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[Portugirl]~EU最西端での小娘ひとり旅奮闘記~[001]

2018年4月24日 

「まじかーーーーーーーーーー!!」


朝8時成田空港第一ターミナル、エールフランスのチェックインカウンターで思わず叫んだ。


GW前もあっていつもより混雑しており、チェックインの列の進みもその日は遅かった。やっと自分の番がまわってきたと思い、お気に入りのブルーのトロッターをベルトコンベアに載せた。パスポートとE-ticketを見せるとなぜか黙る同い年くらいの女性グランドスタッフ。今思えば飛行機に乗る前のこの時から、この旅は始まっていたのだ。


「パリとアムステルダムでお乗り継ぎですね」


ん?そんなはずはない。思わず「え?」と声をもらす。

日本から目的地ポルトガルまでは直行便はないので最低でも乗り継ぎが1回ある。それが1回で済むように、GW前でも予算内に収まるように、しかも24時間以内に着けるようにチケットを押さえたのだ。(10日前に。)もう一度E-ticketを見せて確認するもラチがあかないので上の人に確認とってもらった。するとこうだ。

「申し訳ありません。お客様のパリ発リスボン行きのフライトはストライキによって欠航となったようです。」

ここで冒頭に戻る。


「まじかーーーーーーーーーー!!」



正直この時は怒りはなかった。
とにかく着けばいい。

エールフランスはスカイチームアライアンスなのでKLMがカバーしてくれるらしい。なんとかパリ~アムステルダム、アムステルダム~リスボン行きのフライトを手配してもらった。もちろんこちらの負担は0円。しかし乗り継ぎが2回へ増えたため、アムステルダムでの乗り継ぎが1時間もない。不安だ。


とにかく今日という日を迎えたからには飛び立たねばならない。そそくさとセキュリティを通過し、自動化ゲートで通関を済まし、搭乗口へ。SNSやLINEで今回のトラブルを嘆きながら、気づいたら最初の憤りはどこかへ行き、このトラブルをもはや楽しんでいる自分がいた。

そのことに気付いた時、私の心の中は

「面白くなってきたぞこの旅!!!」

と不安をかき消そうと着実にわくわくが混じり始めていた。



エールフランス247便は定刻よりも遅れて出発。
加えて向かい風の影響で30分ほど遅延した。
機内はおそらく満席。早朝に家を出て、昨夜も遅くまで荷造りをしていたので(直前にならないとしないタイプ。)とにかく寝たかった。
しかし私の席は窓側でも通路側でもない。両隣をフランス人の寝相の悪いマダムに挟まれる形だったのでお世辞にも寛げるという席ではない。加えて前の席に、 初めての飛行機で緊張のためか鬼のように泣き叫ぶ赤ちゃん(イヤイヤ期?)がいたので対して眠れなかった。
私ができたことといえば、日本で公開中もしくは公開予定の映画を3本見て、ワインをがぶ飲みして無理やり寝たことくらいだ。



お分かりいただけるだろうか。

シャルルドゴール空港に着くと電工掲示板に写し出される欠航便の数々。(電工掲示板赤字参照)


ユーロ入国審査を済ましてWi-Fiに接続。するとエールフランスからメールが届いていた。今回のストライキによる欠航とのお詫びに明日のリスボン行きの便を押さえておきましたという旨のメールだった。

何故。

てか飛行機乗ってから送られても…


成田のカウンターで同日中に着くリスボン行きのチケットを再手配したのもエールフランスなのに。これは一体どういうことかと確認してみたら、どうやらダブルブッキングのようだ。つまり選択肢が2つあるということ。

1.このまま強行突破で再手配されたチケットで同日中にリスボン入り(ただし乗換えがタイト且つ乗換えが二回になる。)
2.パリで一泊。翌日リスボン入り。(乗換えは一回で済む。)


もし2の明日パリ発リスボン行きのフライトに乗るとしても、パリに宿はない。予約は今から。ホームレスになるのはごめんだ。しかも運良く宿を取れても空港から市内への交通費もばかにならない。(交通費も宿も自腹。)優雅にパリに一泊したくてもそれは御免こうむりたいので、やはり1のリスボンまでの強行突破策で行くことにした。



シャルルドゴール空港のターミナルで長距離フライトの疲れをとるべく、軽く歩き回ってゆっくりしたらもう搭乗時間。双六でいう「1マス戻る」の感覚でアムステルダムへ。(正直さっきアムステルダム上空飛んだ時に下ろしてくれと思った。)

本日2本目のフライトで私の両隣に座ったのはマダムではなくムッシュ2人。行きの大きな機体(3・5・3シート)ではなく、中距離便なので席は3・3と小さめの機体。2人とも荷物やドリンクなど3人で協力できた息の合うムッシュたちだった。

オランダ・アムステルダムのスキポール空港に到着すると、とにかく走った。搭乗開始時刻まで1時間を切っているからだ。幸い2本目は遅延もなかったので足の長い欧米人に混じって足の短い日本人の小娘が競歩でずんずん突き進んだ結果、なんとか体は間に合った。あとは荷物だけ。

もう神に祈るしかない。ついてこい。

我に続けトロッター!!!



3本目のリスボンへのフライト。また3・3の席に左手にムッシュ、右手にマダム。そして後ろには中国人観光客の団体。(これが行きのフランス人の修学旅行生よりうるさい。)先ほどの2本目のフライトは1時間足らずでここアムステルダムに着いたが、ここからリスボンはまた今来た航路を少し戻るので時間は2時間半。パリは晴れていたが、アムステルダムは雨なので管制から離陸許可が下りたのは定刻から15分過ぎてからだった。

結局リスボンに到着したのは30分遅れのPM11時。
今回のリスボンでのAIRBNBのホストに空港のWi-Fiで連絡を入れ、バゲージクレーンで祈るようにベルトコンベアを見つめること十分弱。暗闇から流れてきた愛しい真っ青なトロッターを、私は一目散に拾い上げた。


行き先はもう決まってる。

私のポルトガルの旅は、
この出口を出てついにスタートするのだ。



つづく。

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