真空、八の月、ライオンズゲート
そのゲートが開くと
街は黄金色に光り出し
通りの四方八方から
僕等だけに聴こえる色付きの音が
合図のように深く鳴り響いた
僕の右手に握られたきいろい花束が
君を見つけ
君の左手にはめられていた指輪の石が砕け散り
過去のすべてを裂くように
胸の中でライオンがぐわん、ぐわんと叫ぶ
走ってきた甲斐があった
途方もないようなやかましい記憶も
ここまでは追い付けなかったみたい
夏の盛り
月も太陽も涼みたくて遠ざかる真空
結べなかった彼等は嫉妬してやがて静かに消えてゆくというよ
人混みの中でも
息が切れないように
2人で身体に熱を溜める
天のうえのほうで
稲妻がさあ、と走り
僕は君の手を握る
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?