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【映画紹介】 みずみずしさが眩しい!ティーネイジャーの海外映画 #02

たびたび公開している "あかるくたのしいフランス映画紹介" シリーズに限らず、色々な観点で観た作品をまとめてみたいと思う。

今回も "ティーネイジャー特集" 、第二弾。


#04 『小さな泥棒』 La petite voleuse (1988)

監督:クロード・ミレール
主演:ソフィー・マルソー

あらすじ:1950年、フランス中部の小さな町。16歳のジャニーヌ・カスタンは、伯父さん夫婦と一緒に暮らしている。市場で商売をしている伯父は優しいが、伯母は働きのない彼女に冷たくあたるばかり。そんなジャニーヌの唯一の慰めは、5年前に彼女を残して去ってしまった母親からの手紙を待つことだけだった。退屈な家や学校から逃れて映画館にもぐり込むか、小さな盗みをする日々を送るジャニーヌ。今日も彼女は、授業を終えると公衆トイレでワンピースに着替え、ハイヒールを履いて街に出た。映画館の前でアメリカ兵からタバコを失敬した後、洋服店でペチコートを万引きして家に帰る彼女。しかし、その様子を見ていた店主が家にやって来た事で、彼女の今までの悪戯が伯父夫婦にバレてしまう……。

多感な思春期の少女が持つ、親や社会や大人たちに対する苛立ちや、その複雑な心情を、彼女を取り巻く時代と環境の変化と、彼女自身の肉体と精神の変化を絡み合わせて描いた、少女版「大人は判ってくれない」といった風の青春映画。

allcinema 作品紹介ページより

なんかもう想像の斜め上を行きすぎて口があいちゃう映画。
シャルロット・ゲンズブールのお決まりの半開きのお口の如く。

そう、『なまいきシャルロット』で華々しくスクリーンデビューしたシャルロット・ゲンズブールが主演。『なまいきシャルロット』について詳細は以下。

あらすじ紹介では "少女版『大人は判ってくれない』風といった風の青春映画" なんて書いてあるが、個人的な所感ではぜんっぜんそれよりヤンチャ

こんなに可愛いのに「え、そこそう行く?」「そんなこと言っちゃう?」な展開が多すぎて空いた口が塞がらない。

シャルロット・ゲンズブールの魅力がなければ観るのをやめたくなるレベルの違和感だが、逆に彼女だからこそピリリと光る作品に仕上がっているのだと思うと、製作陣の手腕にんん〜〜と唸るほかない。


#05 『裸足の季節』 Mustang (2015)

監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン etc

あらすじ:イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村に住む13歳のラーレは、美しい5人姉妹の末っ子。10年前に両親が亡くなってから、祖母のもとで姉たち――長女ソナイ、次女セルマ、三女エジェ、四女ヌル――と、叔父のエロルと共に暮らしている。

ラーレの大好きなディレッキ先生がイスタンブールの学校へと異動になった日。下校途中、姉妹たちは男子生徒と海で騎馬戦をして遊ぶ。無邪気に男子の肩にまたがってはしゃぐ彼女たち。楽しげに帰宅した5人を迎えた祖母は怒りの形相で、長女ソナイから順番に折檻していく。「ふしだらなことをしたからよ。男たちの首に下半身をこすりつけるなんて!」隣人が祖母に告げ口したのだった。

この日以来、姉妹たちは外出を禁じられ、家に閉じ込められた。派手な洋服やアクセサリー、化粧品といった“不埒なもの”はすべてゴミ袋へ。携帯電話、パソコンと次々と没収され、戸棚にしまわれ鍵をかけられた。文字通り“カゴの鳥”となった彼女たちを待ち受けていたのは花嫁修業の日々。料理を習い、掃除をし、地味な色の服を着させられ……。村の女たちが毎日のように家にやってきては、姉妹たちに花嫁として必要なことを伝授していく。それは退屈な日々。

次々に見合い話がまとめられていく。婚礼の日。セルマは浴びるように自棄酒を飲み干す。酔って静かに涙を流すセルマに、「結婚したくないなら逃げて」とラーレは言うが、セルマは諦めたようにつぶやく。「どこへ逃げればいいの? イスタンブールは1000キロ先よ」
この夜が、5人姉妹が揃う最後の日となった。

ラーレは「その日」に向けて綿密な準備を始めた。祖母のへそくりから金を盗み、アリバイ工作用の人形に自分の髪を切って縫い付ける。そして、ラーレはついに強行する。運命を切りひらくための計画を――。

作品公式紹介ページより

トルコ・フランス合作作品。

なんというか…………………
出だしから不穏。5人姉妹の少女たちは疑いようもなく "みずみずしい" はずなのに、なぜか幸福の香りがしない。なぜなら彼女たちが住む家の主(叔父叔母)がサイアクだから。

未婚の女性の処女性を重要視する、トルコの小さな村の風習。今も本当に実在するのかは定かでないけど、ある時代のある場所では確実に、女性が厳しく管理されていたであろうという事実は聞かずともわかる。

長女から順に強制的に見合い結婚をさせられ、残された妹たちもこの運命を受け入れられず彼女たちなりに抗いを見せる。
その抗いが、悲しい結末も明るい希望も生み分けることになる、そんな何ともいえない気持ちになる映画。


自分の足で、自分の未来を歩いていく。
こんな当たり前のことが "風習" のせいで出来ない人たちがいることを軽視せず、わたしはわたしの道を行く、と力をくれる作品でもある。


#06 『17歳の瞳に映る世界』 Never Rarely Sometimes Always (2020)

監督:エリザ・ヒットマン
出演:シドニー・フラニガン、タリア・ライダー etc

あらすじ:ペンシルベニア州に住むオータムは、愛想がなく、友達も少ない17歳の高校生。ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている、いとこであり唯一の親友スカイラーは、オータムの異変に気づき、ふたりで事態を解決するため、ニューヨークへ向かう……。

作品公式紹介ページより

本作は "ティーネイジャー映画" シリーズ #01 で紹介した『愛のように感じた』を監督したエリザ・ヒットマンによる作品。 『愛のように感じた』についての詳細は以下。

この映画では最後まで、主人公のオータムが妊娠中絶を望む子の父親が誰なのか明らかにされない。その代わり、血のつながった美人の "イトコ" が力を貸し、女の悩みはわたしたちの悩み、といわんばかりにオータムに寄り添ってくれる。

バイト先からくすんだお金もなくなり、関係のよくない親にも頼れず、その日暮らしでなんとかオータムの危機に立ち向かう2人の姿は、切ない反面とても力強い。

印象的だったのは最後の一日を乗り越えるお金を工面するため、バスでナンパされた男に会って一緒に遊び、お金を貸してもらう代わりかのようにキスさせてやる美人のイトコの選択。

このキスシーンの最中オータムは彼女の手を握り、これも "わたしたちの苦難" と痛みを共有するかのような仕草をする。妊娠にしろ性的な行為にしろ、女としての苦しい側面をこれでもかというほど描き続けるエリザ・ヒットマンの傑作。


ティーネイジャー特集第二弾は以上。
一生のうちに観ても観きれぬ良い映画たちが、
世の中に溢れてるのは奇跡でしかないよね。


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この子(タリア・ライダー)が美人すぎて…
2000年生まれだってさ。好きな顔…


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