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旅館やホテルは、Web制作会社とライターを切り離したほうがいい理由

こんばんは。観光ライターのMasanoriです。

本日のテーマはそのものズバリですが、結論から先に述べると『多重下請け構造』のリスクが高いからです。最近では、“C〇COA”の開発を巡って話題になりましたが、観光×IT業界においても横行していますが、費用以外の下請け構造にも問題があります。シリーズ化している、宿泊事業者向けのnote。サイトリニューアルに莫大なコストを投じる前に、見直すべき部分の気づきになれば幸いです。

多重下請け構造の闇

僕は個人事業主として、本業と二足のわらじなので、おしごとは割と選ぶようにしています。上から目線のつもりはなく、限られた時間での稼働で、顧客も自分もその先にいるコンシューマも満足のいく結果を得るため、双方の選別が重要だと考えています。なので、Web制作会社や、コンサル的な人が商流に関与している案件は基本的に引き受けません。あくまで、ライター業として開業していることもあるので、考えるべきは、成果を出すためのアウトプットのみです。しかし、間にベンダーがいると、現場との温度差がどうしても生じます。

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わかりやすく書きますと、(規模にもよりますが)旅館が元請けのWeb制作会社にリニューアルなどの依頼で、一式300万円ほどの費用を支払っているとして、制作会社側はライティングの見直しという概念がほぼ皆無のため、ギリギリになって外部ライターをアサインします。そのとき、ライターに支払われる報酬は、おそらく10~15万円ほど。これはまだ良い例で、元請けがデザインやコーディングまで下請けを使っている場合(実際よくあります)、ライターには5万円ぐらいから交渉がはじまります。

さらに闇が深い場合、外部ライターアサイン費用を別料金でマージンを上乗せして請求をすることもあったりします。いずれも、旅館側は300万円+αの費用が発生している認識ですが、実際に稼働するライターにとっては、5万円~のおしごとという温度差が生じます。
値ごろ感としては、規模によってはギリギリ相場範囲内のケースもあるのですが、なるべくマージン分も、情熱や熱量といったものも含めて、直接契約をおすすめしたいです。ライターから納品されたアウトプットは、“テキスト素材”として制作会社に支給すれば良いだけです。

「切り離したほうがいい」は実体験から

コロナ禍になる前、そういう依頼を一件引き受けたことがあります。noteに書いてきたように、ミーティング、ヒアリングを重ね、現地にも足を運び、リサーチに基づいたアウトプットを期日どおり提示した日のこと。初校戻しではなく、それまでに協議してきた内容をイチから覆すような修正依頼が戻ってきました。

( ; ・`ω・´)あの、これは大前提が覆っていて、今のタイミングでいわれてもこちらも困るのですが・・

「いやーウチもそうは思ったんですけどね?新しく入られた担当さんがそうしたいというもので」

( ; ・`ω・´)失礼ですが、御社はディレクションとしても入ってらっしゃるんですよね?

「そうですね、お得意様なので、忖度していただけると」

( ; ・`ω・´)別に僕のアウトプットが正解というわけではないのですが、せめて折衷案とか、そういう交渉はされないんですかね?

「顧客がそう言ってるからやってください」

(´◉ω◉` )はぁ、そーですか

まともな顧客目線をもつフリーライターさんならお気づきかと思いますが、誰のためのおしごとなんですか?というツッコミどころがこの会話のポイントです。公式サイト経由からの予約数を向上させるためのリニューアルという名目で、つまるところ、ターゲット層の見込み客を集客しないといけない、という明確な課題があるなかで、“誰に忖度しているんですか?”ということが実際にありました。

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こちらとしては、そのセリフが出てきた時点で熱量は失うわけで、指示どおりにリライトしましたが、これが直接契約だと、少なくとも意思決定前の協議や意見交換が入るため、こちらの意図も説明する機会が設けられます。本当に親身な立場になって考えるのは、後にも先にもライターやカメラマンなので、少し面倒でも、Web制作会社とライターは切り離したほうが、結果的に双方のためです。

カメラマンも余計な仲介がいないほうが良い

本格的な撮影を依頼された場合、昔から本業においても、開業した個人事業主側においても、一緒におしごとをする(依頼する)カメラマンがいます。当人は法人化していて、撮影仕事で飯を食べている生粋のプロなので、腕前については口を挟む余地はありません。動画仕事のときはタイムキープを自分が担当するぐらいで、ティルトなのかパンなのか、撮影自体は、おまかせコースです。(下図:温泉番組のようなイメージ映像の撮影依頼)

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ライティングとビジュアル素材を見直しするケースは珍しくはないので、その場合は一緒に行動します。お部屋などもお貸しいただくので、夜はライティングと撮影イメージの擦り合わせを綿密におこないます。よって、ここがセットであることで、コンテンツに説得力と臨場感が生まれます。露天風呂から見える紅葉の景色を情緒たっぷりに書いているのに、肝心の画像が温泉の湯舟だけ、などちぐはぐにならないための大事なコンビネーションです。そのため、できればライターとカメラマンは、おしごとを継続的に同じ方に依頼するような流れができると、良いPDCAが発生すると思います。

前述の仲介が入ることで、ここにも余計なノイズが発生するケースがあります。顧客意見ならまだわかりますが、Web制作側が顧客とのミーティングでたいして熟考せずに発言したようなよくわからない注文が入ることがあります。ライターにとっても、カメラマンにとっても矜持はあるわけで、プロのおしごとに口を出すなら、相応の覚悟のうえで臨んでほしいものです。

大抵の場合、その覚悟も信念もどの方面に対しても持っていないのが残念な現実です。これはまた別のテーマでいつか書こうと思いますが、この手のケースの場合、リニューアルしたところで目標が達成できないことを制作会社側がわかっているから、責任転嫁の材料をストックしておきたいだけです。

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