障がい者スタッフと一緒に働く形での「農福連携」にも取り組んでいる。

INTERVIEW1: 転勤を機に関心が向いた”飲み水”をきっかけに、独立

サラリーマン時代の1989年(平成元年)に名古屋から東京へ転勤になった際、当時の東京の水道水を飲むには不安がありました。そんな現実を知った小野内さんが水質汚染の問題について調べを進めると、農業やゴルフ場で使われる大量の農薬が原因であることがわかりました。また、九州地方での水俣病、ベトナム戦争で散布された枯葉剤の被害といった情報からも重金属等の有害物質を含む農薬の問題点を知り、地球に有害な影響を及ぼす農薬を大量に使う形の農業に危機感を抱きました。
 
そして、小野内さんは飲み水を綺麗にしたいという想いから農薬や化学肥料を使わない有機栽培について学び、自ら有機肥料を開発され、ご自身でも有機農業の開業に至っています。

約50種類の野菜を栽培している農園を案内いただいた。 写真は青パパイヤの苗。

INTERVIEW2: 有機農業”えかオーガニック農場”の立ち上げ

農薬を使わない有機栽培の必要性を感じていた小野内さんは、まず作物の残渣(ざんさ)を発酵させて作る有機肥料の「えか5」を開発しました。しかし、農家のほとんどは農薬や化学肥料を利用しており、これらを使わずに、農作物の栽培に手間暇をかける必要がある有機栽培には、なかなか注目してもらえなかったといいます。
 
そして、循環型農業を実現していくためには小野内さん自らが有機栽培を始めるしかないと立ち上がり、”えかオーガニック農場”を作り、農薬や化学肥料を使わない有機農業を開業しました。
 
「サラリーマンを辞め、自ら農業の道へ進んだことは必然だった気がする。」と小野内さんは語ります。前述のとおり、食べ物や飲み物の重要性について興味・関心を抱いていた小野内さんが、自分の気持ちに忠実に動いた結果が有機農業の開業だったのです。
今では、確実に農場の面積を拡大しながら「有機JAS認証」と「JGAP認証」を取得し、公的にも認められた無農薬の有機野菜を栽培しています。
 
また、”えかオーガニック農場”では、企業で採用された障がい者スタッフが一緒に働いており、「農福連携」にも取り組んでいます。有機肥料「えか5」の販売に苦戦した経験から、有機栽培を儲かる形にしないと見向きもされないと小野内さんは考えています。
そのため、しっかりと儲かる農場として運営するためにも新しい取り組みを考え実行し、試行錯誤を繰り返す日々が続いています。
 
最初のきっかけこそ生活の中で誰しもが目にする社会問題への関心だったかもしれませんが、単に仕事としてだけではなく人生の信条として有機農業に取り組まれてきた姿を小野内さんから感じ取る事が出来ます。

生ごみを一次発酵させ肥料化させるコンポストの試作。
他にもプラ容器コンポストなど、様々な試作の様子がみられた。

INTERVIEW3: 生きがいを働きがいに

「地球が喜ぶことをやり続けたい。」という考えは創業当時からぶれることなく小野内さんの会社運営の軸であり、生きがいでもあります。
有機栽培で野菜を育て、作物の残渣は発酵させ肥料化し、その有機肥料を使い再び野菜を育てる。そういった「循環型農業」が目指す農場の姿です。
 
また、小野内さんは、流山地域で販売している”えか野菜”を松戸・柏地域にも流通できるようなネットワークの構築や、家族で毎日の食卓で使う分をすぐ取りに行けるような農園をみんなで共有するテーマパーク化構想など、様々なアイディアが小野内さんの頭の中では広がっています。人手さえあれば実行したいアイディアがどんどん浮かんでくると言う小野内さんの次なる取り組みがとても楽しみです。

ここで仕分けられた野菜が各販売先へ出荷される

<過去のバックナンバーはこちらからご覧ください>

<編集後記>

自分の興味・関心をきっかけに事業を立ち上げ、しっかりと儲かるビジネスとして成り立つよう試行錯誤をする。そういった有言実行なさっている小野内さんの笑顔をみていて、自分も同じような人間になりたいという生き様を感じましたし、一つ一つの言葉がしみました。

私は、昔ながらと言いますか、一般的なレール(受験・就活・今のところ終身雇用のサラリーマン)に沿ってきた経歴だったのもあり、幸福感や充足感を感じながら暮らす・働く生き方はとても新鮮かつ、学美が多くありました。ありがとうございました!


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