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ブレイクダンサーはブランコ派

「ボクもブランコ派だったよ。みんながバレーボールしているとき、仲間に入らずひとりでブランコ一生懸命こいでた。悩まなかったけどね。」
風見慎吾 shueisha  1985

慎吾ちゃんとダンプ松本さんが、ある雑誌のお便りコーナーに届いたハガキを一緒に読んでいると、ある女の子から「友だちの輪に入れずいつもひとりぼっちでさみしい」というお悩み相談がありました。

それを受けて、ダンプ松本さんが「私も子どものころ、“一緒に遊んで” って言えずにひとりでうじうじ悩んでたの」と。で、冒頭の慎吾ちゃんの発言でございます。

そう、慎吾ちゃんはブランコ派。やりたいことをやりたいときにやりたいようにやるのです。団体行動が苦手で、学校でもクラブに入っていませんでした。

「得意なスポーツは宙返り。も、これしかないスよ。ニガテなのは野球。なんでもしゃしゃり出るタイプなもんで、チームプレーがニガテなんスね。」
風見慎吾 shueisha 1983

みんなで何かやるときは、ガキ大将としてリーダー。慎吾ちゃんの地元では、大将になるには頭の良さが重要だったんだとか。

「ガキ大将っていうと、いまはすぐからだの大きい子どもを連想するけど、その当時の広島じゃ、ケンカはもちろん、勉強もよくできないとダメだったんだ。」  風見慎吾   shueisha 1985

神童と言われたヨッちゃん magazine h 1984

そんな慎吾ちゃんは近所の子どもたちの憧れの的でした。

「木の上に秘密基地を作ったら、友だちが“ヨッちゃんはすげえなぁ”って」
風見慎吾  shueisha 1985

山の木の上に藁やカヤを敷いて造る「秘密基地」、その場所や木の選定において右に出る者はいないと言われ、築城の天才として名声をほしいままにしていたヨッちゃんこと児童時代の慎吾ちゃん。理想の基地造りを実現するために、きっと独りで製作に没頭していたんでしょうね。

完成した秘密基地の木の上から、山の中をイノシシが走るのをやさしく見守る日々。

慎吾ちゃんを尊敬するダンサー/振付家のTAKAHIROさんも、子どものころは独りで過ごすことが多かったそうです。

「もともと僕は、部屋の隅でひとりでラジオドラマを聴いているような目立たない少年でした。」   TAKAHIRO/上野隆博  UR 2021 Vol.64 

でも、そんな時間が振付につながる創造力を促したそうです。

「 技術も大事だけど自分が良かったのは、18年間ダンスをしてない時間があったこと。その時間はラジオを聞いたり、空想の世界にふけたり、それが今の想像力に繋がっている。」
TAKAHIRO/上野隆博   TIME AND TIDE J-WAVE 81.3 FM 2017/10/21

時は流れて新世代、パリ五輪での活躍が期待されるブレイキンの王者も同じように語っています。

「物心がついた時から一人で思い巡らせて絵を描くことや、レゴブロックでオリジナルのキャラクターを考えて物語をつくることが好きで ‘想像する
習慣が染みついている。それがブレイキンとも結びついている。」
SHIGEKIX/半井重幸   47News   2023/9/8

SHIGEKIXさんは、ブレイキンが五輪競技に採用されたとき、テレビ番組でしんごさんと共演してパフォーマンスを披露してくれました。まさに、情熱が繋がれていく光景でした。

☆彡

「なにか一つの物事に燃え出すと、それに突進しちゃうタイプ。なんでも自分でやりたいタイプで、ずいぶん失敗もしてきましたね。」   風見慎吾kodansha 1983

慎吾ちゃんたちのように子どものころに独り遊びをするブランコ派が、創造力や想像力を要するブレイキンに向いているみたい。あと、「天才肌」というのはたいてい孤独らしいけど、関係あるのかな。こういった理論があったら是非どなたか教えてください。