テレビの中の江ノ島

私は九州の福岡出身である。現在は東京に暮らしている。

小さい頃、というのも小学生のころテレビに夢中だった。当時、社会現象にもなった番組やお笑い番組などを見て腹を抱えて笑っていた記憶がある。家にひとつしかないテレビを巡ってよく戦争が起きていたことは今でも鮮明に覚えている。

その頃の僕は、勉強はそこそこ、運動は足が速いだけ、親友と呼べる友達はいない。これといった特徴がある性格でもなく、目立ちも目立たなくもない人間だった。そんな普通で影が薄い僕が唯一ハマったものがテレビであった。

テレビを見ていると全国の天気を伝える場面で、しばしば江ノ島の様子が取り上げられていた。特に夏、海水浴シーズンになると、テレビに江ノ島と海岸線が映し出され、その映像が背景となり日本地図が登場。全国各地の天気や気温が予報されていく。僕はなぜかその江ノ島に釘付けとなっていた。

当時、サザンオールスターズの楽曲にハマり、シングルが発表されたら、CDショップに行ってお小遣いで購入する。ポイントが貯まれば１０００円分になるので、ポイントが貯まったタイミングでアルバムを購入していた。その影響もあったのか、江ノ島が僕の中で憧れの場所となっていた。

そして私は、就職のため上京し、本物の江ノ島と出逢う。

思ったより小さな島だな。もちろん潮の香りがするな。海岸にはこんなにサーファーがいたのか！えびせんべいという絶品があったとは！エスカーって略し方どうなの？など、たくさんの初めてと出逢った。

彼女との初めてのデートで江ノ島や水族館に行ったり、友人と日の出の写真を撮りに行ったり、夕日が沈むまでぼーっとしたり、江ノ島の海沿いをドライブしに行ったり。

僕がテレビ越しで観た景色の中でたくさんの思い出が作られていく。

嫌な思い出も、楽しい思い出も、悲しい思い出も、幸せに感じる思い出も、私の中では全てが輝いています。

最近、江ノ島に行けてないな。そもそも遠出することもしてないな。このテーマが私に、大切なことを気付かされくれたような気がします。

#海での時間