【凡人のジレンマ】大学生が一から企画を立ち上げ学んだ戦略的思考法
このnoteの目的は、一大学生である自分が瀬戸内海に浮かぶ男木島という小さな島での島おこしプロジェクトに所属し、企画を立ち上げ、そこで学んだ様々な経験をnoteに書き起こすことで自分自身のアウトプットにすることです。自分のアウトプットしたものがこの記事を読んでくださった方々のインプットになることを願っています。
1. はじめに
1.1. 企画を終えた今の率直な感想
最初は企画を終えての感想から。
『半年間本当に辛かったが、史上最高の貴重な経験が出来た。』
これに尽きます。
というのも、自分はこのプロジェクトに参加するにあたりサークルのような軽い気持ちで参加したためにギャップに苦しみました。
「この人たちガチじゃん。」
自分のようにお世話になってた先輩がプロジェクトのディレクターをやっていて、仲の良い友達も参加していて、ちょっと面白そう、あわよくば今後の就活のガクチカになればいいなと参加する者にとってはあまりにも身分不相応の環境でした。
プロジェクトメンバーは大学生のみで構成されているため自分と年齢はさほど変わりませんが、プロジェクトの幹部たちは学生にも関わらず、自ら会社を立ち上げ年商1億円や5000万円を達成している人ばかりでした。半年前の当時の自分はメタバースの個人事業を起業して2期目。年商はやっと1000万円を超えたばかり。自分よりはるかに経験値が高く、修羅場を潜り抜けている人たちばかりの環境は今振り返ってもとても刺激的でした。
そのような環境下で一から企画を立ち上げ、もがき苦しみながらも企画を実施し、目標売り上げの2倍である3000万円の売り上げを達成することが出来たことは自分自身の自信になりました。もちろん、社会人になれば「目標売り上げの2倍の3000万円」という結果の方が重要かもしれませんが、私が今回の経験を通じて大事にしたいことは企画実施までのプロセスで学んだ思考法です。プロジェクトの幹部たちから企画をボコボコにされながら、今まで喧嘩することもなかった仲の良い友人たちとも喧嘩しながらも、一つ一つ出てきた課題に対して真摯に向き合い解決する過程で学んだこと、
「普通の大学生活を送っていたら体験できなかった
貴重な半年間の経験をもとに学んだ思考法」
=
「常識になっているが、
言語化されていない
マーケティング戦略の基礎の基礎」
を振り返りながらアウトプットしたいと思います。
2. マーケティング戦略はなぜ必要なのか?
企画を運営するときにマーケティング戦略が必要ない場合が存在します。
それは、
達成すべき目的が存在しない場合
リソースが無限に存在する場合
の二つです。
しかし、たいていの企画を運営する際に①、②が存在しない場合はほとんどありません。目的がない状態で企画を運営すれば、何を目指して自分たちがその企画を運営しているのか分からなくなりますし、リソース、つまり時間やお金が無限に存在することはありません。だからこそ、私たちは企画を運営する際にマーケティング戦略を練らなければならないのです。
そして、今回は目的づくり、ターゲット層の明確化、SNS運営の三点に分けて戦略を記したいと思います。
3. 戦略基本① 優れた目的にするための理論
3.1. 目的を作る前に上位の組織を知れ
ややこしい書き方をしていますが、
まず、自分たちの企画の目的を作る前に組織全体の目的を知り、企画を考えるメンバー間で共有しなければならないということです。自分たちが運営する企画の目的が自分たちの所属する組織の目的にコミットしなければ、それは企画の方向性が誤っていることを表します。その上で、自分たちの企画で何が出来るか考えます。そうして出てきた戦略が自分たちの目的になります。
3.2. SMAC、優れた目的にするための必要十分条件
SMACとは引用させて頂いたP&Gジャパン合同会社や資生堂ジャパン株式会社などで実際に取り入れられている優れたマーケティングの目的を作成するための4つの指標です。
Specificでは数値化(どれだけ売り上げたいのか)、
Measurableでは測定単位(売り上げの基準とするのは売り上げた量なのか金額なのか、来場者数なのか)、
Achievableでは実現可能性(達成可能かどうなのか)、
Consistentでは組織の方向性や整合性の一致(一貫性が取れているのか)を測っています。
4. 戦略基本② ターゲット層を狙い撃つマイナス思考からの+α
4.1. コンシューマーインサイト、ターゲット層の見えないインサイトにサービスやプロダクトを刺す必要性
ターゲット層を細かく詰めれば詰めるほど企画の道筋が立てやすくなります。サラダマックの例を挙げてみます。
サラダマックの例から学べることは、「消費者は往々にして自分自身が何を欲しているのか言語化することは出来ない」ということです。ここでは、「アンケートに答えた消費者の思考」と「マックに実際に来店する消費者の思考と属性」を改めて整理してみます。
アンケートに答えた消費者の思考
何か食べたいメニューや欲しいメニューはありますか?というアンケート
今ないメニューを考える
ヘルシー系のメニューと答える
マックに実際に来店する消費者の思考と属性
がっつりしたメニューや早くて安いものが食べたい人
若い男女
ここから分かることは、消費者は表面上のことを言語化することは出来るが、自分たちが本質的に求めているもの(=インサイト)を言語化することはなかなか難しいということです。つまり、
良いサービスやプロダクトを提供する
≠
消費者の要望に応える
良いサービスやプロダクトを提供する
=
消費者自らが言語化することが出来ない見えないインサイトをこちら側が分析の結果明らかにして、それに寄り添ったサービス、プロダクトを提供する
必要があるということです。サラダマックの例以外にも、P&Gの食器用洗剤ジョイの誕生秘話やパナソニックの食洗機の広告など多数の事例が報告されており、これは、マーケティングの基本的思想「コンシューマーインサイト」に基づいています。
4.2. POD、ターゲット層が抱える課題を解決するのためのポイント
ターゲット層の抱える課題を解決するために企画の中でPODを持つことは非常に重要です。なぜならば、お客様が他にも飲食店やお酒を提供してくれる店があるのにも関わらず、私たちの企画(サービス)を選ぶ直接の理由になるからです。そしてPODの作り方は3パターンに分類されます。
このようにターゲット層を狙ってPODを踏まえた企画作りをするときは、初めにお客様が抱えている課題(=コンシューマーインサイト)を解決しながら自分たちでしか提供できないサービスやプロダクトを作るというマイナス思考からの+αという考え方が大事になります。
5. 戦略基本③ 人々の欲求を満たすSNS運営
5.1. 現象の裏に存在する欲求の言語化
みなさんはなぜSNSを使って投稿していますか?
