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「認知症にはなりたくない なってほしくない」そう思っていた私の学び

こんにちは。先日認知症フレンドリーテックアイデアソンに参加しました。認知症について学び、携わる様々な問題をチームに分かれてアイデアで解決していくというイベントです。

認知症について、また当日の概要は下記の記事で分かりやすくまとめられています。

自分は37歳。両親ともまだ現役で働いており、認知症について考える機会はほとんどありませんでした。本音を言えば

親はボケないでほしいなぁ
そうなったら自分がめんどう見るのかな 大変そうだな
その時はちゃんとした施設とかに入居して過ごしてくれたらいいな
自分には認知症は縁遠いものだ いや 縁遠いものであってほしい

と残酷に思っていました。そんな私がこのイベントに参加して、学んだことを簡単にまとめます。

幼少→成人→認知症 誰もが辿るもの

認知症発症の最大のリスク因子は加齢であり、認知症=なってしまったら怖いもの、ではなく認知症=『ほぼ誰しもが必ずなるもの』かつ『防ぎようがない』ということに、シンプルに衝撃を受けました。

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親も、私も、私の娘たちもなる。そして防ぎようがない。なぜなら加齢が原因だから。赤ちゃんで生まれ、成人し、年老いて認知症になっていく、それが人間であるということを学び、一気に認知症が身近に感じられました。

親が認知症になってほしくないなぁ は 子ども成人せずいつまでも赤ちゃんでいてほしいなぁ とほぼ同義で、願うこと自体滑稽に思えました。

今自分は成人として、何となく自立できているような気がしますが、人生の序盤(幼少期)と後半は、誰かの手を借りなければ生きていくのは難しい。親に育ててもらい、自分も子育てをするように、自分も認知症の家族や親を支え、自分も誰かに支えてもらう、それが当たり前なんなだと気づきました。


自分や親のために備えたいこと

①親と認知症の話をする

親も多分、いや確実に、「認知症にはなりたくない なるものか」と思っていると思うので、誰しもが当然のように認知症になっていることを、きちんと話し合おうと思っています。

認知症にはグラデーションがあり、糸が切れたように急になるわけではありません。現実から目を背け、症状が進んでからの対処になると、認知症を和らげたり進行を遅らせることができなくなるだけでなく、本人も、対処する家族の負担も極端に大きくなります。

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例えば上の見当識障害であれば、一般に時間・場所・人の順に障害させるため、「最近今日何曜日か思い出せないな」と感じたら、第一ステップの始まりと考えてよいです。誰しもがなることを理解した上で、認知症の「サイン」をキャッチできるようになると、本人も家族も「あ、ちょっと始まったのかも」と、準備を進めることが出来ると思っています。もちろん受け入れがたい気持ちもあるでしょうが、「誰しもがなるもの」、特に周りの家族がそうポジティブに受け止めることが大切なんだろうなと感じます。

②いい思い出をいっぱい残す

エモーショナルな見出しですが、心底感じたので記事化します。認知症になると、記銘力に障害が起き、新しいことを記憶できなくなっていきます。更に進行すると、過去の記憶もすっぽりと消滅してしまうことが多々あるそうです。

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そんな中、良くも悪くも、「感情が伴う記憶は残りやすい」そうで、例えば3日前の夕食は思い出せないのに、1年前の誕生日の夕飯が思い出せるのはそのせいだそうです。思い出が消えてしまうこと自体ものすごく悲しいですが、せめて残る記憶は、良い感情の思い出に溢れていてほしいと感じます。

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先日父親と話していると、「お前はお父さんが定年退職した時に何もお祝いしてくれんかったなぁ」としみじみ嘆いていました。「だってその時忙しくて」とかなんとか言い訳しましたが、父親の記憶が消滅していく中、こんな負の感情が強く残るのかと思うと、すごく申し訳ない気持ちになりました。

誰しもが 幼少期→成人→認知症 という人生を歩むので、思い出をきちんと頭に残せる期間は長いようで短いです。そうであるからこそ成人の間で、家族間で共有できる「良い感情」をいかに増やせるかが、人生においても、認知症に家族で向き合う上でもとても大切だと学びました。

③生涯楽しめるものを探しておく

今回のアイデアソンでは、チームに分かれてある症例をもとに、課題解決に向けてアイデアを出し合うというものでした。私たちのチームの症例は、山登りが趣味だったが加齢でできなくなり、認知症症状は、夕方出かけて帰ってこないという「徘徊」でした。

そこで我々のチームは、家の中でも山登りを楽しめるVRツールを提案したのですが、実際認知症になってから、新たな趣味や生きがいを見つけることはかなり難しいのではないかと感じました。加齢で体力が低下するだけでなく、認知症で脳の機能・認知機能・ADL(日常生活動作)が衰えると、ますます出来ることがなくなり、今回の例では、そのエネルギーの矛先が「徘徊」に結びついているのかもしれません。

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幼少期→成人→認知症 という人生の中で、せめて体力が衰えても楽しめるものを、成人期に探しておくということがとても大切だと感じます。さらに家族や誰かと一緒に楽しめるものを積極的に探してみる。いつまでも楽しめる趣味があれば、で本人の楽しみだけでなく、周りの家族の不安も和らぎます。そんな趣味を家族や親と、今の内から探したいと思っています。


束ねてマーケットにすることが大切

私はスーパーで働いていますが、商品の品揃えはそのお店によって違います。なぜならお店は「その地域で売れるものを品揃えするから」です。猫を飼っている人がが多い地域ではキャットフードの品揃えが充実し、犬ならドッグフードになります。今のところ私のスーパーには「認知症コーナー」はありません。将来は出来るかもしれません。

今はニッチかもしれませんが、全国で束ねれば相当大きなマーケットになると思います。そして2060年には10人に1人が認知症患者になるらしく、その規模は莫大で、まさに成長産業です。

だからこそ今回のアイデアソンのように、オンラインで集まって考える、ビジネスチャンスを模索するという機会はとても大切だと思っています。

2060年には認知症患者は1,000万人を突破し、小学生と同じ人数になるそうです。小学生が歩きやすいように「通学路」があるように、認知症の方が生きやすいように「認知症フレンドリーな世の中」を考え続けることは、社会や私の当然の責任だと、今回のイベントに参加して感じました。これからも自分事として学び続けたいと思っています!

来月実施される「認知症フレンドリーテック ハッカソン」にも参加してきます!ご興味あるかたはぜひ!

長文お付き合いありがとうございました☺


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