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これ、日本のものだと思っていたりしませんか?


日本のいいところは「四季があるところ」?!

早いもので、気づけばハ月も半ば。日本はお盆。ネットニュースや友達、家族から、各地の花火大会復活の様子、甲子園、台風接近の話を聞いては「日本の夏だなぁ」と、アメリカにて懐かしく思っています。
ここアメリカでは、特に夏だからという理由で花火大会はないし、もちろんお盆もありません。甲子園もなければ、台風も来ないですからね。
花火大会、お盆、甲子園、台風は、まさに「日本ならでは」の夏の姿。
アメリカの夏と言ったら??? バーベキューかなぁ(笑)。

よく「日本の良いところは?」という質問に「四季があるところ」という答えを聞きますが、実はちょっと疑問に感じるところあり。
それと言うのも、例えば、赤道直下に位置する国に冬はないかもしれませんが、少なくともここ、アメリカのカリフォルニアには、それなりに四季があるからです。春は桜や菜の花が満開で、新緑の季節もやってきます。夏は暑いし、秋は紅葉がきれい。冬には木枯らしが吹きますしね。
にも拘わらず、なぜ「日本の四季」が強調されるのかというと、その理由のひとつは日本には「季節の風物詩」という概念がより濃くあるからなのではないでしょうか。「♪おめでとう1月、積もる雪2月、ひなまつり3月、桜咲く4月…」という歌があるほどに。そして人々の中に、それがごく自然に「日本の〇〇」として定着しているのでしょう。
ところが、当たり前のように日本のものと思っていたものが、実は日本限定ではないなんていうことも?!

「〇〇の花、アメリカにもあるんだぁ~」って…

まずは、朝顔。その名前にも惑わされがちですが、朝顔は日本の花、日本の夏は朝顔!なんて思っていたりしませんか?数年前まで私も無意識のうちにそういうものだと思っていました。それが、あれ?もしかしてなんか違う?と思ったきっかけは、一緒に働いている植物好きの女の子から朝顔の苗をもらったことでした。英語で「朝顔」は「Morning glory (モーニンググローリー)」と言います。小学校で、夏に朝顔を育てる経験をしている私たち日本人は「朝顔は日本の夏」というイメージがありますが、朝顔は決して「日本の」花ではないのです。育てた朝顔の写真を日本の母と兄に送ったときに「へぇ~、アメリカにも朝顔があるんだ~」と驚かれましたけどね。小学生が夏休みの宿題の一環として朝顔を育てるという習慣こそ存在しませんが、アメリカでも夏には朝顔が咲いているんですよ。

朝顔と似たノリは、モミジでしょう。日本では、秋の行楽シーズンに紅葉を見るためにお出かけする人も多く、紅葉の美しさはは日本ならでは!と思っている人もいるかもしれませんが、木々があって、季節が秋から冬へと移行すれば、その木々の様子は変わっていくもの。これがどうして、アメリカの紅葉もなかなか見ごたえがあります。アメリカは、木、一本一本が大きいですからね。真っ赤に染まったアメリカのモミジの写真を見た母は、例のごとく「あら~、アメリカにもモミジがあるんだねぇ」と言っていましたし、その気持ちも分かりますが、モミジ=Maple (メープル)ですからね。

最後は「紫陽花」。日本では、6月は紫陽花の季節。街角のいたるところに紫陽花が咲いていたり、紫陽花が有名なお寺やお庭があったり、紫陽花市などもありますね。それもあってか、ごく自然に「紫陽花は日本の花」という印象を抱きがち。ところがその紫陽花も、決して日本に限ったものではないのです。アメリカの紫陽花の日本との違いは、紫陽花の季節がそこまで限定されていないことでしょう。紫陽花の特徴として、開花にたっぷりの雨が必要であることに変わりはないので、サクラメントあたりで紫陽花が咲くのは、むしろ秋後半から春前半なのではないでしょうか。お花屋さんで鉢植えを見かけることもありますよ。ちなみに紫陽花は英語ではhydrangea (ハイドレインジア)と言います。

こんな風に考えると、日本の良いところは「四季があること」ではなく、「季節の風物詩があって、季節ごとの風情があること」と言った方が正確かもしれませんね。何度も言いますが、季節があるのは日本だけではないですから。

外国で「あ、〇〇がある!」なんてこと、ありませんか?

続いては、お店やレストラン編。
日本の生活にあまりにも馴染んでいるため、つい無意識のうちに「日本のレストラン」とか「日本のお店」と思い込んでいて、海外へ行った時に「あ、〇〇がある!」と驚いたり、喜んだりした経験はありませんか?私はありましたよ。そのたびに、旦那さんに「何言っているの?〇〇はアメリカのレストランだよ」と訂正され…(笑)。

