信越の夏に、天国を見た。 【きっぷ1枚で日本横断:#8】
日本横断8日目、新潟駅から。
おはようございます。現在時刻は朝5時半過ぎ。久しぶりの、圧倒的早起きです。今日は巡りたいところがたくさんあり、それを加味して行程を組んだ結果、こんな早起きになってしまいました。無事同行人も含めて全員が時間通り起床できましたので、早速本日も日本横断を進めていきましょう。
日本海を見納める
ハムたまごを乗り継いであの駅へ
新潟駅から乗り込むのは、越後線の普通列車。越後線は、途中の吉田駅から閑散区間となりかなり本数が少なくなってしまうので、朝早い列車に乗る他なかったのです。さっそく、新潟ではお馴染みのハムたまご色の電車に乗り込んでいきます。
終着の吉田駅からは再びハムたまごを乗り継ぎ、越後線の終点である柏崎駅を目指します。この区間に差し掛かると僕もいよいよ眠くなってきたので、時々記憶がかっ飛んでいます。
列車は新潟駅から2時間ほどかけて、終点の柏崎駅に到着です。
柏崎駅では少し乗り継ぎ時間がありましたので、駅から10分ほどの距離にあるスタバでいつも通り目覚まし代わりの1杯をいただきます。眠そうな目をしていながらも、同行人の皆さんは完全に僕の生態を理解してくださっているようで、何事もなかったかのように着いてきてくださいました。暑い中ありがとうございます。
無事コーヒーをテイクアウトできたところで、駅に戻って列車に乗り込んでいきます。
さて、そういえば何故柏崎駅まで来たかというと、海が見える駅として名高い青海川駅に行くためです。そして、青海川駅からは人気の観光列車である快速「越乃Shu*Kura」号に乗り込み、長岡を経由して飯山線の十日町駅を目指していくという行程になっています。観光列車自体も青海川駅での停車時間がありますが、6分ほどしか停まらない上多くの人でごった返してしまいますので、人が少ないタイミングでじっくりと青海川駅を見物しようという魂胆です。
ここから先、僕の片道きっぷでは若干の経路外になりますので、柏崎駅〜青海川駅間の往復乗車券を購入して、普通列車に乗り込んでいきます。
列車は8分ほどで、お目当ての青海川駅に到着です。
青海川で見た、天国級の夏景色
青海川駅の魅力は数多ありますが、何といっても最大の魅力はその抜群のロケーションでしょう。駅周辺を歩いていて、「ここは天国なのか…?」と錯覚するほどの美しい夏の景色が、ここ青海川にはありました。駅の近くにある道の駅へ向かう道すがら、少し山登りをしながら、日本海を望む圧倒的な絶景を心ゆくまで満喫していきます。
10分ほど駅の裏手の山道を登ると、国道沿いに道の駅が見えてきました。暑い上に完全に息が上がってしまっていますので、ここで少し休憩しましょう。
少し涼んで落ち着いてきたら、なんだかお腹が空いてきました。そういえば、朝からコーヒーしか胃に入れていないのです。道の駅の中を散策していると、ここで気になる文字列を見つけます。
鯖サンドの文字を見た瞬間、ポケットから財布を取り出している自分がいました。350円というリーズナブルさも決め手となり、迷わず食券のボタンをポチります。
サクサク熱々の鯖フライを挟んだサンドに、レモン汁をたっぷりかけていただくのですが、爽やかで夏にぴったりすぎる絶品でした。山道を登ってきた疲れは、食べ終わる頃には完全に消し飛んでいます。青海川駅へ早めにきた甲斐しかありませんでしたね。
鯖サンドで元気を満タンにチャージしたところで、そろそろ道の駅を後にし、青海川駅へ戻っていきましょう。
怒涛の観光列車2連チャン
日本横断中、究極の呑み鉄
青海川駅に着いたら程なくして、ホームに列車が入線してきました。いよいよ、越乃Shu*Kura号に乗車していきます。1ヶ月前、6人分の熾烈な指定券争いに何とか勝利し、自宅のパソコンの前でガッツポーズした記憶が思い起こされますね。さっそく乗り込んでいきましょう。
こちらの列車、車両自体は国鉄自体の気動車を改造して作っておりなかなかレトロなのですが、内装はかなり綺麗に改装されており、昨日乗った快速海里号同様、シート間がとても広く非常に快適に過ごすことができます。
そして何より、この列車の魅力といえば、地酒の日本酒の試飲をいただけることです。日本横断中に究極の呑み鉄体験ができる喜びを噛み締めながら、地酒の純米大吟醸をいただきます。
こんな最高の呑み鉄体験が指定席料金の530円で出来るのですから、人気なのも頷けるわけです。1時間40分ほどの乗車時間でしたが、列車はあっという間に信越本線を抜け、上越線、飯山線を経由して終着の十日町駅に到着です。
おばあちゃん家に行きたい
十日町駅からは30分ほどの乗り継ぎ時間を経て、立て続けに次の観光列車である快速「おいこっと」号に乗り込み、長野駅を目指します。2連チャンで観光列車に乗り込むなんて、なかなか贅沢な旅路です。指定券購入は、今日来てくれている学部の同期の1人にも手伝ってもらいました。なかなか面倒な手続きだったと思うのですが、文句1つ言わず手伝ってくれた同期に、この場を借りて改めて感謝を。
