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「え?!これも?」和製英語 in 野球用語

盛り上がったWBC

日本でのWBCの盛り上がりは大変なものだったようですね。家のテレビで野球を見ている姿を想像しづらい母が「WBCに夢中でちょっと寝不足なの」なんて言うのを聞きいて、その盛り上がりぶりを実感したものでした。
決勝戦はアメリカ開催で、日本vsアメリカ。アメリカでは日本ほどの盛り上がりこそなかったものの、決勝戦のテレビ放映はもちろん、翌日のスポーツニュースでも、しっかり取り上げられていましたよ。アメリカが負けたにも関わらず、ちゃんとニュースになっていたのは、メジャーで活躍する大谷選手あってのものだったかもしれませんけどね。

アメリカのスポーツ事情

さて、アメリカの3大スポーツというと、アメフト(NFL)、バスケットボール(NBA)、野球(MLB)です。アメフトは9月にシーズンが始まり、18週でレギュラーシーズンが終了する短期決戦型。それもあってか、ファンの熱狂度合いは断トツ。
NBAは、今がまさにレギュラーシーズンの終わりにあたり、プレイオフ進出をかけた戦いが繰り広げられる熱いところ。2014年にベイエリアからサクラメントエリアへ引っ越し、まんまと地元のNBAチーム、Sacramento Kingsファンと化した私。昨年までのKingsは、プレイオフへの進出争いにも引っかからないほどの弱小チームで、地元民を除けば「は?Kings?そんなチームあったっけ?」みたいにパッとしない印象。正直、最初は私もそうでした。なので、そんな弱いチームの試合を見てもなぁ、なんて思っていたものですが、私たちが暮らすエリアは、当然Kings territoryで、テレビで普通に観戦できるのはKingsの試合のみなのです。最初はかなり渋々と観ていたのですが、どんなに負け続けても頑張っている感じ、勝てそうなのに最後には負けてしまう感じ、それに加え、若いチーム特有の可能性という魅力にジワジワとやられ、気づけば、ちゃんとファンになっていました。

ここ一番のClinch game!

そんな弱小Kingsが、今年は見違えるように花開き、残り7試合の現時点で、なんとWesternカンファレンスの3位に位置付けています。Western、Easternカンファレンスには、それぞれ15チームがいて、各上位6チームがプレイオフへと進み、7~10位のチームはプレイインというプレイオフをかけた最後の一発勝負へと進むシステムです。
プレイオフへの進出をかけて最後のせめぎ合いが続く昨今、よく耳にするのが「Clinch」という言葉。何のことだか分かりますか?「Clinch」の日本語の意味を調べると「絞めつける」「固定する」「片を付ける」などが出てきます。実は私も最近覚えたのですが、スポーツにおける「Clinch」は「勝利を決定する」とか「決勝戦への進出を決定する」のように、いわゆる「マジック1」の状態のことになります。
Kingsを例に挙げると、レギュラーシーズンでまだ7試合残っているものの、次の試合に勝てば、他の試合全てに負けたとしてもプレイオフへの進出が決定で、その大一番の試合は「Clinch game」と呼ばれます。
Kingsの最後のプレイオフ進出は16年前。ともなれば「Clinch game」は盛り上がります。実は2日前がホームでの初の「Clinch game」だったのですが、惜しくも負けてしまい、今夜が敵地での2度目の「Clinch game」。
勝ってもらいたい。Go Kings!

大リーグは開幕直前!

大リーグはというと、文字通り開幕直前です。ベイエリアで生まれ育った旦那さんは、サクラメントへ引っ越した今でもオークランドA'sファン。A'sがラスベガスへ拠点を移すという噂もあり、そこまで離れたらファンでいられるか分からないとは言っていますが、どうやら今シーズンはまだオークランドに留まる様子。ならば今のうちにということで、例年通り野球観戦に行くことにしました。A'sの開幕の対戦相手は大谷選手がいるAngels。アメリカ時間の明日(木曜日)の開幕戦で大谷選手が投げるようですね。となると、おそらく翌日の金曜日はお休みで、土曜日にはDHでプレイすることになりそう。そう期待して、土曜日の試合を観に行ってきます!

日本の野球には和製英語がいっぱい!

