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僕が東大を受けたのは

この文章は、2017年、僕が大学3年生の時に書いたものです。当時のものとして読んでください(今と状況がまったく違います)。
また、読み返せば文章が大変粗雑です。申し訳ありません。

先に断っておくけど、東大行ったから成功なんてことはない。毎日死にたさに襲われ、オーバードーズをし、腕にはおびただしいリストカットの跡。精神科7年目。そんな僕が何を思って東大を受けたか、中高時代のお話です。
 
東大に行くからにはなにか立派な目標でもあったんでしょう、と人には言われる。医者になって人を救いたい、文科省に入って日本の教育を変えたい、そのために最高学府を目指したい。そういうやつ。でも僕はそんな立派な理由なんて無かった。
 
初めて東大に行ってみたいと思ったのは中学2年の頃だった。
僕は育った環境が周りの子とは違って、話す言葉も微妙に違って、うまく馴染めずにいじめられていた。学校には行っていなかった。誰からも承認されずにうじうじと一人部屋でうずくまりながら、いじめる奴が悪い僕は悪くない、いつかお前らよりできる人間になって見下してやるからなと思っていた。高校は中高一貫でそのまま上がりそうだったから、次のターニングポイントは大学だった。東大に行ってやればいじめてくる奴ら全員まとめて見下せる…その思いが僕を東大に向かわせた。
でもこの時点では勉強もできないし、ただの弱いメンヘラだった。パニック発作を起こしては倒れるので外に出られなくなった。年に何回か外に出るのはビルの屋上とか墓地の一角とか、死に場所を探すためだった。勇気が無くて飛び降りられなかった。昼夜逆転した。食事が面倒になって体重が40kgをきった。やるせなくて手首を切り続けた。生産的なことはなにひとつしていなかった。
 
僕が変わったのは高校に入ってからだった。高校でも相変わらず友だちなんてものはいなかったが、習熟度別のクラスになっていじめてくる奴らのほとんどと違うクラスになった。
担任の先生が個性的な人で、ああ僕も無理に人と合わせなくていいんだと気づかせてくれた。
そして英語の先生が僕を認めてくれた(僕は帰国子女で英語は他よりかはできた)。初めて承認してもらった、もっと勉強すればもっと承認されるのでは、単純にそう思って勉強を始めた。
たぶん僕は平均よりかは多少勉強に向いていた。勉強すればするだけ学内順位は上がり、偏差値が上がり、先生の目が僕に向いた。よっしゃこのまま行ったれ、そう思ってひたすら勉強した。皮肉なことに遊び仲間がいなかったので放課後とか即帰宅して勉強できた。気がつくとリスカが止まっていた。いじめてくる奴らが遠慮して黙った。テストの度に奴らを見下せるようになった。もっと上へ、欲望は止まらなかった。
 
いや、でも簡単に成功したわけではない。
不登校癖は抜けなかった。毎朝学校に行きたくなさすぎて1時間くらいうずくまっていた、中学3年くらいからもう涙は出なくなっていた。誰にも言えなかった。言う友だちはいない、親や先生に言うとやっと手に入れた承認を失う気がした。突然うつみたいになって動けなくなる日も多かった。8時間勉強した次の日にどうしても身体が動かなくて3時間も勉強できないってことがけっこうあった。その度にめちゃくちゃ焦った。クズみたいな自分が嫌いだった。これだけやって東大落ちたら今度こそ自殺しようと決めていた。
 
なんやかんやと走り続けた。高3、模試を受けると東大はA判定が出た。でも自信が持てなかった。A判定出ても落ちる人はいるそれが自分だったら、試験会場でパニック発作起こしたら、緊張で力が出せなかったら、だいたい今まで身につけてきた学力がそもそも虚構だったら…心配は尽きなかった。
センター入試はこなしたけれど、東大二次試験当日の朝、ホテルから出る足がすくんだ。動けなくなって母親に抱きとめられた。ダメかもしれないと思ったけど、口に出すと本当にダメになってしまいそうで何も言えなかった。結局大好きなぬいぐるみ(30cmはある大きい子)を抱いて試験会場に向かった。ぬいぐるみはぽふっとしていた。
 
試験のことはあまり覚えていない。帰ってきてから結果発表までの2週間をもぬけの殻みたいにして過ごし、絶対落ちたよとわめいては親に当たっていたことはうっすら記憶している。
 
結局受かったから僕は今ここにいる。
受かってから高校時代の同級生がこれみよがしにFacebookの友達申請をしてきたので全部蹴ってやった。同級生LINEがあるらしいが入っていない。同窓会があったらしいが行っていない。帰省しても別に誰にも会わない。僕はそれでいいと思っている。いじめてきてた奴らの誰よりもいい大学に通っていることが今も心の支えだ。
 
大学生活もメンヘラを発揮して順風満帆にはいってない(まず進級に失敗などしている)んだけど、それはまた別の話。
どうしようもない独り言を読んでくださったみなさんありがとうございました。

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