さて、これから乗るおいこっと号ですが、名前の由来は東京のローマ字表記TOKYOをひっくり返したOYKOTの読み方とのこと。おしゃれなネーミングですね。
そして何より、僕がおいこっと号に乗る上で気になっているのがそのコンセプト。何でも、心のふる里である「おばあちゃんの家」をイメージしたデザインになっているとのこと。少し個人的な話にはなりますが、僕が旅好きになったきっかけは、何といっても祖父母の存在なのです。祖父母に連れて行ってもらって3人で行った旅行の数々は、かなりの年数が経った今でも、鮮明に思い出すことができます。だからこそ、大学生になったら2人を今度は僕が旅に連れ出してあげたいと思っていたのですが、2人は僕が大学生になる前、浪人している最中に病気で亡くなってしまいました。あれほど悲しくて、悔しくて、自分を責めたことは無かったですね。今も2人の写真をスマホのトプ画にして、都度2人の姿を見ながら一緒に旅をしているつもりなのですが、旅先でそんな2人が住んでいた家を思い出せるような空間に出会えるのなら、こんな嬉しいことはありません。さっそく、おいこっと号に乗り込んでいきましょう。
圧倒的に落ち着く雰囲気の車内から、夏満載の川景色をゆったりと眺めます。祖父母の家に行くと毎日食べさせてもらえたバニラアイスを思い出しながら、車内販売のアイスもいただきます。
お隣のボックスでは、同行人の皆さんが楽しく井戸端会議に興じています。こちらのボックスでも、机の上にお菓子を広げてふかふかの椅子に腰掛け、ゆっくりとくつろぎます。まさに、おばあちゃんの家で過ごすような時間の流れ方です。こんな時間の過ごし方を日本横断中に出来るとは思っていなかったので、すごく幸せでした。小さい頃、祖父母の家で過ごしたゆっくりした時間を思い出し、天国の祖父母を思い浮かべて1人こっそりじーんと来ていたことは、ほんとうにここだけの話です。
のんびりしていたら、3時間の乗車時間はあっという間。いつの間にか県境を超え、長野県に突入です。
ひたすらに、心和む車窓が流れていきます。まさに、心のふる里です。列車は途中、飯山駅に30分ほど停車し、駅のからくり時計やマルシェを見て回る時間を取ってくれました。
実は、僕の日本横断の経路は、飯山駅から北陸新幹線に分岐して金沢方面に向かう経路になっています。ですので、飯山駅で下車印を押していただき、清算をお願いしました。僕の説明が拙く、駅員さんを多少なりとも困惑させてしまいましたね。この場を借りてお詫びいたします、本当に申し訳ございませんでした。ここからは、乗車券を買い足して長野駅までおいこっと号に乗車していきます。
列車は起点の十日町駅を出てから3時間ほどかけ、終点の長野駅に到着しました。ゆったりと、幸せな時間を過ごすことができ、大満足でした。
せっかく長野に来たのだから
一生に一度と言わず行っておこう
さて、乗車券を買い足してまで長野駅へやってきたのには、2つの目的があります。その1つは、一生に一度は見ておくべきと言われる、善光寺へお参りすることです。駅前のバスに乗って、善光寺の近くまで向かいましょう。バスを待つ間、駅ビルに入っているスタバでアイスコーヒーをテイクアウトし、しばしの暑さを凌ぎます。
しばらく待っていたら、コーヒーを飲み終わった頃にバスがやってきました。さっそく乗り込んでいきます。
バスに揺られること7分ほどで、善光寺の参道にほど近い善光寺大門バス停へ到着です。
バス停からは1本道で善光寺へ辿り着けるのですが、参道にはおしゃれなスタバがあります。行きがけに中を覗いてみると、たまたま席が空いているのを発見しました。これを逃す手はありませんので、お参り前に1杯頂いていくことにします。
この日も何だかんだで結構暑かったので、季節限定のスイカのフラペチーノをいただきました。
爽やかなフラペチーノで涼み、心を落ち着けたらいよいよお参りです。
心を沈めて、拝んで参りました。賓頭盧様を撫でることも出来ました。一生に一度とは言われていますが、何度来たって良い場所ですね。同行人の1人は、これで来るのは三度目みたいですし。次はご開帳の折に訪れたいと思います。
汗だくで魂の1杯と向き合う
参拝を終えたら、バスに乗って長野駅まで戻ります。時刻はもう17時半頃ですが、まだまだ日が昇っているうちは暑いですね。
行きよりは少し時間がかかりましたが、それでも10分強で長野駅に到着です。
長野駅に着いたところで、少しお腹が空いてきました。駅前にあるラーメン屋さんで、本場の信州味噌を味わうことのできる味噌ラーメンをいただきましょう。
店内、エアコンは効かせていたのですが、ラーメンの熱気が充満しており何なら外より暑かったです。あと、やはり人気なのか、夕食には早めの時間でしたが少し並びました。額に汗を浮かべながら、しばらく待っているとおもむろに注文した味噌ラーメンが出てきました。