例えば「デニーズ」。日本ではファミレスの王道、老舗といったイメージですよね。だもんで、アメリカで、あの見慣れた「Denny's」の看板を見つけて「おぉ!」なんて思ってしまいがち。でも、「Denny's」はアメリカ発祥のレストラン。旦那さん曰く、「だいたいからして、名前が日本人じゃないでしょ」とのこと。はい、確かに。Dennyさんは日本人じゃないですね… ただ、同じ「Denny's」でもアメリカのそれと日本のそれとには違いがあります。アメリカの「Denny's」は、アメリカでは珍しく24時間営業していて、行きたいから行く、というより他に行くところがないから行くっていう感じが強いようです。便利な面はあるけれど、特においしいという訳でも、特にお安いという訳でもない感じ。それと比べると日本の「Denny's」は昔ながらのファミレスとして、確固たるポジションを築いているように見えます。メニューも日本人向けにかなりアレンジされているので、アメリカの「Denny's」と比べたらファンシーかも。日本にいた頃に、アメリカ人の友人が、来日中の父親がどうしてもアメリカンな食事が欲しくなり、やむを得ず「Denny's」に連れて行ったと言っていました。ところが、注文したクラブサンドは、アメリカのクラブサンドとは全く違うもので、アメリカンを求めたお父さんの要求には答えられなかったという話。

あとは「セブンイレブン」も同じ感じがあるでしょうか。コンビニ王国の日本においても人気のセブンイレブンですが、これも発祥はアメリカです。アメリカで「セブンイレブン」を見かけて、「あ!セブンイレブンだ!」と嬉しかったり、驚いたり、ほっとしたりしたこと、ありませんか?
日本では、通りの角にはコンビニがあるイメージですが、アメリカではコンビニはガソリンスタンドに隣接していることが多いです。単独店舗もありますが、家から徒歩圏内にコンビニがあることもまずなければ、おにぎりやお弁当なんていうものももちろんなく、日本人の私からしてみれば、全くコンビニエンスでないのが、悲しいかなアメリカのコンビニです。

だって、歌だってあるし…

お次は、童話なんていかがでしょう。日本のお話かと思いきや…の代表は「ウサギとカメ」ではないかと思います。なんて言ったって日本には「♪もしもしカメよ、カメさんよ~」なんて歌までありますからね。そう、冷静に考えれば、このお話、イソップ童話のひとつ。
以前、私がパンの余り生地で作ったウサギとカメの写真を見て、またしても母が「アメリカ人でも、ウサギとカメは分かるのかしら~?」なんて言っていましたが、母よ、それが分かるのだよ。
過信やうぬぼれは良くなく、地道な努力で着実に前へ進むことが成功につながるという教訓も、もちろん同じ。つい、日本の話かと思ってしまうのは「♪もしもしカメよ、カメさんよ~」の歌のせい。つい、桃太郎や浦島太郎と同類かと思ってしまいますものね。

へぇ、この歌知ってるんだ~!と思いきや…

「♪もしもしカメよ、カメさんよ~」の歌自体は日本独自のもので、アメリカ人は知る由もありませんが、逆に、日本の歌だと思っていたら、アメリカ人が知っていてびっくり、なんていうこともあります。

例えば「幸せなら手をたたこう」。
日本で育っていれば、幼稚園や小学校で歌った記憶があることでしょう。この歌、原曲はアメリカ民謡なのですよ。びっくりですよねぇ。
タイトルは「If You're Happy and You Know It」。以前、何かのきっかけでこの歌を口ずさんだ旦那さんに、いつものことながら「おぉ、この歌知っているんだ~!」と素直に感激したところ「何言っているの?英語の歌だよ」と言われた私。逆に旦那さんは、この歌が日本でそこまで浸透していることを知らず、日本語で歌う私をしげしげと見ていましたっけ。

アメリカ生活10年、アメリカで初めて〇〇の声を聞いた!

いかがでしたでしょうか。
うちの旦那さんのように「え、何言っているの?」と言っている人もいるかもしれませんが、私や私の母のように「え?それって日本のものじゃないの?」と、内心びっくりの人がいることを願いたい(笑)。

そういえば、先日、おもしろい経験をしました。
最近、私は、夜寝るときにYoutubeでインタビューや、お坊さんのお話、勉強系動画を低音で流すことが習慣になっています。聞いているだけでいいものを選んで目を閉じますが、基本的に寝つきがいい私は、最初の数分でコテンと眠りに落ち、一体それは必要なのか?という思いも。
まぁ、なんとなく。

いつも通り、1時間弱ほどのインタビュー動画をつけっぱなしにして眠りについたある夜のことでした。眠りの中の私の耳に、突然、なつかしい声が飛び込んできました。

ミーン、ミンミンミンミン、ミーン、ミンミンミンミン…

そう、ミンミンゼミの声です。アメリカでは蝉の姿も見なければ、声も聞いたことがありません。トンボは普通に飛んでいるし、スズムシらしい虫の声は聞かれますが、蝉の声はこの10年一度も聞いたことがありませんでした。
眠りの中で「あ、ミンミンゼミだ。やっぱ夏だからなぁ」なんて思っていた私。たまたま窓も開けっぱなしだったので、夜なのに変だなぁと思う気持ちはどこかにあったような気はしますが、10年ぶりののミーン、ミンミンミンミンに、完全に懐かしさが勝っていたのでしょう。そして、ふと動画の存在を思い出しました。手探りで動画を一時停止するとミンミンゼミの声が止みそれでも「あれぇ~?」なんて思いながら、窓が開いていることを確認して、動画を再生するとミンミンゼミが復活。ミンミンゼミの声があまりにリアルだったからか、その音量があまりに大きかったからか、それでも状況が把握できず… 
むっくりと起き上がり、寝ぼけた状態で動画の停止、再生を繰り返しては、窓の開き具合を確かめていた私の姿は、さぞかし妙だったことでしょう。

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