ある調査では若年層のSNS使用率は90%にものぼることが明らかになり、すでにSNSは若者に根付いた存在になっています。SNSをマーケティング戦略として使用することは大学のサークルの新歓レベルで当たり前になっているからこそ、自分たちがなぜこんなにもSNSを使用しているという現象が発生するのか、そしてなぜ投稿という行為をするのかを考えなければなりません。
人々が行動を起こして現象を発生させるのは何かしらの欲求が存在します。そして、その欲求は個々人の本能に近いものなので一般的に言語化されることはありません。しかし、その欲求をもとに人々が行動を起こす以上、私たちはターゲット層が求めている欲求を言語化しなければならないのです。
Instagramを取り上げて欲求を言語化してみます。Instagramを投稿するという行為(現象)の欲求の言語化はいいねがほしい、フォロワー数を増やしたい、投稿することで自分の近況を知ってもらいたい、インスタ映えの投稿をしたい、承認欲求を満たしたい、、、などが挙げられます。このように欲求を言語化することで自分たちが本能で起こしていた現象の理由が分かるので、企画を考え広報する側はこの人々の欲求に対して直接リーチすればよいことが分かります。
5.2. 欲求にリーチするための広報戦略
では、言語化した欲求にリーチするための広報戦略について考えていきます。私たち企画を運営する側はどこを狙うのか明確にするために欲求を言語化しましたが、ターゲットとなるお客様は欲求、つまり本能で動いているため一目で欲求を満たさなければなりません。しかし、一目で欲求を満たすことは非常に難しく、SNSでの広報は毎日ものすごい量の情報が飛び交っているのでスルーされてしまいます。
そこで、
エンゲージメント率を高める。
ターゲット層の欲求を満たすために自分たちの企画の長期的なブランディング。
の二点が重要ではないかと私は考えました。
一点目に、エンゲージメント率を高めるということは様々な情報が流れるSNSの中で、少しでも目にしてもらうために重要な戦略です。
運営する媒体がSNSになり、Webマーケティングと評されるものになってもマーケティングの本質は変わりません。詳細は前述した、戦略基本①・②と同じであることが分かります。つまり、最適なマーケティング戦略を練ることさえ出来ていれば、SNS運営も自ずと成功します。言い換えると、SNS運営が上手くいかなければ、最適なマーケティング戦略を練ることが出来ていないという指標にもなります。
二点目に、ターゲット層の欲求を満たすために自分たちの企画の長期的なブランディングです。
一般的に「値段が高い」ということは消費者にとってディスアドバンテージになります。しかし、「値段に見合った価値がある」と思わせることでアドバンテージにすることもできるのです。
6. 戦略は実行できなければ意味がない
直訳すると、「消費者が見る唯一の戦略は実行だけだ。」という意味になります。つまり、どれだけ戦略を練ったとしてもそれが消費者に伝わらなければ意味はないということです。お客様に伝えるために私たちは企画当日から逆算をしてスケジュールを組み立て、様々な方々から協力を頂きながら戦略を感じ取ってもらう工夫、実行をしなければなりません。
7. 最後に 凡人の果てにあるもの
本記事のタイトルに含まれている【凡人のジレンマ】の「凡人」とは紛れもなく自分のことで、「ジレンマ」となっている比較対象は自分よりも圧倒的に優れているプロジェクトに所属しているメンバー全員です。私は、先輩方に企画をボコボコにされるたびに、アドバイスをもらうたびに、自分とは何が違うのか、凡人ではなく天才なのかと考えていましたが、今はそう思いません。
彼らは
「自分と違う=凡人ではない」
ではなく、
「自分と違う=プロフェッショナル」
なのです。
自分よりも圧倒的な場数を経験しながら、時には失敗をしながらプロフェッショナルまで上り詰めていったのだと感じました。そして、凡人がある物事を極めた先にあるものがプロフェッショナルであると感じました。
これは私が企画が終わったあとにかけられた言葉です。大学三回生の私は現在、就職活動中であり、インターンや本選考に向けて様々な準備をしている最中なのですが、やみくもに動き回るのではなく、
中身の伴った
=
自分が本当にやりたいこと・好きなことを見つけて極めろ
という意味なのだと思います。そして、その先にあるプロフェッショナルに自分自身がなれるように現状に満足せずに、スキル面でも人間的にも成長していきたいと思います。
最後に、今回の企画に携わってくださったみなさん、そして拙い文章ながらも最後まで読んでくださった方々に感謝の気持ちを述べて終わりたいと思います。本当にありがとうございました。
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