本当にあった、恐ろし~い話【part1】人工呼吸器x意識鮮明x手術

希少疾患で、日本発症例として手術を受けたことがあります。

これが起きたのは、ちょうど主治医が夏休みで、その代わりに別の先生が2週間担当の時でした。

で、本当は術後にICUに入る予定だったんですが、それが変わってしまったんです。

その時、私を普段から診ている先生ではない先生が、ちょうど術後の担当になってね。

あ、手術当日とかではないです。数日後くらいだったのではないでしょうか。正確に、二日後か三日後かは覚えていませんがね。手術が上手く行って、大事には至っていないことを見届けて、申し送りされたんだと思います。

その代行の先生は、生まれて初めて体内に機械を埋め込んだ症例を診たんです。しかも、外科系ではない先生でした。なので、手術とはあまり拘わらない先生だったこともあり、術後は専門外だったことでしょう。一応全身麻酔入ってたんですけど、筋弛緩薬がメインだったんで、痛みを和らげるものじゃなかったのです。

意識は鮮明。

外科で行われた手術には、皮下を切開してカテーテル通すということも含まれていました。そして、そのカテ―テルは外から触れる。

好奇心が先行したんでしょうね。

楽しそうに、「カテーテル触れるんだっけ?」って言ってたもんね。

カテ―テルの上は、目に見える傷がなかったのですが、組織内は手術で皮下にトンネルの穴を作って、その傷をカテ―テルが通っていたのです。

目に見える傷でなくとも、組織内は損傷しているものですから、「指とカテーテルという二つの硬いもの挟まれ、ぐりぐり押す・触ると痛い」というのは、やはり目に見える傷と同じなんです。

全身麻酔からまだ覚めてないとかではないですよ。意識はあり、看護師とも、その医師ともちゃんと意思疎通はしていました。

でも、人工呼吸器に乗ってたんです。喉に気切という穴をあけて、直接管を気管に入れて、それが人工呼吸器に繋がって、機械が代わりに呼吸をしてくれている状態でした。すなわち、声帯を空気が全く通ることができないから、声なんて出せないのです。

「止めて」とも言えないし、

「痛い」とも言えない。

真っ先に、自分の手でその先生の手を掴んでやめさせることを思いつきました。でも、病気の影響で微塵も動けない状態です。呼吸器を装着するために、筋弛緩を目的とした薬剤の投与を受けていましたが、鎮痛作用なんかありません。しかし、意識がはっきりしてる。

そもそも、痛み止めを入れてくれるようにお願いしてました。

物理的に生傷のあるところを楽しそうにカテーテルに沿ってなぞられてね。

あれは痛かったです。

声も出ず、みじんも動けないその状態で、私は無言でただただ涙を流していました。

同室にいた看護師さんが、たまたまその涙に気が付いてくれてね。

痛いか聞いてくれました。

瞬き一回。これが「YES」=「はい」

この瞬間、速やかに皆が対応してくださいました。

人工呼吸器って、呼吸が苦しいとか、首に切開して開けた穴が痛いとか、色々ありますが、意思疎通が困難というのも非常に大きな苦痛なんです。

もし、この時に看護師さんが気付いて、私に問いかけてくれなかったら、私は生傷を触られ、痛くて涙が流れても、あまりの痛みで唇を嚙みちぎって流血しても、気が付かれない。

周りが善意で動いていても、結果的に意思疎通が図れないというのは、意図せずとも苦痛を生んでしまうのです。

かなり状況が違うかもしれませんが、いじめのニュースで、無視されて自殺に追い込まれた子とかの特集があるでしょう。

私は、この時とても素晴らしい病院に入院していたので、皆積極的に会話をしてくれました。自分が、この時期スタッフの積極的な介入、家族の献身的な看病、そして友人たちに支えられていたから、様々な拷問のような状況も耐え抜き、頑張れました。もし、それがない状況で、人工呼吸器装着を余儀なくされた時を想像しただけでも…耐え難いだろうとしか思えません。

これは、不慣れな代行のむしろ良心的な医師の元で起きた事象です。

まぁ、しょうがなかったのだと思います。

別に、その先生もわざと苦痛を与えようとなどしていません。私も、彼に悪意を持ってはいませんし、責めてもいません。むしろ、要所要所で助けられていることも多い。私の方から、敢えて積極的に懐いているわけでもありません。この辺は、まぁお互い気の毒だったねということでいいと思ってます。

ただ、一人でも多くの方々に、人工呼吸器装着中の患者にこのようなことが起こり得るということを知っていただきたいと思っております。

理解できないとか、想像できない事象があること自体は罪ではありません。
ただ、こういう理解や想像が及ばないことというのは、国内初症例の珍しい手術に限ったことではありません。

この入院中・この病院では、理解されずに困ったことはありませんでした。しかし、常にそうではありません。もう少し掘り下げたら、簡単に科学的に説明できることが、想像がつかない人もいます。文献に載っていても、目の前の現象との関連付けが何故かできない人もいます。AとBということが文献に書いてあったとして、Aの方が都合がいい時、そちらのみが起きていると結論付けてしまう人もいるでしょう。

類似している現象は誰でも知ってる常識なのに、一つ見え方が変わるだけで、全く理解できない人もいます。(別途記事にする予定です)

基本的に、目に見えることではない場合には、なかなか伝わらないように感じます。

たとえ見えづらくとも、授業で叩き込まれるようなことは、知っているから、対応が素晴らしいのです。

見慣れないことが理解できない時に、なぜか無いことにしてしまう思考回路の人って案外多いということも知って欲しいです。

その時、おそらく「自分には知らないことがある」ということを理解しているだけで、色々と想像したり、受け入れたりしやすくなるのではないかと思います。

もし、医療関係者の方でこれを読んでいる方がいたら、分からないとか、見慣れない事象・疾患・状況に遭遇した時に、温かい気持ちで対応していただけたら幸いです。

患者さんでしたら、積極的に自分の感じていることや思っていることを周囲に伝えてください。医療関係者は、確かに医学を学んでいます。しかし、以心伝心ということはありません。

とりあえず公開しますが、たぶん文章がぐちゃぐちゃだと思うので、のちに修正します。

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