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ジョブズと禅

スティーブ・ジョブズ(1955年 - 2011年)と言えば、言わずと知れたAppleの共同創業者です。MacintoshやiPod、iPhoneなど数々の製品を生み出し、私達の生活を大きく変えてきました。私もAppleの製品には日々お世話になっています。

そんな数々の変革をもたらしてきたジョブズですが、その原動力はどこにあったのでしょうか?

その答えは様々考えられるでしょう。今回はその中でも、ジョブズが影響を受けたとされる「」に焦点を当ててみたいと思います。

「スティーブ・ジョブズ I」(ウォルター・アイザックソン著)という本の中に、ジョブズが禅について語っているインタビューが載っています。

 僕にとっては、インドへ行ったときより米国に戻ったときのほうが文化的ショックが大きかった。インドの田舎にいる人々は僕らのように知力で生きているのではなく、直感で生きている。そして彼らの直感は、ダントツで世界一というほどに発達している。直感はとってもパワフルなんだ。僕は、知力よりもパワフルだと思う。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた。
 西洋の合理的思考は人間が生まれながらに持っているものじゃない。習得するものであり、西洋文明の大きな成果でもある。インドの村では合理的思考を学ばないんだ。彼らは別のものを学ぶ。合理的思考と、ある意味、同じくらい重要な面も持ち、それほどでもない面も持つものだ。それが直感の力、体験にもとづく智慧の力だ。
 インドの田舎で7ヵ月を過ごしたおかげで、僕は、西洋世界と合理的思考の親和性も、そして西洋世界のおかしなところも見えるようになった。じっと座って観察すると、自分の心に落ちつきがないことがよくわかる。静めようとするともっと落ちつかなくなるんだけど、じっくりと時間をかければ落ちつかせ、とらえにくいものの声が聞けるようになる。このとき、直感が花ひらく。物事がクリアに見え、現状が把握できるんだ。ゆったりした心で、いまこの瞬間が隅々まで知覚できるようになる。いままで見えなかったものがたくさん見えるようになる。これが修養であり、そのためには修行が必要だ。
 あのときから、僕は禅に大きな影響を受けるようになった。日本の永平寺に行こうと考えたこともあるけど、こちらにとどまれと導師に言われてやめた。ここにないものは向こうにもないからって。彼は正しかった。師を求めて世界を旅する意志があるならすぐ隣に見つけるだろうと禅では言うんだけど、それは正しいんだなと実感したよ。

(「スティーブ・ジョブズ I」(ウォルター・アイザックソン著)より)

このインタビューを読むと、ジョブズがいかに禅の影響を受け、直感を大切にしていたかが分かります。ジョブズが瞑想を習慣にしていたのもよく知られた話です。日々瞑想を行うことによって、直感を研ぎ澄ませていたのでしょう。そして、ジョブズが生み出してきた数々の製品も、こうした直感から生み出されてきたのかもしれません。

私も普段の生活の中で、直感的に良いアイデアが思い付いたり、感覚が研ぎ澄まされて物事をクリアに見れるようになることがあります。これを意識的にできるようにするには、生活の中に禅を取り入れていくと良いのかもしれません。禅については個人的にも興味があるので、また後でまとめたいと思います。


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