暑い店内で、熱々の味噌ラーメン。全身に浴びる湯気、とめどない滝汗、鼻に抜ける圧倒的な味噌の香り、旨み。最後の方は視界がぐちゃぐちゃになるほどの汗をかいていましたが、全身でおいしさを受け止めることのできる魂の味噌ラーメンでした。食べ終わって会計を済ませた後に店の外に出たとき、吹いている風の涼しさに驚いたことは今でも印象的です。
少し外の風に当たって涼んだら、長野駅に戻り、2つ目の目的を果たしに向かいます。
観光列車をおかわりしよう
長野駅からは、何と本日3本目の観光列車に乗り込みます。完全に日本横断のルートからは外れていますが、気にせず寄り道を続けていきます。これから乗るのは、快速「ナイトビュー姨捨」号。同じく観光列車である快速リゾートビューふるさと号と同じ車両で運転されており、運用の合間を縫って1週間に1度しか走らないレアな観光列車です。こちらに乗って、夕涼みがてら、今現在列車でアクセスできるほぼ唯一の日本三大車窓である姨捨の夜景を見に行きましょう。
列車はしばらく走ると、日没を迎えた頃に姨捨の雄大な車窓に差し掛かりました。既に美しい夜景が垣間見えています。
列車はわずか30分ほどで、終着の姨捨駅に到着です。駅に着くと、そこには一面に輝く善光寺平の夜景が広がっていました。圧巻です。
さらに今日は、駅舎で味噌汁と甘酒の振る舞いが行われていました。夜景を見ながら、空調で冷えた体の芯を温めます。
夜景を見ながらいただくあったかい飲み物、心に沁みましたね。まろやかな味わいで美味しかったです。
この後は折り返しのナイトビュー姨捨にもう1度乗っても良かったのですが、同行人のうちの4人は本日で帰宅することになっており、それに乗っていると終電に間に合わなくなってしまいますので、その1本前の普通列車で長野駅に戻ります。普通列車を待つ間、懲りずに同行人の皆さんを被写体にして、勝手に"映え"とやらを狙うなどしていました。
こんなことをしたら、いつの間にか反対側のホームに普通列車が入線してきました。そそくさと乗り込んでいきます。
列車は30分もかからず、長野駅に到着です。東京に帰る同行人の方々を、もう1日だけ同行してくれる1人と一緒に新幹線の改札前で見送ります。普通列車がちょっとだけ遅れたため結構ギリギリの乗り換えになりましたが、無事全員帰りの新幹線には乗れたみたい。一安心したところで、僕は1人の同行人を連れて、日本横断のルートに復帰していきます。
結局のところ、行き着く先は
さて、ここから日本横断の行程に復帰していくわけですが、現在居るのは長野駅。行程を中断したのは飯山駅でしたから、一旦そこまで復帰する必要があります。次の行程は、北陸新幹線で飯山駅から糸魚川駅へ向かうというもの。長野駅で長野駅〜飯山駅間の乗車券と長野駅〜糸魚川駅間の自由席特急券を購入し、ここからは復帰がてら北陸新幹線に乗り込んでいきます。
新幹線は30分ほどで、本日の最終目的地である新潟県の糸魚川駅に到着です。……新潟県?? 戻ってきていますね。そう、ここまでじっくりと超えてきた信越の県境を、新幹線でもう1度あっさり戻ってきたのです。訳がわからないルート取りですが、この辺りは追ってまた書きますね。
さて、めざとい方は糸魚川駅の駅名標の雰囲気が、今までと違うことにお気づきになっているでしょうか。ここまでは本州上陸以来JR東日本の管内をずっと通ってきた訳ですが、ここに来て初めてJR西日本の管内に一瞬ですが突入したのです。なかなか感慨深いですね。ただ、一瞬と書いた通り、なんと明日にはまた東日本管内に戻ります。ちなみに新幹線に乗っていると、コンセントの周波数が50Hzから60Hzに変わる瞬間があり、こんなところからも西日本への移り変わりを体感することが出来ます。不思議な感覚ですね。
糸魚川駅に到着した時、時刻は21時半を回ろうとしていました。もう遅いので、今日の行程はここまでにして、本日宿泊するホテルに向かいます。ちなみに、駅に入っているコンビニは20時半で閉まっていました。この辺りは下調べがついていたので、一応長野駅で飲み物等は買い出しておいたのですが、正解でしたね。
今日は1日、朝から盛りだくさんでたくさんの心温まる体験ができました。この旅の醍醐味である大移動はそのままに、信越の魅力をこれでもかと味わうことができた1日だったと思います。同時に、旅の経験を共有できる存在のありがたみを再確認できた1日にもなりました。画面の中にいる、天国の祖父母ともこの楽しさを共有できていたら良いな。
今日も朝早かったですが、何と翌日も朝早くから動き始めます。寝坊してはいけませんから、さっさとベッドで寝ることにいたしましょう。1人残ってくれた同行人と、激動の1日の余韻を噛みしめながら。
それでは、おやすみなさい。
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