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ロシア人は2冊のパスポートを持っている

前述の記事で、カザフスタンの安宿に泊まったら、徴兵から逃れてきたロシア人だらけだったという話を書いた。

彼らと話しているうちに知った、興味深い話の一つに、ロシアのパスポートがある。ロシア人は2冊のパスポートを持っているのだ。

厳密にいうと、1冊しか持っていない人間もいれば、2冊持っている人間もいる。どういうことかというと、片方は日本人が持っているような国際パスポートであり、もう一つはローカルパスポートと言われるものだ。

このローカルパスポートはIDカードとして使われていて所持が必須であるが、ソビエト時代の属国であったカザフスタン・キルギス・アルメニア等の国はこのローカルパスポートで行けてしまうのだ。国際パスポートを申請すると1か月程度待たされるため、待っていたら国外に出るまえに徴兵の手紙が届いてしまうかもしれない。そのため、とりあえずローカルパスポート(IDカード)で国境を越えてカザフスタンに避難しているロシア人が多いのだ。

ちなみに、戦争に動員される可能性があるのはロシア人男性の18-50才だ。対象は人口の数パーセントであるというが、不幸にも動員の手紙が届いた場合は、戦争に行かなければならない。ロシア人は概して英語が苦手であるが、mobilization(動員)という単語はみな知っている。

とはいえ、数十人のロシア人と話していて感じたのは、カザフスタンに避難できているのは、身軽な若者か、リモートワークができる職種の人間か、経済的に余裕がある人間だということだ。自分が戦争に行くことになるかもしれないとわかっていても、仕事をやめられなかったり、経済的に余裕がなかったり、家族や友人とのしがらみから土地を離れられない人も大勢いるようだ。これは災害大国の日本でも同じかもしれない。日本に何か起きたときに素早く国外に出られるか。なかなか難しいものだ。

現在ヨーロッパの多くの国は、ロシア人の入国を拒否している。そのため、ローカルパスポートしか所持していないロシア人の避難先はだいたいソビエト時代の属国であり、国際パスポートを持っている人間は、トルコやセルビアなどの旧ユーゴスラヴィア諸国、もしくは東南アジアや南米だったりする。

毎晩遅くまで彼らと不衛生なお湯で茶を飲んでいたら、次第に喉がやられてしまい、咳が止まらなくなってしまった。
 
12時間くらい寝ても回復しないので病院に行ったところ、感染症による気管支炎のようだった。 抗生物質を飲んで少しよくなって、また出かけるということを繰り返している。

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