#036 そもそも小説ってなんぞや?
拝啓 処女作の執筆をスタートできない方へ
中学1年生向けに、この記事を書きます。
(成人の方は、中1に戻ったつもりでお読みください)
小説には、大きく分けて、
純文学 と 大衆文学(エンタメ小説)があります。
■純文学
アート(芸術)です。
芥川賞を獲るような小説のことです。
おおむね、気が滅入る小説。
本好きの少年少女が思春期になると書きたくなる小説ですが、
天才にしか書くことのできないのが「純文学」です。
わたしも若いころ挑戦しましたが、執筆途中に断念。
わたしには到底無理でした。
こころが壊れそうになったからです。
■大衆文学(エンタメ小説)
純文学ではない小説です。
直木賞を獲るような小説のことです。
SF小説、ファンタジー小説、推理小説、ミステリー小説、ホラー小説、恋愛小説、青春小説、政治小説、歴史小説、時代小説、ライトノベル、ヤングアダルト、官能小説、児童文学 など。
さて、
お手許にある小説をパッと開いてみてください。
たくさんの文字が並んでいますが、
2種類の文章(文のまとまり)で構成されています。
■セリフ(会話文)
「 」でくくられた文章
■地の文
①情景描写 ⇒ 場所や状況の描写
②人物描写 ⇒ 登場人物の身なり・表情・行動
③心象描写 ⇒ 登場人物が考えたこと・思ったこと
④説明文と解説文 ⇒ 専門用語や史実などについての説明や解説
地の文については、
◎1人称(わたし・ボクなど = 主観視点)
◎3人称(冷静な神の視点 = 客観視点)
この2種類に分かれます。
<1人称の場合 >
わたしはママに言った。
「将来、看護師になりたい」
するとママが「どうして?」と訊いてきた。
<3人称の場合 >
「ねぇ、ママ。わたし、将来、看護師になりたい」
澪からそう言われて、
恵美子は「どうして?」と返した。
…… という具合に、
同じシーンでも、人称が変われば、ずいぶん変わります。
以上が、
「そもそも小説ってなんぞや?」への回答です。
基本中のきほん、ぜんぜん難しいこと書いていません。
中1くらいだと、
このレベルの回答で「なるほど~」と感心してくれます。笑
これまでたくさん小説を読んできた方や、
この記事を読んでくださっている方には、当たり前の解説でした。
しかし「確かにそうだよね」と納得された方も、
少なからずいらっしゃったかと思います。
てか、
これから初めて小説を書こうとする方は、
この「当たり前のこと」を念頭に置いて、
モチベが高まったとき、すぐさま処女作に挑んでください。
コンセプト(メッセージ)を設定して、
プロットつくって、本編を書き始めてください。
長編よりも短編。短編よりもショートショート。
たとえ、ショートショートだとしても、
必ずつまづきます。上手く進まず悩みます。
苦しむはずです。
それでも逃げずに、苦しみもがきながら、書き切ってください。
ちなみに、ちょっと勉強のできた方に多いのですが、
まだ1行も書いていないのに「すぐに書ける」と自信満々の方がいます。
ところが、こういう方こそ、なかなか完成しません。
なぜならプライドが高く、
いきなり「処女作=名作」にしようと思っていて、
書いては読み返し、そのたびに書き直し、ヘトヘトになってしまうから。
こういう方は、挫折を繰り返しがちです。
もし、この記事を読んでいる方のなかに、
そうした方がいらっしゃるのなら、
ぜひ、そのプライドは持ち続けてください。
プライドは捨てず、決して逃げず、
書き終えてから読み返すことにして(それまでは読み返さず)、
プライド高く「処女作=駄作」を書き切ってください。
書き切ったことのある方には分かると思いますが、
処女作の脱稿経験こそが、何よりも大きなプライドになる。
そして2作目以降の「書き切る自信」につながる。
※脱稿=原稿を書き終えること
わたしの処女作は、
小6のときに書いた「KAKO」という長編小説です。
クラスの男子が戦国時代にタイムワープしてしまい、
クラスメイトたちで助けに行くという冒険活劇でした。
在籍していた小学校に予告もなく「書きました!」と提出。
大量のワラ半紙を受け取った当時の先生にしてみれば、
「マジか!? 捨てづらいわ」
きっと迷惑だったに違いありません。笑(ワラ半紙だけに、ニヤリ半笑い)
卒業間際だったこともあり、
区切りのいいところで[続編につづく]にして、
なかば強引に完結させた記憶があります。
しかしこの経験が、
いまにつながる「書き切る自信」になっています。
せっかくなので、
重要なことを、もひとつ書いておきます。
前述した[地の文]についてです。
④説明文と解説文(専門用語や史実などの説明や解説)
コレ、少ない方がいいです。
先ほどの「ちょっと勉強のできた方」にありがちですが、
■専門用語などについての詳しすぎる説明
■史実についての解説と考察
■つらつらと書かれた思想・哲学
ちょっと勉強のできた方は、これらについて語りたがります。
知っていること・調べたこと、たくさん文章にしてしまいがちです。
ぶっちゃけ読者にとって「これら著者の知識」はどうでもいいです。
おそらく、みなさんも小説を読んでいて、
この「どうでもいい&めんどくさい知識」の書かれた段落を、
そのカタマリごと読み飛ばした経験があると思います。
なので「地の文/④説明文と解説文 」は、
それこそ中学1年生向けの内容と文字量が望ましく、
必要最小限に抑えた方がいいと思います。
で、
必要最小限に抑えると、実はとてもいいことがあります。
相対的に「セリフ(会話文)多めの見開きページ」になって、
見た目からして読みやすそう。つまり読みたくなります。
しかも、セリフが多い(セリフを増やす)と、
そのドラマに「リズム&臨場感」が生まれます。
ま、とにかく、処女作を書き切ること。
0を1にしちゃえば、すぐに2作目も書いてみたくなるはずです。
何より「0(無)⇒ 1(有)」って、自信がつきます。