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[034]見えない何かに想いを寄せる

久しぶりですね。

久しぶりでなんですが、政治のお話です。

とはいえ、簡単なことしか書けないので書いていません。動画は少し長いですが、市長vs議会の行方、良し悪しは別にしておもしろいです。安芸高田市民ではないですが、興味深く観させてもらいました。

以下、動画の感想です。まずは動画からどうぞ。


居眠り事件

田舎に限らずよくいますね、議会質問での居眠り議員。

動画前半に出てきますが、議会での居眠りなんてのはもっての外、議員の「国でも県議会でも、みんなしちょるじゃけぇ」という居眠り容認発言は理由の塵にもならないでしょう。

このような議会では市民生活の行く末を正しく案じ、政策を打つことは到底叶いません。そんな議員はいらない。石丸市長の意思は至極まっとうだと感じました。
YouTubeコメント欄にも「議会側が間違っている」との意見が大半でしたが、個人的には動画後半になるにつれ、なんとなくモヤモヤしたものが残っていきました。

果たして「モヤモヤしたもの」とは何だったのか。


モヤモヤの正体

「モヤモヤ」の正体ですが、議会に対峙する石丸市長の強い発信力による政治手法にありました。

件の河井夫妻の政治資金の悪い流れを断てず、当時の議員が再選してしまうような、変わろうとしない地元の議会や市政を一新したいと立候補した30代の市長。
その想いやベクトル、何よりその若さから石丸市長を応援したい気持ちになりましたが、議会へのアプローチには正直疑問が残りました。

京大出身、メガバンクでのNY駐在経験……素晴らしい経歴、経験を持ち、SNSを駆使した発信は時代の潮流から有効な手段ですが、「根回しは本来必要ない」という言葉に私は、石丸市長の、議会の懐に入る政治力の弱さを感じてしまいました。


理想と現実の間のよくわからないところで

確かに、本来「根回し」は不必要“であるべき”ものかもしれませんが、石丸市長には、どこの国のどこの地域の政治を指してそれが実現されているか、という点を反転して質問したいものです。

なるほど理想はそうあるべきで、理想を真摯に追求する姿勢は評価に値しますが、仮に根回しナシでイケてる地域があるとして、安芸高田市は確実にその地域とは何かが違う(から、石丸市長が問題提起をしている)わけで、その点を突き詰めた上で議会へのアプローチを考えるべきだったと思います。(後だしじゃんけんで申し訳ないですが)

私は、味方でも敵でも「人の懐に入って、人を動かした者が勝つ」と考えます。(勝つという表現は好きではないですが)
とりわけ政治はその最たるステージではないでしょうか。銀行も同じようにそういう意味で人間臭いところだったのでは、と思います。

質問状と回答票のやりとりについては、不毛な行為に近いのかもしれませんが、だからと言って「国語力が低い」という議員への市長の物言いは、(その気持ちは重々わかりますが)議員を突き放した態度と思われても仕方がないでしょう。それが仮に、議員の国語力が著しく低くても、です。


何かを変える時は相手の土俵から

石丸市長のような若くて有能な人材は潰れてほしくありませんが、ある意味議会と戦うのであれば、根回しの代わりに、「戦わないために」毛色の違った武器が必要のように感じました。

これもいつも考えさせられますが、「何かを変える時は自分はホームゲームではない」ということです。

既存構造、既得権、今ある何か……がどれだけ強かろうが、どれだけ歪んでいようが、どれだけ不可解だろうが、そこにメスを入れるのならまずは相手の土俵、ピッチ、球場でプレーをしなければなりません。

もちろん、これは相手を完膚なきまで打ちのめす場合を除いて、です。
「相手を痛めつけても自分は困らん」と思うケース(例 産業界におけるファン・顧客の分捕り合戦)なら、「(ルールを)自分の土俵に引きずり込む」ことがより重要な戦略になるかもしれません。

が、対話を原則とする政治の場で、この手法はご法度です。


「根回し」の言葉狩り

結論、政治に「根回し(、相談)」は必要だと思います。

それが不正の温床になってはいけないだけで、そこに過剰に反応するのは政治の機能不全を招く恐れがあります。

石丸市長の、「筋が通っていないものには無視して差し上げる」というスタイルは殊勝な心がけかもしれませんが、地方の政治ほど筋も何も通っていないものはありません。

石丸市長からその視点を持たない限り、議会との溝は深まるばかりで、石丸市政は長くと続かないでしょう。

結局は、税金の無駄という同じ帰結を導きます。


最後に、地元メディアの公平性と取材力が高いのがとても羨ましかったです。両者に対して歯に衣着せぬ質問、詰め寄りをしている点が、監視者のメディアとして好感をもちました。

今回はここまでにしておきます。

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