さて、子供の頃は、日本人のお父さんと一緒によく野球観戦に行っていた旦那さんが、どうしても慣れることができず、今でも野球の試合を見ながら毎回のようにブツブツ言っていることがあります。それが和製英語として日本人に馴染みに馴染んでいる野球用語の数々。ここでは、アメリカ人代表としての旦那さんの言い分を交えつつ、いくつか紹介させていただきます。
「え?!これもそうなの?」ってびっくりするかも…

①フルベース

説明することもなく、1塁、2塁、3塁に走者がいる、いわゆる満塁の状態のことですね。ベースがフルでフルベース。そう考えれば確かにまぁ…とう感じもしますが、これ、和製英語。

旦那さん:「全く意味分かんない。何なの「フルベース」って…」
と言うので、英語話者には通じないのかと聞いてみると、野球の話をしている中で出てくれば、意味をくみ取ってもらえる可能性はあるけど、結構ヘン、ということでした。
英語では「Base is loaded」と言います。

②フォアボール

ボールが4つで1塁に出塁となることですね。ボールが4つでフォア(Four)ボール、いい気がしますけどねぇ(笑)。これも立派な和製英語で、英語では「Walk」と言います。ボール4つで打者を歩かせてしまった、ということで「Walk」なんですね。ちょっとピンとこないでしょうか。

旦那さん:「なんなんだ、フォアボールって(プンプン!)」

③2-3(ツースリー)

投球のカウントつながりでもうひとつ、野球好き、且つ、怒りんぼの旦那さんが最も許しがたいと思っているものがこれです。日本では投球カウントはストライクが先にきて、ボールが後になります。つまり、2ストライク3ボールで「2-3 (ツースリー)」と言うのが普通。これが実は大問題。英語ではカウントはボールが先で、3-2 (Three two) となるのです。なんて紛らわしい。私としては、日本人特有の「ツー (two)」の発音の方が気になるのですが、彼としては、根本を変えてしまっている感じが許しがたいようですね。

旦那さん:「野球は本来アメリカのスポーツだ!Dadもいつも『よし、ツースリー!』って言っていたけど、意味分かんない」
冗談かと思いきや、本気で怒っていることもあるので、うっかりでも「2-3」などと口走らないように注意が必要。

④デッドボール

続いては「デッドボール」。デッドボールは、投球が打者に当たってしまった、いわゆる死球のこと。死球をそのまま英語にしてデッドボール。これも典型的な和製英語。旦那さんは、Dead ballと聞くと、例えばバスケットの試合でボールがコートを出てしまった状態 (Out of Bounds) を想像すると言います。ボールがデッドした(死んだ)ということなので、確かにその通りですね。つまり、英語話者に「デッドボール」は伝わらないということ。
では英語ではどう言うのでしょう?
大分雰囲気が変わりますが「Hit by pitch (HBP)」と言います。

⑤ゲッツー

実は「ゲッツー」は忘れていましたが、WBCの決勝戦後のインタビュー(日本語)で大谷選手が口にしていました。ひとつのプレイでアウトを2つとることが「ゲッツー」。私としては、またしても「ツー」の発音が気になるんですけどね。英語では「double play」と言います。「ダブルプレイ」は日本語でも言いますが、大谷選手の様子からして「ゲッツー」は、実際にプレイしている選手がよく使うのかもしれませんね。

⑥サヨナラホームラン

最後は「サヨナラホームラン」。後攻めのチームが最終回に放つ勝ち越しのホームランのことで、この時点で試合終了となり、もう帰って良し、ということでサヨナラ~のホームラン。これは和製英語というより、日本語なのかな?英語では「Walk-off homerun」と言いますね。歩き去るホームランですから考え方は同じ。
野球用語の和製英語については、何かと物申さずにはいられない旦那さんが、渋々ながらも唯一良しとしているのが、この「サヨナラホームラン」なんです。彼に言わせるとヘンはヘンに違いないけど、これは意味が通っているらしいですよ。無理やり英語(カタカナ)を使ったというよりも、日本人の感覚をそのまま表現しているところも好印象なのかもしれませんね。

発祥国へのリスペクトも忘れずに…

「カタカナ表記だから当然英語なのかと思ってた」というのが和製英語の難しいところ。スポーツ用語の和製英語は、特にスポーツの一部のような感覚で馴染んでいますので、英語への切り替えは簡単ではありません。
でも、日本発祥のスポーツの柔道では「待て」は「Mate」だし、「指導」は「Shidou」です。「待て」ではなく「Stop」、「指導」ではなく「Foul」を使われたら、やっぱりちょっと違和感がある気もします。日本語をそのまま使用していることには、柔道、そして日本へのリスペクトの気持ちが込められているのでしょう。そう考えると、BaseballとAmericaへのリスペクトを込めて、せめて本来の言い方があるということを知っておくのも、悪くないのかもしれないですね。

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