作文が得意だと「文系」なの?
今日は医療系の記事や領域研究に関する原稿などを納品。それでふと、思い出したのは「小論文得意なら私立文系楽勝だよね~」「理系だから書くのは苦手みたいで…」といった言葉の数々です。作文にはどんなイメージがあるんだろう?というお話をしたいと思います。
と言いつつ、ゴリゴリ文系のわたし
のっけからあれですが、自分自身の話をすると、わたしはゴリゴリの文系です。大学受験では文系科目に助けられましたし、文系の学部学科を卒業しました。そして今、こうして文章を書くことを生業としていますが、作文得意=文系人間、というイメージには少し引っかかるところがあるんです。
テクニカルライターやサイエンスライターというジャンルがあるように、理系の専門知識をいかす書く仕事があります。不勉強なわたしがそのことを知ったのは、ライターになった後でした。話を聞いたり調べたりしたところで、わたしには到底手に負えない分野がある…!そうだよこれも専門職じゃん!と思い知ったんですよね。
自分の専門を越えて”知る”って大事かもしれない
と同時に、折に触れて思い返すのは、もっと昔のこと。大学生の頃に一般教養で物理学の講義をとっていたら、教授に声をかけられました。「この講義に文系の学生が来るのは珍しいんだよ。今年はあなた一人です。どうして選んだの?」
「……自分は知らないことが多すぎるから……」
「興味あるの?物理に」
「まったく分かりません。高校のとき物理9点取りました」
「あはははは!なのになんで」
「3年からは専門が中心になるから他を学ぶ機会って少なくなると思って。他学科の講義を概論というかたちで聞けるチャンスは、一般教養の単位を取る今だけかなと思って」
「君は将来、新聞記者にでもなるの?」
「えっ!?……それは考えたこともなかったです」
「そう。これは愚痴になるけど、メディアの取材を受けるとなかなか伝わらないんだ。ある程度は仕方ないと分かっているが、その記事その番組を世の中の多くの人が目にすると思うと、誤解を招く内容はまずい。頭を抱えているんだよ」
「専門知識がないと難しいですよね」
「うん。だから君のような、もしかしたらメディア側の人間になるかもしれない学生に、この分野の基礎を伝えられて嬉しいよ」
「ありがとうございます。でもめっちゃ難しすぎて単位取れる自信がありません(泣きそう)」
「それはほら、あそこにいる子たちが……おーい、文学部のこの子が困ってるから助けてあげて」
「えっ!?あ、ありがとうございます!?」
その講義を取っていた工学部(同級生)の子たちがレポートのフォローをしてくれたり一緒にテスト勉強したりして、わたしはなんとか単位をゲット。それに、そのとき仲良くなった子は今でも友達です。(NちゃんMちゃんいつもありがと~!)
そういう過去もあり、わたしは個人的に、「書き手」は文系に偏らない方がいいなぁと思うのです。
子どもの作文力=一生使える文章スキル
わたしが作文教室はじめたって聞いた、ゴリゴリ理系の同級生が同窓会で話してくれた言葉も印象的でした。「自分は、文章が書けることでこれまでどれだけ助けられたか分からない」と。「書くのは趣味じゃない、そんなに本も読まない、でも、”書くことが億劫じゃない”というのは一生もののスキルだと思ってるよ」。同じ教室で同じ先生に教わって育ったからぐっときます。
作文教育は文理関係ないから意味があるんだよね、って何度も乾杯したのでした。
ここで冒頭に戻ります。わたしは今日、医療系の記事や領域研究に関する原稿などを納品しました。もちろん専門外の分野です。だからこそ、一般の人が読んで分かるように書くことができるんだと思っています。
作文教室はみんなに開かれている場所であれ
毎月の作文教室でも気をつけていることがあります。それは、本が好き、書くのが好き、な人達だけが楽しい場所にしないこと。
書くことは考えることです。
伝える力があれば日常が変わります。
わたしは、どの子にも作文を通して書く力を自分のものにしてほしいと願って作文教室を運営しています。作文が嫌いだから理系?作文が得意だから文系?ううん、どっちも違うとわたしは思うのです。
大丈夫。作文は書けるようになるよ、だから自分が得意なこと・好きなことにいかしてね!って。
※今回のnoteは、Xで投稿した内容を編集しました。
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