マガジンのカバー画像

神様?のおはなし

35
創作小説「神様?のおはなし」のマガジンです。
運営しているクリエイター

2024年7月の記事一覧

神様?のおはなし㉝

神様?のおはなし㉝

↓シリーズはこちらから

思い出すきっかけを掴むと、凄まじい量の記憶、情報が流れ込んできた。
普通ならパンクしそうなデータ量だが、自分に限界はないらしい。
全てを一瞬でダウンロードした。

そして、私は全て悟る。
先程まで人間の体という器にアクセスして、人生というものを体験していただけだった。

体無きあとは、神様という始まりの存在と同化する。
今ダウンロードし終わり、私は神様の一部から神様になっ

もっとみる
神様?のおはなし㉜

神様?のおはなし㉜

↓シリーズはこちらから

「あなたは神様から作られたもので、神様の記憶を通して全てにアクセスできるんだよ。」

声が聞こえた。
実体はないが、沢山の魂のようなものがある。

「覚えてる?あなたがさっき生きてた人生でパートナーの役割をしていたの。」

「え、パートナーはまだ生きているはずじゃ?」

「あなたの人生上ではね。ここから私はあなたの人生にアクセスしていただけだよ。」

「ええ?どういうこと

もっとみる
神様?のおはなし㉛

神様?のおはなし㉛

↓シリーズはこちらから

体がなくなった。
記憶はある。

私は一つの体というものに入り、六十数年ほど生きたらしい。

人としての記憶が全てまとめて入れられており、いつでも見られる。
このときはどんな感じだったなあと思い返して懐かしむ。

そして気づく。
この場所には、私が生きた人の記憶だけでなく沢山の人の記憶があることに。

あれ?
どうして私は他の人の記憶も見れるのだ?

神様?のおはなし㉚

神様?のおはなし㉚

↓シリーズはこちらから

さて、これまでのおはなしの人生はどうだっただろうか。
平凡な人間の人生だっただろうか。

つまらない?自分と似ている?

随分面白くなかったかもしれない。
起承転結なんて全然ないし、酷い出来だと言われるだろう。

この人の身体の心臓は、先程止まった。
体が動かなくなった。

この人はこれからどうなるのだろう?

神様?のおはなし㉙

神様?のおはなし㉙

↓シリーズはこちらから

家族たちといろんなことをした。
映画を見たり、パーティをした。
海にも行ったし、買い物もした。

楽しい顔を見れて幸せである。
貴重な時間を過ごした。

そして、体がだるい。痛い。
どんどん体が動かなくなってきた。

ベッドに寝ていることが増えた。
色んなことができなくなってくる。

情けない。
みんなに迷惑をかけてしまった。

ごめん。ありがとう。

神様?のおはなし㉘

神様?のおはなし㉘

↓シリーズはこちらから

退院できる目処がたった。
大分痩せてしまった。
家族と過ごそう。孫や子供たちも会いに来てくれるらしい。

命尽きるまで、大切な人と過ごしたいと思う。
心残りはもう誰かとの時間を過ごせないということである。
お金や名誉は命が尽きる前ではもう意味がない。

誰も私には告げないがこの退院は、余生を過ごすための時間なのであろう。

そんな時間があるだけ幸せである。
当然この世を去

もっとみる
神様?のおはなし㉗

神様?のおはなし㉗

↓シリーズはこちらから

体調が良くない日が続くなと思い、病院に行った。
深刻な顔をした医者と家族と話をし、癌であることを告げられた。

今の時代よくあることである。
手術もできないような場所に転移しているらしい。
延命治療をして、余命半年だという。

「ああ、覚悟しないとな。」と思った。

病院で過ごす日々、家族が見舞いにも来てくれるが一人になると急に不安になる。
こんなに弱かったのか。

死へ

もっとみる
神様?のおはなし㉖

神様?のおはなし㉖

↓シリーズはこちらから

親の死を目前にして、自分の死も意識しだした。
健康診断もあまり良くない結果が出るようになってきた年齢である。

いつまでも元気に、ずっと若く居ることはできない。
いつか死ぬのは決定している。

これからの人生をどう生きようかと考えるようになった。

家族と過ごす時間を、より大切にしようと思った。
気の合う友人とも、前より会うようになった。

いつの間にか、時が過ぎている今

もっとみる