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じゃあ、またね。

「君は、今泣いてるんだろうね。気付いてやれなかったとかどうのこうの言って、馬鹿みたいに泣いてる姿が目に浮かびます。そんなに悲しまないで。って言っても意味ないか。この手紙のせいで、余計悲しくさせてしまってるかもしれないね。ごめんね。でも、そんなに悲しい事じゃないよ。どうせ数十年で、みんな同じところに行くんだから。あっ、君は道頓堀で拾った財布に入ってた4万円をごっそり抜いて、しめしめ顔でそのまま高級風俗に行くような男だから、同じところには行けないかもね。アイコスの吸い殻をゴミ箱に投げ捨てて、入らなければそのままにしておくようなだらしない奴だし。あと、ツーウィークのコンタクトを2ヶ月くらい使い続けるの、あれ辞めたほうがいいよ。私からの最後の忠告。色々と言いたい事はあるんだけど、書ききれないね。ボイスレコーダーに残そうかと思ったんだけど、そんなことしたら馬鹿みたいに聞き返しそうだからやめとく。君は、どうしてこうなったのか、理由が気になると思うんだけど、明確な理由なんて本当にないんだよね。ただ、なんとなく、ずっと考えてて、その時が来たと思ったから。本当にそれだけ。そんなんじゃ、納得してくれないと思うけど。
これは私自身の問題で、君が気に病む必要は全く無いから、そこだけは履き違えないでいて欲しい。完全に忘れられるのは少し寂しいから、棚の隅っこに置いてあるガチャガチャのミニフィギュアみたいに、頭の隅っこに少しだけ残しておいてくれたらそれだけで良いよ。君の人生はまだまだ長いし、あんまりいじいじしないでね。凄い自分勝手なことを言ってるけど、私が自分勝手なのは君が1番知ってると思うから、許してくれるでしょ。結局、長くなっちゃったね。最後に、1番言いたい事を書きます。歯磨き粉、最後まで使い切る前に捨てちゃうの、あれ勿体無いからやめてね。絞ったらまだまだ出るからさ。今までありがとう。とかそんな事だと思ったでしょ。私、天邪鬼だし、どうしてもそんなんで終わるのが嫌だったんだよね。じゃあ、またね。」

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